「龍の“逆鱗”というのは、『韓非子』以外の文献での言及はないのだろうか」ことの発端は友人のふとした指摘。逆鱗から始まった話もついには龍の起源に迫る話へと発展。辰年の今だからこそ知っておきたい龍にまつわる話。

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「碧玉龍(碧玉C形龙)」は1971年に内モンゴル古翁牛特旗三星塔拉で出土し、約5,500年前の紅山文化を代表する玉器として“中华第一龙”と称されている。
現在発見されている玉器の中では最大最古のものである。
C形の竜は「猪竜」、この形の玉器は「玉猪竜」とも。竜という漢字はこのC形に由来するという説も存在する(ほかには古代ワニ説なども)。
この竜は字の通り、猪(ブタ)と竜(蛇タイプ)が合わさったものであり、竜が様々な動物の集合体から生み出された存在であることが窺える。
玉器は御守りのほか、地位や権力を現す祭祀の礼器として用いられており、呪術的な役割を果たしていた。

中国における龍らしきものの姿は7,000~8,000年前に査海文化が栄えた現在の遼寧省阜新蒙古族自治県査海村にある査海遺跡で「石龍」7,000~8,000年前に興隆窪文化が栄えた現在の遼寧省葫芦島市にある揚家窪遺跡で「二匹の龍」が発見されており、これらが“最古の龍”の候補に挙げられている(諸説あり、年代幅も研究者や文献によってまちまち)。

出典
考古学から見る龍の源流 1 ― 遼河流域の考古発見を中心に ―  
http://npokokusaibunnkazai.web.fc2.com/img/201710.pdf
龍の起源
http://www.ryuss2.pvsa.mmrs.jp/henshukoki-2012/no235-120201.html
中国北方新石器文化研究の新展開【詳細報告】「東北アジアにおける先史文化の交流」 王 巍(中国社会科学院考古研究所・副所長)
https://web.archive.org/web/20150221155024/http://www.ipc.tohoku-gakuin.ac.jp/~orc/sympo/20040201-r-2.htm

森瀬 繚@セーフモード @Molice

@Jiraygyo たとえば最近ですとこのあたり(単体ではなく他にも色々)の論文に基づく認識であったわけですが、既に書いた通り僕の勉強不足ということで、改めてもろもろ調べてみるつもりです。(堯舜まで遡ることと、それが中国全土の共通の信仰であったことは別の話との認識「でした」)cir.nii.ac.jp/crid/105028267…

2024-03-27 19:22:02

「中国最初の龍といえるのは、今より6000年くらい以前の河南省濮陽縣西水坡遺跡から出土された貝の殻で作られた龍」(p.254)

前述の論文「龍の原型」で言及した足のある龍(ワニがモチーフ)はこちら
中国最古の龍については先に述べた7,000~8,000年前のものとされる査海遺跡の「石龍」や揚家窪遺跡の「二匹の龍」を挙げる研究者もいるため、意見が分かれるところである。

龍の姿かたちの起源にはワニなどに由来する「動物起源説」と河川などに由来する「自然・現象起源説」がある。(pp. 254-255)

ワニについては後述の章で詳しく。古代ワニ「ハンユスクス」は殷周の時代にはまだ絶滅していなかったことから、龍のモデルになったのではないかという説も存在する。また竜という漢字は元々はこのワニを示す言葉であったともされている。

先秦時代は地域ごとに異なる龍のイメージ像があったが、秦漢時代になると龍の外見的な特徴やその性格がある程度定型化した。 (p.257)

秦漢時代に統一王朝が誕生したことにより、龍のイメージが統合され今日我々が龍と認識するものの原型ができあがった。12世紀、「三停九似説」の時代になるとより綿密に。

周正律(2015).「龍に関する研究の現状について」
https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/records/12709

リンク kansai-u.repo.nii.ac.jp 関西大学学術リポジトリ CMS,Netcommons,Maple
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リンク Wikipedia 中国の竜 中国の竜(ちゅうごくのりゅう)では、中国における竜について記述する。 竜(龍、音読み: りゅう、簡体字: 龙、拼音: lóng(ロン))は、本来的には中国の神話・伝承や造形美術にみられる想像上の動物を指すが、その概念は日本、朝鮮、ベトナムにも伝播し、それぞれの文化に組み込まれている。また、西洋のドラゴンも竜と翻訳され、逆に東洋の竜は西洋語では dragon (英・仏)などと訳される。ここでは主として中国固有の竜について述べる。 竜はカメ、魚、あるいは空想的な生き物など様々な姿をしているが、一般的には四足の 2 users 8
さとうしん @satoshin257

