戦間期の戦車と「対対戦車砲装備」としての機関銃?

戦間期の戦車には機関銃をやたらに沢山装備したものがありますが、それを対人目的だけの装備ではなく「対戦車砲への対抗手段」としても考えてみるとどうだろう? というおはなし
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

正直わたしゃ戦車の実際の使い方がどういうことになっていたかという方面には疎いですし、この一連のおはなしはちょっと物質的側面に寄りすぎ・実際の使われ方を見ていなさすぎなところがあると思います。ご注意くださいまし

2023-02-19 17:08:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

あと車載機関銃があっても、小銃徹甲弾をどれだけ積んでるかはまた別の話ですよね。大戦期米独戦車なんかは全部徹甲弾だったりしたようですが、ソ連だと(たぶん時期にもよるものの)小銃徹甲弾は2割弱くらいしか積んでない。あとの大半は普通弾なので対防盾は厳しい

2023-02-19 17:30:19
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

小銃徹甲弾はお値段が普通弾の1.5倍くらいになるようで、そして資源的にも(最高品位とは言えないものの)そこそこの工具鋼を使うので、大戦期ソ連だとあんまりじゃぶじゃぶ使えなかったりしたのかも知れません

2023-02-19 17:32:24
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そんな貴重な小銃徹甲弾を無駄遣いしないように、弾倉には普通弾と徹甲弾を混ぜて装填することはせず、徹甲弾だけの弾倉を用意するようにせよといった話も出ています。弾倉式のDT機関銃だとベルト式に比べて状況に応じた小まめな弾の使い分けをしやすい、という微妙なメリットがあるかしらね?

2023-02-19 17:37:45
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦間期の始まりと終わり、あるいは大戦の終わりと始まりの「機関銃を沢山積んだ戦車」。こう見ると単に武装配置が洗練されたという以上に、側面火力を重視しているか正面火力を重視しているかという違いがあるような気もします。前者は真正面には機関銃2挺しか向きませんが、後者は5挺+37mm砲が向く pic.twitter.com/ERJhXE38tn

2023-02-21 16:59:43
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

防御陣地に機関銃を置くときは敵の隊列を正面から撃つ配置で薙ぎ払うよりも、横向きに置いて敵の隊列が重なったところを貫通するように撃つほうが効率的といいます。これは防御での話ですが、逆に戦車が陣地攻撃をする時でも言えそうです。塹壕に沿って貫くように撃つ横向き機関銃のほうがたぶん効率的 pic.twitter.com/h6j7GlJdv1

2023-02-21 17:15:21
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

まあ実際には塹壕はそうやって自動火器で簡単に制圧されないようにジグザグに掘られたりするわけですが。それでも横から撃てばある程度は塹壕の線に沿うことにはなるので、塹壕線と射線が一点でしか重ならない正面からの射撃よりはずっと効率的ではある筈です

2023-02-21 17:20:54
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

だから第一次世界大戦的な戦車では横向きの機関銃の配置がわりと重視されるのでしょう。なんとなく正面にもっと沢山向いた方が良さそうな気がしてしまいますが、戦車が塹壕の線まで到達できることが前提なら、むしろこのほうが効率的に歩兵を「処理」できる pic.twitter.com/SL0cyQdDgb

2023-02-21 17:29:00
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一方で戦間期的な戦車では側面にしか向かない配置よりも銃塔のほうが好まれます。これは従来のように側面火力に使うことも出来るけれど、正面への火力集中も出来る。でも先述のように塹壕正面からの機関銃射撃は効率が悪い。正面への火力集中が出来たところで、塹壕の歩兵相手にはメリットは薄そうで pic.twitter.com/ba7J1zlllp

2023-02-21 17:34:45
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

また戦間期に携行対戦車装備が著しく進歩した、といったこともありません。各国への対戦車ライフルの普及は第二次大戦直前くらいですし、対戦車擲弾投射器も存在しない。戦間期を通じて、生身の歩兵の対戦車能力は第一次大戦期とほぼ変わらないままで、戦車には歩兵を恐れて火力を増すような理由は無い

2023-02-21 17:39:04
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦間期の戦車にとって最も脅威だったのは、やはり野砲や対戦車砲でしょう。特に対戦車砲は進歩が著しく(単なる小型廉価版野砲なのではなく、より対戦車戦闘に最適化されてきているのです)。戦車はそれへの対策なしでは、第一次世界大戦の頃のように易々と塹壕の線に到達することは難しい

