古英語解読 その3
いきなりですがOE詩The Seafarerの解読を垂れ流します。以前(半年以上前だけどw)やった時のまとめはこちら→http://t.co/c9E9vRUi http://t.co/AZkzukZI 12aまでやったので続きから10行くらい
2011-12-25 14:52:48þæt se mon ne wat/þe him on foldan fægrost limpeð, (12a-13) 「これをその人は知らない/陸地において良いことが生じる人には」
2011-12-25 14:58:3212a þæt は 14a から始まる hu-節に対応。wat "know" の目的語になってる。se mon は主語で、13 の þe him 以下が関係節で修飾しているというつながり。
2011-12-25 15:01:59基本的に þe だけで関係代名詞として問題ないんだけど、与格であることを明示する him が共起してる。この部分の解説は Guide to OE (Mitchell & Robinson 2007) の sec. 162に
2011-12-25 15:05:26on foldan は「地において」。folde "earth, land" はOEで良く出る基本語。fægrost は "fairest"、「最も良く」みたいな感じの副詞。limpeð は limpan "happen" の3人称単数現在形。非人称動詞として用いられてる .
2011-12-25 15:09:10hu ic earmcearig iscealdne sæ/winter wunade wræccan lastum, (14-15) 「いかに私が惨めで悲しく 凍てつく海を/冬の間住処としたかを 逃亡者の道にあって」
2011-12-25 15:13:22先述の通り14a の hu 以下は 12b の þæt に対応。ic は "I" 続く earmcearig は earm "poor" と cearig "sorrowful" の複合語。役割としては ic の補語
2011-12-25 15:16:1914b iscealdne sæ は対格。現代英語にすると ice-cold sea って感じ。15a winter は副詞的対格。場所や時間を表すのに用いられることが多く、ここでは「冬の間」。解説は OE Grammar (Quirk & Wrenn) の sec. 97 に
2011-12-25 15:20:34wunade は wunian "dwell" の3人称単数過去。wræccan は今の "wretch" だけど意味は「逃亡者」。単数属格。lastum は「足跡」の意味で複数与格。14b は成句的に「逃亡者の道にあって」 (Gordon)
2011-12-25 15:24:53wunade は wunian "dwell" の3人称単数過去。wræccan は今の "wretch" だけど意味は「逃亡者」。単数属格。lastum は「足跡」の意味で複数与格。14b は成句的に「逃亡者の道にあって」 (Gordon)
2011-12-25 15:24:53winemægum bidroren, /bihongen hrimgicelum; hægl scurum fleag. (16-17) 「近しい血縁の者を奪われて/氷柱をぶら下げて; 霰は雨になって飛んだ」
2011-12-25 15:31:18winemægum bidroren, /bihongen hrimgicelum; hægl scurum fleag. (16-17) 「近しい血縁の者を奪われて/氷柱をぶら下げて; 霰は雨になって飛んだ」
2011-12-25 15:31:18winemægum は wine "friend" と mæg "kinsman" の複合語。複数与格。bidroren は bedreaosan "deprive of" の過去分詞。本来はこの後に半行 (16b) あるはずなんだけど欠落してるので空白になってる
2011-12-25 15:33:52winemægum は wine "friend" と mæg "kinsman" の複合語。複数与格。bidroren は bedreaosan "deprive of" の過去分詞。本来はこの後に半行 (16b) あるはずなんだけど欠落してるので空白になってる
2011-12-25 15:33:52bihongen は behon "hang" の過去分詞。hrimgicelum は現代英語では "rime-icicle" で、これも複数与格。hægl は "hail" で主格。scurum は "shower"。fleag は fleogan "fly" の単数過去
2011-12-25 15:37:24bihongen は behon "hang" の過去分詞。hrimgicelum は現代英語では "rime-icicle" で、これも複数与格。hægl は "hail" で主格。scurum は "shower"。fleag は fleogan "fly" の単数過去
2011-12-25 15:37:24OEの不定詞は基本的に -an で終わるんだけど、一部に -on で終わるのがある。例えばさっきの behon みたいに。こういうのは「縮約 (contracted) 動詞」 といって、もともと例えば *behoganみたいな形(復元型は適当なので注意)だったと推定(続く)
2011-12-25 15:43:07OEの不定詞は基本的に -an で終わるんだけど、一部に -on で終わるのがある。例えばさっきの behon みたいに。こういうのは「縮約 (contracted) 動詞」 といって、もともと例えば *behoganみたいな形(復元型は適当なので注意)だったと推定(続く)
2011-12-25 15:43:07(続き) まあ、活用形には子音が残ってるしね。縮約動詞の話は OE Grammar (Quirk & Wrenn) の sec. 180 にちょっと解説がある
2011-12-25 15:44:32