動画対談「東浩紀×成田悠輔」 前編「なぜ大学辞め独立メディアを?」&後編「絶望感の正体は? 日本の闇」へのコメント ――家族的、観光的、自動的

作家/思想家の東浩紀氏と、経済学者・成田悠輔氏が、「ReHacQ(リハック)」の動画で対談しました。 その対談動画を見た、まとめ主が対談内容にコメントしたもののまとめです。 対談でおふたりは、「家族」と「観光」をキーワードに、SNSなどのメディアや社会について語っています。 なお、冒頭部分の哲学の解説が、堅苦しくて読みづらければ、飛ばして下さっても構いません。
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しろうと @sirouto

しかし、もちろん哲学者も一枚岩ではなく、20世紀以降に、「分析哲学」と「大陸哲学」に大きく別れた。前者は「論理学」に近い。実際、「様相論理」を、「可能世界(意味論)」と関連させて、研究する分野もある。人間は言語を使って思考するのだから、そこを集中的に思考しよう、という考え方だ。

2023-11-19 16:22:14
しろうと @sirouto

一方、「大陸哲学」は、イメージとしては「文学」や「思想運動」に近い。いろいろな知を総合して、はじめて人間なのだから、分野横断的に存在する、という考え方だ。 この分析哲学と大陸哲学では、考え方の相違から、対立や衝突も起きている。たとえば、「デリダ-サール論争」のように。

2023-11-19 16:26:48
しろうと @sirouto

しかし、たんに縦割りで別の分野として交わらないのかといえば、そうでもないと個人的には思う。分析哲学を代表するウィトゲンシュタインと、大陸哲学を代表するデリダ、それぞれの思想に共通点がある、とひそかに考えている。それは何だろうか?

2023-11-19 16:29:18
しろうと @sirouto

ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」(の複数性)と、デリダの「郵便」概念に、共通するものがあるのでは、と個人的には解釈している。たとえば、「規則のパラドックス」と「脱構築」に、共通性を感じる。 もちろん、厳密に論じるのは大変だが、論文ではないので、大雑把な論旨だけで語っている。

2023-11-19 16:32:41
しろうと @sirouto

たとえば、数学の「プラス関数」は、じつはぜんぜん別の「クワス関数」だったかもしれない、というのが「規則のパラドックス」の問題だが、ここでは詳しい説明は省略する。動画中の「読み替え」が、私の言いたいことに、相当するだろうか。

2023-11-19 16:36:20
しろうと @sirouto

要するに、「デリダの『脱構築』は、ウィトゲンシュタインの『言語ゲーム』の複数性を利用した戦略だ」ということを、私は言いたい。ただ別に、学問として厳密な裏付けはない。学者レベルだと、「それは90年代の◯◯の論文で、すでに批判され~」とかケチがつくかもしれない。あくまで「試論/私論」。

2023-11-19 16:39:44
しろうと @sirouto

厳密さはないが、話の分かりやすさだけで言えば、つまりこうだ。デリダの「脱構築」(または郵便性)と、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」(の複数性)は、関係がある。現代で言えば、それは「プラットフォーム」の複数性であると。

2023-11-19 16:42:11
しろうと @sirouto

さて、ここまでが「前編前半」だが、2の「前編後半」と、どうつながるのか? それは、「家族」や「観光」といった、とくに不思議な所がないように見える概念を、今まで述べたことで(再)解釈すると、新しい側面が見えてくる。どういうことか?

2023-11-19 16:48:06
しろうと @sirouto

たとえば、複数の国から観光客が来ることと、複数のプラットフォームを使い分けることと、関係させて考えると、分かりやすくなる。東氏は、観光客も郵便的な概念(「郵便的マルチチュード」)として考えているようだ。

2023-11-19 16:58:24
しろうと @sirouto

たとえば、「2ちゃんねる」で書く時は、匿名で有名人の悪口を言ったり、「ツイッター」で書く時は、時事ネタに反応したり、「ニコニコ動画」で(字幕コメントを)書く時は、ネタに走ったり、といったように、私の同一性は揺らぐ(ラカン的には、最終的に主体の単一性は保たれるという批判はあるが)。

2023-11-19 17:01:46
しろうと @sirouto

それと同じように、(国際)観光客という、人間の移動(郵便、誤配)が起きることで、「グローバリズム/ナショナリズム」という「二項対立」を脱構築する……という戦略なのだろう。このように、最近の東氏の観光客に関する哲学も、郵便本からの流れを継承している。