2023-02-21 17:43:19
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

しかし側面配置の機関銃を正面にも向けられるようになれば、対戦車砲対策の一助とすることが期待できる。防盾を抜いて砲員を殺傷できるか、そうでなくとも心理的に圧迫して照準を乱したり発射速度を落せたりすれば、戦車は塹壕の線まで到達しやすくなるかも知れない

2023-02-21 17:46:52
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦間期の戦車の機関銃配置に見られる、配置の側面から正面への移行(あるいは側面のみから側面・正面への両用化)には、そういった要素があるんじゃないかという気がするわけです。対歩兵の正面火力は重視する必要性も利益も薄いけれど、対対戦車砲として考えれば意義は少なくない

2023-02-21 17:51:23
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

あるいはもし仮に、隠れもせずに漫然と全身を晒している人馬の大群に戦車が突っ込むとしたら、その「処理速度」には正面機関銃の数が物を言うでしょうけども。でもそんな状況はちょっとありそうもないし、それを想定しての装備というのは考え難いものがあります

2023-02-21 18:04:01
きっど @r4XhN70TH3NG4dE

@FHSWman >塹壕に沿って貫くように撃つ横向き機関銃のほうがたぶん効率的 菱形戦車の機関銃は「塹壕を乗り越える際に左右側面へ一斉射撃」という感じよりは、塹壕線に到達してから左右へ旋回し、塹壕線に沿って前進しながら側面前後の機関銃で歩兵を掃討する様に使う様ですね。雌型の存在意義はそこに有る様で

2023-02-21 17:53:31
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

@r4XhN70TH3NG4dE ありがとうございます。実際どうにもよく分かっていないので助かります……

2023-02-21 18:12:31
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

hmm... 旋回して塹壕に沿って進みながら掃討する状況なら、あるいは前方機関銃もその役に数えられるかしらん? 米戦車特有の前方固定機関銃にはその意味は無いでしょうけど、よくある前方ボールマウントはそこに入るんかな。それとも旋回範囲が足らんかしら

2023-02-21 18:18:59
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一連のおはなしでなんか知ったようなことを言っていますが、御覧のように実際よく分かっていないのです。ご注意くださいまし

2023-02-21 18:20:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

何かしらの「考え」を思いつた直後は全てをそれに当てはめて考えてしまう、というアレに今は陥っているとおもうので、たぶんそのうち考え直したりするかも知れません

2023-02-21 18:23:33
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

対戦車砲って築城で身を守ることがやりづらい武器なんですよね。直射火器なので射線の通りが大事、背が低いので壕に身を隠しにくい、神出鬼没の戦車を相手にする武器なので全周射撃を可能にしたい……という性質が築城と噛み合わないので、特に時間がないとこういう「壕」になってしまう pic.twitter.com/PvDEMIIJwR

2023-02-21 18:34:17
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

それでは流石にあんまりなので、時間があればこういう壕を掘ったりもします。でも低姿勢の対戦車砲が射線を通すためには深い壕には置けない。地面を30cm掘って20cm盛って、で深さ50cmの浅い壕とかで済ませる。まあこれでも的の高さはほぼ半分になるし、砲手はともかく弾薬手は伏せて隠れられる pic.twitter.com/m4HTUbxedK

2023-02-21 18:37:50
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

対戦車砲は口径の割には砲自体のサイズがかなり大きい部類で、脚も長め。だから小さな砲である割には結構広い壕を掘る必要がある。全周射撃をするには更に広いものが必要になり築城コストが比較的重いという欠点がある、という見方も存在したようです。逆に歩兵砲や迫撃砲はこの点が良いのだとか

2023-02-21 18:42:18
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

また対戦車砲用の浅く広い壕は戦車と撃ち合う状況では役に立ちますが、砲兵射撃に対しては脆弱です。なので準備砲撃の間に砲を守るために人員だけでなく砲も入る退避壕を設けたりするのですが、これがまた作業コストが重い。図のタイプをフルで作るには21時間ほどかかるようです pic.twitter.com/tfSSN9KvEX

2023-02-21 18:46:14
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

あとこれはまだ比較的軽い45mm対戦車砲用なので退避壕から射撃壕まで人力で動かすのもあまりこまらないでしょうが、大口径の野砲や対戦車砲だとこの点でも難儀です。特に坂を押し上げる労力がヤバいらしく、ほんの僅かな距離でも何分もかかってしまう。と、こんな風に対戦車砲は築城との相性が悪くて

2023-02-21 18:50:27
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

こうした対戦車砲向けの築城の難しさも、あるいはやっぱり機関銃による対戦車砲制圧の可能性を増す材料になりはせんかしら?とか。まあ浅い壕とはいえ的の高さがほぼ半分になるのだから、それでも十分効果的ではあるのでしょうが

2023-02-21 19:01:01