『遊郭というワードに囚われず大人にこそ見てほしい』鬼滅の刃遊郭編は、貧困から抜け出せない人のリアルを描いてる【ネタバレ注意】

問題の渦中にいると外側の世界にはなかなか気付けない
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※鬼滅の刃遊郭編のネタバレがあります

SOW@ @sow_LIBRA11

「鬼滅」遊郭編完結だったわけだが、あの中で兄妹の最大のいびつさは、「不老不死の鬼になってなお、遊郭にい続けた」とこなのよな。 堕鬼が「美しいものしか食べたくなかった」という理由もあるが、絶対ではなく、それであったとしても別の場所で活動することもできた。 pic.twitter.com/OPLDqDBYxR

2022-02-14 16:50:45
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SOW@ @sow_LIBRA11

どれだけ上手く偽装しても、「日中に出歩けない」「老いない」という二つで、百年の間に何度も正体が露見しそうに成り、そのたびに力技で埋め合わせてきたが、それすらも崩壊寸前。だからこそ、鬼殺隊に尻尾を掴まれた。 pic.twitter.com/mNpPJDRXx5

2022-02-14 16:53:41
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SOW@ @sow_LIBRA11

にも関わらず、二人に「遊郭の外で生きる」選択はなく、そういう意味では、鬼滅の鬼たちは「疫病」のメタファーとも言われていたが(堕鬼の本名が”梅(梅毒”だったり)、この二人の場合は「貧困」でもあったのかもなと。 pic.twitter.com/s4pDKbBHhs

2022-02-14 16:55:47
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地元最高!との共通点を感じる

SOW@ @sow_LIBRA11

というとこまで考えて、不思議と共通項を感じたのが「地元最高!」だった。 usagi氏が描くブラックこの上ないお話なのだが、お世辞にも「まともではない」「幸福とは言い難い」世界なのに、主人公は心から「このままずっと地元で暮らしたい」と、誰に言うでもなくつぶやく。 twitter.com/JimotoSaiko/st…

2022-02-14 16:58:29
地元最高! @JimotoSaiko

『地元最高!』を1話からまとめました 地元から一歩も外に出たことのない少女達が、無知ゆえにどれだけ不幸な目に遭おうとも「地元最高!」と言い続ける漫画です twitter.com/i/events/14318…

2021-08-29 12:36:10
地元最高! @JimotoSaiko

『地元最高!』を1話からまとめました 地元から一歩も外に出たことのない少女達が、無知ゆえにどれだけ不幸な目に遭おうとも「地元最高!」と言い続ける漫画です twitter.com/i/events/14318…

2021-08-29 12:36:10
SOW@ @sow_LIBRA11

この作品の中で、「貧困家庭に生まれた者」がさらに堕ちていく傾向が、要点を抑えてしっかりと描かれている。決して暗黒街ではないが、総じて所得が低い・・・貧しい者たちが多く住む土地で、そこで出会った男女の間に子が生まれる。

2022-02-14 17:02:38
SOW@ @sow_LIBRA11

だが彼らに「夫婦生活」や「家庭生活」を営む意識はない。今までの自分たちと変わらない日々を行うだけだが、そこに「子ども」という扶養者が増えたことで、成り立ちにくくなる。

2022-02-14 17:04:14
SOW@ @sow_LIBRA11

そもそもが彼らに、育児や教育の概念は薄い。その場しのぎのような日々を送るため、まともな常識を得にくい。小学校段階で、「あの家の子」という扱いになるため、比較的偏見に薄い幼児期段階で、「普通の家の子」とは離れていく、共通の話題もない、「話が合わない」からだ。

2022-02-14 17:05:59
SOW@ @sow_LIBRA11

そうなると、クラスの中で友達はできず、学年内の同じような「家の子」同士でつるむようになる。同じ価値観を持てる環境にないから。さらには学校以外の場所の「同じような環境」の子同士で連なるようになる。

2022-02-14 17:07:09
SOW@ @sow_LIBRA11

その結果、同年齢同士ではなく、「同環境同士」のコミュニティが形成される。その中での上下は「年齢」と「暴力」、「年上でケンカの強いものがエラい」という、それ以外の尺度を知らないものでもわかる最も原始的なものが目安となる。

