最新の神話学/考古学により発見された「日本神話」の起源—出雲の国譲りはフィクションだったが、出雲人のDNAは縄文系だった―

歴史学の立場から、「比較神話学」の研究成果にあたる「水中の火」神話を読み解いていくと、「考古学」「遺伝学」などとの関連が浮かび上がり、日本神話の起源が見えてきた。
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

2020年の巫俊のメールより 「黄泉比良坂自体は、洞窟ではなく道?」とのご指摘を頂きまして、確認しました。 島根県松江市にある現在の伝承地では、地上にある坂道となってまますが、これは、黄泉比良坂の先にあるはずの黄泉国が、地上にあるのか地下世界にあるのかで論争になったことに由来しています

2022-02-18 02:23:36
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「ただ、『日本書紀』の記述では、イザナギが黄泉比良坂から脱出したとき、巨石でその「坂路」を塞いだとありまして、この塞いだ石の神話は、横穴式石室の出口を塞いだ「閉塞石」と関係があるとされますので、この「坂路」(黄泉比良坂の出口)も、洞窟だったことになります。

2022-02-18 02:24:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「従来の研究では、『万葉集』の記述から、山の上に向かうはずの死者の霊魂が、何故地下を通るのか不明でしたが、三浦佑之氏や瀬川拓郎氏の研究により、古墳時代以前に遡る元の神話が復元され、黄泉比良坂のような洞窟を通って、山の上に霊魂が去っていったと理解できるようになりました。

2022-02-18 02:24:49
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「また、黄泉比良坂が洞窟とされる根拠として、『出雲国風土記』に島根県出雲市の猪目洞窟が、「昔から黄泉の坂、黄泉の穴と呼」ばれているとある例が重視されています。

2022-02-18 02:25:43
巫俊(ふしゅん) @fushunia

古代の「」もまた、生命の再生を意味してたという視点が興味深くて、記紀を見てると、実際父親にあたる神が「」で自分の顔を見ることでスサノオなどの神が生まれてきたと書かれてる訳ですから、鏡の中に「=生命保存したり複写したり、光を放てる=「生命が生まれる」と考えられてました。

2022-04-16 04:32:37
巫俊(ふしゅん) @fushunia

このことに気付いたのはまだ最近なのですけど、)と生命が同一視されてたことは『古事記』の出雲大社創建の記述に、海藻で作った臼と杵をこすり合わせて摩擦で「を生み出す」と出てくることを、弥生時代の青銅器の起源にあたる「印欧語族の神話」と比較することで理解できます。

2022-04-16 04:36:42
巫俊(ふしゅん) @fushunia

」と性交に関係があることは、『万葉集』や『肥前国風土記』を見ていたら分かりまして、別離に際して男性が女性に託した「」は、その鏡を見ることで別離した男性の姿をいつでも見ることができる、そういうものでした。

2022-04-16 04:44:34
巫俊(ふしゅん) @fushunia

『肥前国風土記』には二つに分かれた「同じ物語」が記録されてますが(「の渡」と「褶振(ひれふり)の峰」)、鏡を通じて男性=太陽が再生する話があったことを裏付けてます。女性が子ども(太陽)を産む神話に鏡が深く関わっていました。日本に最初に伝わった「多紐」も図柄はです。

2022-04-16 04:49:44
巫俊(ふしゅん) @fushunia

日本版「水中の火」神話では、鵜が欠かせない役割をしてるようです。中に潜って「赤土」を取って来ること、それで土器を作って煮炊きし、そのの煙を「天の新巣」(=出雲大社)まで炊き上げ、地の底にも炊きこらすその役割を、鵜=膳夫(かしわで)がしたことになってる。

2022-04-08 00:47:29
巫俊(ふしゅん) @fushunia

水中の火」神話は極めて重要な神話モチーフで、日本神話にも受け継がれてたことが明らかなのに、研究分野の分断だとか、使用可能なデータが揃って無かったとかで、ごく一部の世界で研究されてます。

