内部被曝のリスク評価と福島・小児甲状腺癌増加が心配無用な訳

田崎晴明・学習院大学教授(@HalTasaki_Sdot)がお書きになっている「放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説」( http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/ )の中から、内部被曝に関するミニ解説 「内部被ばくのリスク評価について」( http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/Internal.html ) 「甲状腺等価線量と実効線量について」( http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/thyroid.html ) に関連したbuvery氏(@buvery)のツイートをまとめました。 続きを読む
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buvery @buvery

また、『内部被曝が怖いんだ、原爆被爆者の場合は内部被曝の影響を過小評価している』という主張の場合、LNTと被爆者を使ったリスク評価は、こういうシーベルト計算ではリスクを*過大評価*していることになります。

2011-08-11 08:59:34
buvery @buvery

あっちを立てればこっちが立たずとはこのことですが、妄想でないちゃんとした被曝評価を出してくれない限り、LSSを基準にして評価すべきだと私は思います。

2011-08-11 08:59:43
buvery @buvery

細かい事をいうと、LSSの結果を別の集団に移植する際に、人種構成などによる癌の罹患率の差を考慮したりしないといけないのですが、幸か不幸か両方とも日本人なので、大雑把にはそういう問題は少ないのではないかと思います。

2011-08-11 08:59:56
buvery @buvery

田崎先生も指摘しておられますが、核種の体内動態ではないか、という点。今回の原発事故で、一般公衆に対して問題になるのは、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137です。これも既に指摘されていますが、これらの動態は比較的よく分かっていますから、そういう意味では問題は小さいです。

2011-08-11 09:00:40
buvery @buvery

ヨウ素131の場合にはチェルノブイリでの値が分かっていますから、LSSでの評価がどのくらい当てはまるのか実際に計算してみます。小児甲状腺癌の過剰相対リスク(excess relative risk = ERR)は5-10/Gy(等価線量)ということですから

2011-08-11 09:01:44
buvery @buvery

(Cardis, 2006 http://bit.ly/rkikol ) 甲状腺の組織過重係数WTが0.05であること、小児甲状腺癌の発症が10万人に0.1-0.01人であることを踏まえて、実効線量50mSvあたり、10万人で1-0.1人増えたことになります。

2011-08-11 09:02:02

上のツイート「実効線量 50 mSv あたり、10万人で1-0.1人増えた」には間違いがあります。これについては以下をご覧下さい。
「甲状腺等価線量と実効線量について」の旧バージョンについてのメモ
上記に対応する人数は次のツイートの通りです(2012年11月24日)。

Masato Ida, PhD @miakiza20100906

放医研が2つの異なる方法で求めた子供の甲状腺がんリスクは、甲状腺等価線量 1 Svで10万人中2000人の発症 http://t.co/KfNWCGFA 「放射線の人体への影響」→「子どもの甲状腺がんのリスクはどれくらいですか?」で見れます。

2012-11-21 20:41:37

従って、次のツイートの「過大評価」とはいえません。

buvery @buvery

これはLSSの結果(実効線量50mSvなら0.25%、10万人あたり250人)よりはるかに低い値ですから、ヨウ素131の内部被曝に関して、ICRPのリスク評価は過大評価であると言われても、過小評価であると言われる理由はありません。

2011-08-11 09:02:11
buvery @buvery

ゴイアニア事故はセシウム137の純品の汚染事故なので、本当はそこでのLSSのようなものがあれば、セシウムに関しても実態に即した結果が予測できます。しかし、残念ながら先日に書いたような事情によって、

2011-08-11 09:02:36
buvery @buvery

住民が調査を拒否する状態 http://bit.ly/pQEQj5 ですから、詳細は分かりません。ただ、初期の急性症状を除けば、バッタバッタと人が倒れて死んでいるという訳ではなさそうです。

2011-08-11 09:02:40
buvery @buvery

田崎先生の文書とはずれてしまいますが、私が例の山下さんについて不満なのは、2点あります。一つは、ヨウ素131に関する警告をもっとしても良かったのではないか、また外部被曝は10mSv/年くらいには押さえるべきではないのか、この二つです。

2011-08-11 09:02:53
buvery @buvery

ただし、ベラルーシなど、旧ソ連三か国で無茶苦茶な小児甲状腺癌がおきたのは、甲状腺等価線量で1Gyを平気で越える子供を何万人も被爆させたからであることに留意しなくてはなりません。今回、1000人程子供の甲状腺が実測されていて、

2011-08-11 09:03:07
buvery @buvery

甲状腺等価線量で最大50mGy程度と報道されていましたから、それが最も被曝の大きい集団を代表しているのなら、まず大丈夫です。私たちの運が良い事を願わずにはいられません。結果は5年以内に分かります。

2011-08-11 09:03:14
buvery @buvery

ああ、いわき市でのこどもで最大35mGyの甲状腺等価線量という話が、一面トップにならない理由は、これではまず何も起きないからです。チェルノブイリ級にするためには、これの100倍程度の被曝を、10000倍程度の子供が受けている必要があります。それなら、近未来に大事件になります。

2011-08-11 09:03:35
buvery @buvery

こういう評価は、この田崎先生の文章で取り扱っている内容なのですが、欲を言えば、ヨウ素131はERR/Gyが確定しているので、具体的な練習問題があれば、良かったかもと思います。以上です。

2011-08-11 09:03:43

「ヨウ素131はERR/Gyが確定している」については次の3つのツイートをご覧下さい(2012年11月25日)。

Masato Ida, PhD @miakiza20100906

ついでに加えると、「ヨウ素131はERR/Gyが確定している」 http://t.co/kq15Ze18 も間違い。チェルノブイリ周辺国ではまだ子供の頃に被ばくを受けた世代での過剰発症が続いているため、リスク値は今後も変わっていく可能性が高い。 @miakiza20100906

2012-11-21 20:56:25
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

ウクライナでの甲状腺癌 年間罹患率(1986~2009年) http://t.co/xReTea9G

2012-10-05 15:11:34
Masato Ida, PhD @miakiza20100906

ウクライナ http://t.co/VmQT1hse とベラルーシ http://t.co/cRLsU7Aq の甲状腺癌発症率のグラフが大きく違って見えるのは、前者が事故時の年齢、後者が発症時の年齢で区分けしているから。

2012-10-05 15:28:32

具体的な練習問題として、ミニ解説甲状腺等価線量と実効線量についてが追加されました(2011年8月26日)。

buvery @buvery

今回の『子供に甲状腺被爆35mSv! 』に、田崎先生の内部被曝の文章 http://t.co/wD5kY03 が丁度間に合って良かったと思います。

2011-08-15 10:38:39

buvery氏による「甲状腺等価線量と実効線量について」レビュー