2022-02-14 17:09:45
SOW@ @sow_LIBRA11

「年上の強い者に、年下の弱い者は従う」秩序に組み込まれ、「先輩の言うことは絶対」が「常識や道徳」どころか「法律の遵守」より上であると刷り込まれる。 「どこの誰が決めたか知らない法律」より、「今目の前にいる言うことを聞けば優しいが、逆らえば殴る人」が上になる。

2022-02-14 17:12:07
SOW@ @sow_LIBRA11

その中で、微罪を徐々に重ねていく。 「これいくらいならいいか」「みんなやっていることだし」「先輩怖いし」と、それは窃盗であったり恐喝であったり、軽犯罪と呼ばれるものだが、徐々に積み重ねていく。

2022-02-14 17:14:33
SOW@ @sow_LIBRA11

そして、「先輩の言うことは聞かなければいけない」が基本になったところで、その先輩もさらに上から命じられた組織的な、かつ重度な犯罪に加担させられる。 「先輩からのお願いは聞かないといけないから」と。 彼らの中の善悪の判断は、法律のそれでなく、コミュニティの善悪だから。

2022-02-14 17:16:46
SOW@ @sow_LIBRA11

「自分ではなくやっているのは先輩で自分は手伝っただけ」「逆らえば殴られるし、コミュニティから追放される」「従えばたまにリターンが入る」というのも大きいが、同時に、そのコミュニティの秩序に従えば、「次の下」が入ってくる。 自分が、その「先輩」の立場に立てる。

2022-02-14 17:18:50
SOW@ @sow_LIBRA11

気づいたら引き返せない段階に踏み込んでおり、「今更抜けてただで済むと思っているのか?」「もうお前も共犯なんだから、警察は許さないぞ?」「こっちにもメンツがある。逃げるのなら殺す。嫌なら納得できる額を納めろ」となる。

2022-02-14 17:21:16
SOW@ @sow_LIBRA11

初期の貧困の段階なら、まだ社会の救済制度や、更生制度が対応できた。彼らはあくまで「貧しいゆえに」の人たちであり、保護対象だった。だがその制度の存在も知らず、「行政に救いを求める」発想自体が環境故になく。気づけば「公共の敵」、すなわち反社会的勢力になてしまう。

2022-02-14 17:23:20
SOW@ @sow_LIBRA11

これが「鬼滅」の堕鬼、妓夫太郎兄妹にも、ピッタリ当てはまるのが恐ろしいもので、彼らは自分たちの生まれた世界がどれだけ歪んでいるか熟知していたはずなのに、「それが普通」であることが、実は最後まで気づいていなかった。 pic.twitter.com/kmxO6WgGyz

2022-02-14 17:27:05
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SOW@ @sow_LIBRA11

「醜いから」「弱いから」「貧しいから」と、理不尽な境遇に”原因”を見つけてしまい、それに従った。 だから妓夫太郎にとって、妹の梅が絶世の美女であったことが救いになった、あの世界の秩序の「上」の存在だから。 pic.twitter.com/imL4Nv7DDV

2022-02-14 17:32:01
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SOW@ @sow_LIBRA11

さらに、それまではただ従い虐げられるだけだった妓夫太郎は、「美しい妹を守る」ことをきっかけとし、「自分が実は強かった」ことに気づく。これによって、遊郭のヒエラルキーを支配する「美醜」「強弱」の二つを埋め合わせられた。あとは「貧富」で勝てばよかった。 pic.twitter.com/6jKbdv843i

2022-02-14 17:34:18
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SOW@ @sow_LIBRA11

だがそれは直前で果たされず、彼らは粛清される。死に瀕する直前で現れたのが、”鬼”だった。これが「先輩」に当たる存在なのだ。 pic.twitter.com/5ZoC0Lz2yk

2022-02-14 17:36:39
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SOW@ @sow_LIBRA11

妓夫太郎は容姿こそ醜いが、実はそれ以外はかなり優秀なのだ。だからこそ、他の鬼や、上位の上弦たちに比べれも、無惨の評価は高かった。努力家であり勤勉であり忠実であり創意工夫もできる男。 pic.twitter.com/3wiux464JB

2022-02-14 17:39:16
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SOW@ @sow_LIBRA11

多分、妓夫太郎こそ、外の世界に生まれたなら、いやせめて、外の世界に出たならば、それでも苦しい日々は送ったろうが、最後には相応に幸せな環境を勝ち取れたかもしれない。だが、彼の脳内にその発想はなかった。

2022-02-14 17:42:35