性淘汰と配偶競争が必然的にもたらす「社会の相対性理論」

我々が他者(特に近しい友人)の利得上昇を忌避する感情は、生殖戦略の延長線上にある。
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ その一方で、「公平さ」というものが相対的な判断基準だとすれば、ほかのサルにどんな報酬が与えられるのかは大きな問題となる。” pic.twitter.com/NepMPPCChD

2020-01-02 22:00:21
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“ 基準が相対的であるという論理を証明するかのように、同じ活動に対して別のサルにブドウが与えられるようになると、キュウリしかもらえないオマキザルはタスクを行なうことをたびたび拒むようになった。” pic.twitter.com/HI7yKYwlSD

2020-01-02 22:00:23
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“『良識ある行動をとる動物たち』と題したTEDのプレゼンテーションのなかでドゥ·ヴァール教授が流した実験映像には、横のサルがブドウを受け取ったあと、腹を立てたオマキザルがキュウリのスライスを実験者に投げつける様子が映っている(この部分だけでもぜひ実際に見てみてほしい)。”

2020-01-02 22:00:23
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“ わたしとしては、不公平な支払いに対して(人間を含めた)霊長類がこれほど怒る姿をほかに見たことがない。” ted.com/talks/frans_de…

2020-01-02 22:00:24
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ このような実験は、わたしたちに教えてくれる──生き残るための必要性がいったん満たされると、ほかのすべての事柄は相対的に判断される、と。…都市が生まれるまえの世界では、人生はゼロサムゲームだった。ある人の幸運は往々にして、他者の不幸の結果としてもたらされた。” pic.twitter.com/IGhUcTfbt5

2020-01-02 22:04:48
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“ 都市の出現とともに人生がぜロサムゲームである必要はなくなったにもかかわらず、悲しいことに、性淘汰の論理によって人生はその後もぜロサムゲームのまま保たれた。たとえば友人が大幅な昇給や宝くじの当選によって大金を手にしたら、彼の幸運によってわたしは不利な状況に陥ることになる。”

2020-01-02 22:06:39
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ なぜなら、わたしが配偶者を見つけるのがよりむずかしくなるからだ。友人が見事な功績や幸運を手にするまえまで、好きになった女性がわたしを選んでくれる可能性は充分にあったはずだ。しかし友人が以前より魅力的になったいま、彼女がわたしを選ぶ可能性はより低くなる。” pic.twitter.com/188anOForl

2020-01-02 22:06:41
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“ 性淘汰によってこのような考え方が人間の精神の奥深くに刻み込まれたため、人の成功を羨む気持ちを抑え込むのは驚くほどむずかしくなった。とくに、近しい関係の人々の成功についてはその傾向が強くなる。”

2020-01-02 22:21:32
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“たとえば、サム·スミスやエミネムがグラミー賞を受賞しても、私はそれを羨ましいなどとは考えない。彼らとは個人的に知り合いでもないし、(賢明にも)張り合おうとも思わないからだ。ディカプリオがアカデミー賞を獲ったときも同じ。そもそも彼のガールフレンドが私と交際することなど考えられない。” pic.twitter.com/ngGy2mI87b

2020-01-02 22:21:52
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ しかしながら、仲のいい友人がわたしを負かしたときには、他人事だと片づけるわけにはいかなくなる。わたしが重要視する領域ではなおさらその傾向が強くなる。” pic.twitter.com/gXP02RZjgM

2020-01-02 22:21:54
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“ この現象に関する研究のなかでわたしがとくに好きなのは、ジョージア大学のアブラハム·テッサー率いるチームによる一連のすばらしい実験だ。テッサーは男子大学生を被験者として研究室に集め、ペアで単語当てゲームをさせた。” (A.Tesser 1988)

2020-01-02 22:21:55
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 一方がある単語に関連するヒントを出し、もう一方が答えとなる単語を当てるというごく一般的なゲームだ。じつは、参加者のひとりはサクラだった。サクラははじめにヒントを出す側になることを選んでゲームを不正に誘導し、相手がすぐに答えにたどり着かないように仕組んだ。”

2020-01-02 22:21:55
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ この実験の肝となるのは、(不正によって)答えをなかなか導きだせなかった回答者が次にヒントを与える番になったとき、相手に何を伝えるかという点だった。ヒントは選択肢のなかから選ぶ方式になっており、なかには役立つヒントもあれば、役に立たないヒントもあった。”

2020-01-02 22:21:56
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ …テッサー教授は実験をとおして、ペアの相手が他人ではなく友人の場合、役立つヒントを与える傾向が強くなることを突き止めた。しかしこのような結果になったのは、タスクの内容にはとくに意味がないと説明されたときのみだった。”

2020-01-02 22:21:56
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ 言語能力を調べる大切なタスクだと説明された場合、結果は反対になった。一巡目で答えを導きだせなかった参加者は、ヒントを出す番になると、友人ではなく他人により役立つヒントを与えるようになった。”

2020-01-02 22:21:57
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

“ つまり、他人が優秀な成績を収めたときよりも、友人が優秀な成績を収めたときのほうがより大きな脅威を感じるということだ。重要な領域で自分が負けそうなとき、わたしたちは友人をひそかに攻撃しようとする。────これが人間についての醜い真実であり、性淘汰が作り上げたものなのだ。” pic.twitter.com/fiz5z3VDjr

2020-01-02 22:21:58
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

- W. von Hippel 2018 『The Social Leap/邦題: われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略』より

2020-01-02 22:22:23