2022-04-08 00:51:13
巫俊(ふしゅん) @fushunia

出雲の神はどう見ても太陽神なのに、「地の神」として解釈できる部分だけが記紀以来、拡張されてきたから、神話を研究してる著名な国文学者とかでも、その常識から抜け出ることができないようです。出雲の役割が軽んじられてきたとヤマト中心史観を批判した学者さんらしいのですが。

2022-04-08 00:54:47
巫俊(ふしゅん) @fushunia

印欧語族神話の2018年の論文「Skyscapes, Landscapes, and the drama of Proto-Indo-European myth」によると、は妊娠期間中の「戦闘」を意味してるとあり、死んだ太陽が地中で女性の参道(洞穴)を通り、朝日として地上に生まれ出る神話が復元できます。シャーマランは甲賀三郎伝説に似てますね。 twitter.com/orange_milk_te…

2022-03-07 05:27:52
OrangeMilkTea @orange_milk_tea

アナトリアやイランなどに伝わる半人半蛇の“蛇の女王”シャーマラン(シャフメラン)の伝承が日本の浦島太郎伝説に影響を与えているってことはないのかな。若い男が地下宮殿で蛇の女王から歓待を受け恋人となるが、家族恋しさに地上の世界に戻る。 Shahmaran alchetron.com/Shahmaran via @Alchetron pic.twitter.com/V1dTYmBZrI

2022-03-06 10:42:48
巫俊(ふしゅん) @fushunia

シャーマランの「食べた者に長寿と智慧を授ける」要素は、松村一男氏の論文「神話から民話へ―『小さなグウィヨン物語』と『タリエシン物語』における印欧語族神話要素」で説明された「水中の火」神話で説明できます。古くは長寿=智恵で、距離と時間の概念が混同されることから不死=世界の知識でした

2022-03-07 05:34:01
巫俊(ふしゅん) @fushunia

水中の火」神話は、エジプト神話の地中の女性要素が海の底の「」に変わったものです。この「水中の火」神話で浦島太郎や八百比丘尼が説明できるので、引用元のツイートを参考にさせて頂きますと、「オオナムチ=甲賀三郎」の神話と八百比丘尼には元々、関連があったはずだということになります。

2022-03-07 05:39:07
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「オオナムチ=甲賀三郎(奥三河・遠江では甲賀三郎の名前が「ナンジ」)」だということは、神話学者の松前健氏が指摘してます。日本に「水中の火」神話があったことも小島瓔禮氏の論文があり、甲賀三郎がジャカタビラを着て洞窟を抜け出る描写は、が脱皮するとき外皮から抜け出る様子が洞窟に見える

2022-03-07 05:45:00
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ことが由来です。小島瓔禮氏は沖縄及び古代出雲の「中からを持ち帰った話」が古い神話モチーフであることを示唆してますが、そのうちその『古事記』の海藻から火種を取る話(カムムスヒが出てくる)は、出雲の母神カムムスヒがオオナムチやスクナヒコナを産む古形の神話に遡っていきます。

2022-03-07 05:51:13
巫俊(ふしゅん) @fushunia

『出雲国風土記』には、洞穴=女性の神が亡き夫の太陽の「の矢」で妊娠して子どもを産む場面があり、生まれてくる子どもは本来太陽神だった訳で、出雲の神は元々太陽神にあたり、のヒレを付けて地底から脱出するオオナムチも、太陽の姿で洞窟から生まれ出てくることを示してます。

2022-03-07 05:54:24
巫俊(ふしゅん) @fushunia

スクナヒコナがウミヘビの竜神であることは、谷川健一先生が指摘されてる訳ですが、常世国に去ったスクナヒコナが夜の海を光らせる竜神になって生まれ変わり、三輪山に祭られての神・大物主になった。その三輪山の麻糸と針の「聟話」が沖縄にもあり、光って天に上がる twitter.com/fushunia/statu…

2022-03-07 05:59:32
巫俊(ふしゅん) @fushunia

そして、先ほど見つけた『宮古島旧記御獄由来記』にも、島の女性が妊娠してしまい、麻の糸の針を使って夜這いに来た男を追跡すると、糸は洞穴の中の大蛇の首に刺さっていて、産まれた娘は島の守護の弁才天女になったとあります。産まれた娘が蛇に抱きつくと、蛇は光を放って洞穴から天に上がっていった

