アンチモダン国家「ロシア」と「ロリータ」におけるフランス語の重要性

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りゃーん @hayakawaR

秋草俊一郎「ナボコフ 訳すのは『私』」(東京大学出版会)読了。昨年刊行された「アメリカのナボコフ」は予想以上に面白く、ナボコフ大好きな私を大満足させた。そこで同じ著者の本書を読んでみた。オレは一切外国語が苦手・嫌いだが前からナボコフの自己翻訳した作品に興味あったので読んでみたが→

2019-01-30 04:34:08
りゃーん @hayakawaR

文法や文体の話の終始してしまうワケであまり面白くない章が続く。だが「ディフェンス」論では「ロリータ」の祖型にして、ミステリとして読む視点等、実に批評として面白いものに仕上げる。更に次の「ロリータ」論、これが稀に見る紀要で、オレは論文で涙腺緩んだのが始めてだ!「ロリータ」において→

2019-01-30 04:35:41
りゃーん @hayakawaR

何故かフランス語が多い。それはハンバートの隠蔽による。その膿を出しきる作業なのだ。「ロリータ」は読んでない人には判らぬが、案外知的な、ミステリとしても優れ、プロットも素晴らしい小説だが、高校の初読、マジでハンバートと12歳のドロレスがセックスし、その後も放浪しながらモーテル→

2019-01-30 04:37:29
りゃーん @hayakawaR

でやりまくる小説で驚いた記憶がある。いかに知的だろうが何だろうが未成年の女の子とセックスする成人男性はクズである。そのハンバートのクズぶりをいかにナボコフが叙述したかが書かれ、これがもう、本編「ロリータ」を読むのと同じくらい感動する。おそらく、気取り屋で、クズで、偽善者の男が→

2019-01-30 04:38:32
りゃーん @hayakawaR

心底からの改心をし、その懺悔に残りの人生を費やすという意味では、フィードル「罪と罰」、レフ・トルストイ「復活」という同じロシアの文豪が念頭にあり、同時に、後年クッツェーは同じ主題で「恥辱」に挑んでいるという広大な世界文学史を描きたくなる誘惑に本作を読むと駆られる。

2019-01-30 04:39:40
如月 宗一郎 @S_kisaragi

兵頭二十八がロシアのことを「前近代」ではなく、「反近代」だと一貫して主張していたことの正しさが、#兵頭二十八クラスタ 以外の一般人にも確かめられた格好になったな。あれはプレモダンじゃなくてアンチモダンなのよね。

2022-04-06 17:06:26
如月 宗一郎 @S_kisaragi

ここで谷沢永一が「日本は前近代国家」とした進歩的文化人たちの源流を大塚久雄に求めて、その主張の理由は「日本は社会主義国家じゃないから」という暴きをしてたが、ことロシアに関しては、「反近代」なのよ。文学だけはヨーロッパから直輸入することで、文化的蓄積のないところから進歩できたが。

2022-04-06 17:15:00
如月 宗一郎 @S_kisaragi

(これは、ロシアには日本と同じように昔話や民話は多かったが、中世文学がなかったので、ヨーロッパから直輸入せざるをえなかったためにドストエフスキーたちはそれらを一気に吸収できたという話。小林秀雄参照)

2022-04-06 17:24:03
如月 宗一郎 @S_kisaragi

(日本の場合、源氏物語がシェークスピアの600年前というレベルで成立し、江戸時代に至っては様々な文学があったため、そこからの進歩が難しいのと逆の構図。現代でも、エロゲのクリシェがこの辺りまで遡れるのと同様)

2022-04-06 17:27:55
如月 宗一郎 @S_kisaragi

(不思議なもので、ロシア語の背景に潜むそうした民話や昔話といった要素を、ナボコフやオリガが指摘しているというのはほんとに興味深いところ。/『ロリータ』を母語たるロシア語ではなくフランス語で書かなくてはならなかったことについてのコメントなど)

2022-04-06 17:30:32
ちびくろ参謀 @CSambo

@kibounosuna @S_kisaragi 英語版、当人訳のロシア語版でもフランス語使用が重要です。 jstage.jst.go.jp/article/elsjp/…

2022-04-07 07:45:44