@Jiraygyo @Molice ご紹介したこの本→ amzn.asia/d/8vMsEuX を改めて見直してみたら、そのものズバリ「広く分布する龍の痕跡」という節がありました。3ページ程度の分量ですが、新石器時代の龍に関する遺物と龍への崇拝、そしてその広がりについてうまくまとめてあると思います。

2024-03-27 20:42:35
先史 文明への胎動

劉 イ,趙 春青,秦 文生

ワニと龍

てざわり @tezawari55

コテンラジオの龍の歴史によると、龍という感じはもともとハンユクスクという大型ワニに当てられた漢字であったが、気候変動で種族が絶滅したため、空いた漢字の概念に龍という想像上の生き物があてがわれたとの説を紹介していた。ワニなら逆鱗(の身体的特徴によく似た器官)がある。 x.com/Molice/status/…

2024-03-27 12:37:31
森瀬 繚@セーフモード @Molice

少し前、故事成語を小説で用いることの是非の話題に関連し、「龍の“逆鱗”というのは、『韓非子』以外の文献での言及はないのだろうか」との友人の面白げな指摘により、ちょっと調べてみたお話。

2024-03-26 19:32:40
リンク ヘタっぴなアルコール蒸留 ハンユスクスこそが龍の正体!? YouTube「コテンラジオ」でここのところ、「龍の歴史」という特集をやっている。 中国の「龍」の中で、龍の起…
てざわり @tezawari55

今やハンユスクスは絶滅してるので、逆鱗(臭腺)を刺激すると苦しんだり暴れたりするのかは確認できないけど、3-6mの大きさの待ち伏せタイプのワニだというから、面白半分で突っついたらヒトなんて食われちゃってただろうと思うと、そういう口伝があってもおかしくないかな。

2024-03-27 12:50:42
石川直生 @nao_kick

ワニのアゴの付け根には逆鱗と呼ばれる臭腺がある。 「逆鱗」とは言え、触れても怒りはしない。 臭腺という名称でも、臭いわけではない。 #クロコ豆知識 pic.twitter.com/Pxz7Lr2G66

2019-07-07 08:19:57
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てざわり @tezawari55

ハンユスクスは青銅器時代には生存確認ってことだから、殷周の時代はまだ絶滅しておらず、中国南部に生息してたみたい。その頃、文字は凄く限られた人しか扱えなかったから、逆鱗の特性を記載するような当時の書物はないんじゃないかな。

2024-03-27 12:54:34
リンク 名古屋大学研究成果情報 中国広東省で有史以降に人為的に絶滅した大型ワニを報告 国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学博物館の飯島 正也 学振特別研究員、東京大学総合研究博物館の米田 穣 教授、中国合肥工業大学のリュウ ジュン 教授らの研究グループは、中国広東省新会博物館、順徳博物館との共同研究で、中国広東省の青銅器... 1 user 22
日月火水木金土【現在なりすまし被害を受けています】 @All_WeekDays

引用でハンユスクス(中華韓愈鰐)とか臭腺の話を挙げているひとがいるけど、これでいう「龍の逆鱗」っておそらくでっかいワニの総排出腔に埋もれてる生殖器のことと思われるのよね。 触ると怒るというか、怒り含め興奮すると露出するというか・・・収納式かつ、当然鱗ではないわけで。。 x.com/molice/status/…

2024-03-27 19:12:30
日月火水木金土【現在なりすまし被害を受けています】 @All_WeekDays

ハンユスクス自体は大きいもので推定6m長で、十万年以上前から数百年前にかけて生息していたそうだけど、普段おとなしいとか騎乗できるとかはまんまワニの特徴なのよね(実際にハンユスクスに騎乗していたかはともかく、ワニの飼育自体はエジプトはじめ古代から記録がある)。

2024-03-27 19:18:31
日月火水木金土【現在なりすまし被害を受けています】 @All_WeekDays

そして漢字の龍については、「もともとあった竜という字を色々派手にした結果できた」文字らしく、先にできたのは「竜」の字だったとか。 これは象形文字とのことだけど、ワニを上から見た形なんじゃなかろうか。。

2024-03-27 19:21:40
日月火水木金土【現在なりすまし被害を受けています】 @All_WeekDays

現代でも長江にはヨウスコウアリゲーターってワニ種がいるけど、ハンユスクスも長江か、あるいはそれより南方に生息していたものと思われ。 つまり文明中心地である黄河周辺から見たら未開地みたいな人里離れたところなわけで、龍(竜)の神秘性とかも結局その辺から来てるのではなかろうか。

2024-03-27 19:28:46
日月火水木金土【現在なりすまし被害を受けています】 @All_WeekDays

ハンユスクスはBC2000年以前には青銅武器での交戦というか駆除にまつわる戦闘痕が見られたそうだから、鱗が固いとか云々はそういうとこから来てるんじゃないかな。

2024-03-27 19:33:16