2023-11-19 17:03:37
しろうと @sirouto

そしてまた、「SNS」も、「家族的」「観光的」な側面がある。フォロー/フォロワーで、つながる面を見れば、家族的だし、無関係な投稿も見られる面では、観光的でもあるだろう。

2023-11-19 17:07:55
しろうと @sirouto

ここで、「SNS」をやるのは、損得勘定ではないだろう、という話にも触れておこう。動画中では、「Tiwtter(X)」から「Threads」に、そんなに流出してないじゃないか(大意)とか、「イーロン・マスク氏は、面倒くさい親戚のおじさんみたい(大意)」とか、そう言われている。

2023-11-19 17:10:53
しろうと @sirouto

一応、経済学の一分野の「ゲーム理論」だと、SNSを乗り換えるのには、「スイッチングコスト」がかかるので「ロックイン」される、といった説明はなされる。ただ、それよりは「行動経済学」の方が、実態に合っているかもしれない。つまり、SNSでは「勘定より感情」で動くと。

2023-11-19 17:12:58
しろうと @sirouto

ここまで、動画の前編の内容をまとめると、単一体系や二項対立を揺るがすものとして、「郵便的、観光的」な戦略がある。観光客は、国の単位を超えて移動できるし、そのことでナショナリズム/グローバリズムの対立を、乗り越える可能性もあるのだと。

2023-11-19 17:25:15
しろうと @sirouto

ここから、動画後編のコメントに入っていきたい。前編では、私自身の主張を、あまり前面に出さないようにしてきたが、後編では私の主張も交えたい。まず、3の「後編前半」から。

2023-11-19 17:31:50
しろうと @sirouto

先に断っておくと、対談者のお二人は、前から好意的に見ており、今回の対談も、奥が深い話をしており、個人的にも非常に勉強になる所が多い。ただ、対談でこぼれ落ちた部分を拾ってみたいので、あえて異論や批判が含まれる論点も、多少展開してみたい。

2023-11-19 17:53:14
しろうと @sirouto

対談では、「家族」的なものが、良い扱いをされている。が、対談中に少し触れているように、家族が不平等とつながる、という話は昔から延々とされている。たとえば、財産を相続するのは家族だし、世代間で格差が再生産されている(金持ちの子は金持ち)、という話もある。

2023-11-19 17:58:06
しろうと @sirouto

べつに、私は「私有財産」を禁止しろ、といった極端な主張をするつもりはない。「計画経済」は失敗する運命にあるのだから。しかし、この家族の「負の面」に関しても、注目する必要があるとは考えている。

2023-11-19 18:00:31
しろうと @sirouto

たとえば、「ツイッター」のようなSNSが、ひとつの大きな家族であるとか、「イーロン・マスク」がその家父長のような存在だ、というのはイメージしやすい。が、グローバルなプラットフォーム上で、そういう家族的な独占が起こると、富の偏在と格差は、今以上に進んでしまうだろう。

2023-11-19 18:10:51
しろうと @sirouto

成田氏の「スーパースター」の話もそうで、インターネット上の技術が進み、「メタバース」などに人が集まった場合、世界中で1億人、10億人が見る可能性もある。すると、今までよりさらに巨大な権力が出現する可能性がある。なら、その害も大きいはず。

2023-11-19 18:15:04
しろうと @sirouto

「組織」は、家族の一元的な仕組みでできている(大意)、という東氏の話は、ウィトゲンシュタインの「家族的類似性」という概念もあるので、何となくそんな気もしてくる。ただ、家族的でない、契約的な組織形態もあるはず。たとえば、「株式会社」がそう。

2023-11-19 18:18:43
しろうと @sirouto

「株式会社」は、投資した株主に、資産を分割する仕組みで、家族的(ギルド的)ではない。あるいは、投票で決める「民主主義」も、家族的ではない。それ以前の「封建主義」の社会では、世襲の王族や貴族、豪族たちが、国を統治していたわけだから。

2023-11-19 18:21:18
しろうと @sirouto

家族の仕組みが、同心円状に広がっていく(王が国全体の家父長)のが封建制で、近代の民主化はそれを崩す仕組み。株式や票で、組織をバラバラに再構成する、微積分的なシステムは、近代を発展させた原動力のひとつでもある。

2023-11-19 18:24:34
しろうと @sirouto

しかし、たとえば「同族会社」「世襲議員」「利権ムラ」「縁故資本主義」のように、家族的な仕組みに回帰させる力がある。とくに日本ではそれが強い。日本社会が変わらない、という動画の後編後半の絶望も、そこからかなり来ているはず。

2023-11-19 18:26:31