2022-02-28 05:38:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ユーラシア大陸から伝来した神話の歴史的な成り立ちを裏付けていきますと、こちらの引用元で拝見したご指摘とシャーマランにも関連が生まれてくるように思いました。宮古島の『御嶽由来記』の大蛇を産む女性の話や、として生まれ変わるオオナムチ=甲賀三郎につながってます twitter.com/orange_milk_te…

2022-03-07 06:04:06
OrangeMilkTea @orange_milk_tea

日本の蛇婿話の“蛇が美男に化けて人間の娘の元に毎夜通って来る”というのは日本の妻問婚を表しているのではなく、インドのパンチャタントラ収録『蛇と結婚した少女』の“夜になると蛇皮を脱いで本来の人間の姿になる夫”が原型では。インドと日本では夫の本性が逆だが、夜は人間の姿というのは同じ。

2022-02-23 20:51:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

三浦佑之氏の『出雲神話論』では、出雲の海の母神として「カムムスヒ」の信仰を重視してて、「カムムスヒ」の子孫を称する葛城氏・紀氏・岡山県の吉備氏がいます。古市晃『倭国 古代国家への道』(講談社現代新書)も、5世紀以前の葛城・紀伊・吉備の海人集団が出雲に進出したと指摘してます。

2022-02-19 18:10:41
巫俊(ふしゅん) @fushunia

比較神話学的な手法で神話を復元すると、大海原の向こうにいる「母神」カムムスヒは、太陽を産む「母なる」だと見られてたはずで、そうした母神から「子神」が生まれてました。『古事記』にはカムムスヒに関わって「中からを持ち帰った話」があり、これは印欧語族と共通の「水中の火」神話でした

2022-02-19 18:14:25
巫俊(ふしゅん) @fushunia

中からを持ち帰った話」は、日没して中に沈んだ太陽の「太陽」の行方をめぐる思弁に由来することが、インドイラン神話の文献学者の後藤敏文教授の「資料 『リグヴェーダ』アパーム・ナパート「たちの孫」を読んでいたら分かりました。折口信夫の「の女」に似てるtwitter.com/fushunia/statu…

2022-02-19 18:17:59
巫俊(ふしゅん) @fushunia

折口信夫が記紀のホムチワケ皇子の故事をふくらませて、皇子を川で洗ってやるなどして養育して、皇子と水の中で性交し、ついには王権の母となる「水の女」というテーマを作った訳ですが、それって実は「水に沈んだ太陽が母なる「水」と性交して、また朝に復活する」話だったんです。

2021-12-05 03:41:13
巫俊(ふしゅん) @fushunia

この話からすると、弥生時代以前の元の神話では、沈んで死んだ太陽が地中(=女性の身体)から再生してくるとき、の姿を取ってたように思われます。だからオオナムチとか甲賀三郎、小ナンジの伝説が生まれてて、飛鳥時代に天照大神が皇祖神として整備されてく前の神話が表現されてました。 twitter.com/fushunia/statu…

2022-02-17 01:15:05
巫俊(ふしゅん) @fushunia

早川孝太郎「参遠山村手記」 のP13に出てくる「ジャカタビラ」の話が衝撃的です。兄の奸計により大洞穴に落ちた弟(名前は小ナンジ)は、地の底で女性からもらった「ジャカタビラ」を着て地上に「再生」するのですが、脱ぐことができず蛇の姿のままになったとあります。 tees.ne.jp/~kubokawa/topi…

2022-02-17 01:10:02
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「天に対する地の神」とか、「ヤマト王権と先住民」とか、「王権と山の狩人」とか、太陽を属性とする天の集団に対して「地」の集団があるという位置付けの神話が、出雲神話など多く存在しますが、それは必ずしも古形では無いことに注意する必要があります。

2022-02-17 01:18:18
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ハーバード大学の比較神話学者のマイケル・ヴィツェルが指摘してるように、「第1神族」「第2神族」という概念は青銅器時代にユーラシア草原地帯から日本列島に入ってきた考え方だとされてまして、こうした「二分法」が先にあって、それをどこで二分するかは後で決まってることが分かります。

2022-02-17 01:20:49