山本義隆著「福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと」のポイントまとめ~原発問題が俯瞰できる!

福島原発の惨事が引き起こされた原因をいくつかの観点から分析しています。大国としての面子から核武装潜在能力を保持したい政治家・官僚、科学技術信仰から全体的視点や主体性を失う科学者、手厚い保護の元マスコミや学者を抱え込む電力会社、そして、最も注目すべきは、そもそもなぜ人類は自然への畏怖の念を喪失したか?なぜ科学技術は道を誤ったか?の分析です。
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花盗人 @nusubito_hana

70.ジョセフ・グランビル「自然は、より穏やかな挑発では明かすことのできないその秘められた部分を、巧みに操られた火の暴力によって白状する」・・・彼らに共通するのは能動的というよりは、むしろ攻撃的な実験思想。

2012-01-02 18:45:02
花盗人 @nusubito_hana

71.◎その延長線上に「科学技術による自然の征服」という思想が登場する。「技術が自然と競争して勝利を得ることに全てを賭ける」と語るベーコンにとって自然研究の目的は「行動により自然を征服する」ことにあった。

2012-01-02 18:47:08
花盗人 @nusubito_hana

72.デカルトもまた、『方法序説』で、新科学のもたらす「実践的な哲学」によって「私達は自然の主人公で所有者のようになることができるでしょう」と語っている。(環境破壊がここまで進んだ理由がわかります。原発問題も同様で17世紀につくられた自然支配思想が根底にあるということです。)

2012-01-02 18:49:43
花盗人 @nusubito_hana

73.ベーコンは更に、選ばれた専門の研究者集団が国家の庇護のもとで先進的研究と技術革新を組織的かつ目的意識的に遂行するべきことを提唱。(職人や技術者が公開した技術は、次第に隠蔽されていく)

2012-01-02 18:53:51
花盗人 @nusubito_hana

74.ガリレオの実験思想、デカルトの機械論、ニュートンの力概念による機械論の拡張、そしてペーコンの自然支配思想を背景に、近代の科学技術思想が形成されていった。自然と宇宙に見られる様々な力を探り出し、その法則を突き止め、それを自然の支配のために制御し使役するという目的において・・

2012-01-02 18:56:54
花盗人 @nusubito_hana

75.近代の科学技術は自然魔術思想の継承である。しかし、近代科学は古代哲学における学びの目的であった「事物の本質の探究」を「現象の定量的法則の確立」に置き換えただけでなく、魔術における物活論と有機体的世界像を要素還元主義にもとづく機械論的で数学的な世界像に置き換えることで・・・

2012-01-02 18:59:57
花盗人 @nusubito_hana

76.説明能力において極めて優れた自然理論を作り出した。そして同時に近代科学は、【重要】おのれの力を過信するとともに、自然に対する畏怖の念を忘れ去っていったのである。

2012-01-02 19:01:38
花盗人 @nusubito_hana

77.科学技術幻想の肥大化とその行く末:18世紀後半のジェームズ・ワットによる蒸気機関の改良とその大規模な実用化のころまでは、技術が先行し、理論は後追いしていた。ようやく19世紀中期になって、先行する技術的発展に熱力学理論が追いついた。

2012-01-02 19:06:04
花盗人 @nusubito_hana

78.蒸気機関-熱の動力としての使用-の実用化と発展は西欧社会に大きなインパクトを与え、科学技術の無際限の進歩という観念を一挙に肥大化させた。(こうして西洋人はどんどん増長してく)

2012-01-02 19:08:11
花盗人 @nusubito_hana

79.ナポレオンに仕えた官僚は1836年に「それ自身では弱く貧弱な存在にすぎない人間は、機械の助けを借りて、この無限の地球に手を広げ、大河の本流を、荒れ狂う風を、海の満ち干をわがものとする。機械により、大地の内蔵から、そこに埋まっていた燃料と金属を引き出し、更には・・・」

2012-01-02 19:12:43
花盗人 @nusubito_hana

80.燃料と金属を渡すまいと頑張る地下の大河を手懐ける。人類は機械を用いて水の一滴一滴を蒸気の貯水池に変え力の貯蔵庫にする。地球の脇においたら一つの原子にすぎない人類がその地球を倦むことなく従順に働く召使にしてしまう。地球は主人の監視の下でどんな過酷な労働もしてくれるようになる

2012-01-02 19:18:05
花盗人 @nusubito_hana

81.同時期に物理学では電磁気学の形成が進められた。る電池の発明は化学結合エネルギーが、ファラデーによる電磁誘導の発見は運動エネルギーが、共に電気エネルギーに変換されることを明らかにし、ここにはじめて科学理論が先行する形での技術開発、すなわち真の意味での科学技術がはじまった。

2012-01-02 19:23:04
花盗人 @nusubito_hana

82.国家主導化学の誕生:第二次世界大戦下、アメリカのマンハッタン計画は、理論的に導かれた実験室での理想化された実験によって個々の原子核のレベルで確認された最先端物理学の成果を、工業規模に拡大し、前人未到の原子爆弾の製造という技術に統合するものであった。

2012-01-02 19:56:09
花盗人 @nusubito_hana

83.抽象的で微視的な原子核理論から実際的で大規模な核工業までの長く入り組んだ途すじを踏破するその過程は、私企業を超える巨大な権力とその強固な目的意識に支えられ、官軍産の強力な指導性のもとに数多くの学者や技術者が動因され組織化されることで実現した。

2012-01-02 20:00:11
花盗人 @nusubito_hana

84.もちろん秘密の軍事研究であり、情報管理は徹底され、◎個々の学者の大部分は、全体としての目標への疑問は許されず、というか、そもそも原爆製造という最終目的すら教えられずに、与えられた問題の解決にひむきに取り組んだ。

2012-01-02 20:02:10
花盗人 @nusubito_hana

85.戦後米の宇宙開発などの科学技術振興は同様に官産軍が主導し、大国における政治的・軍事的目的、あるいは金融資本と大企業にとっての経済的目的に従属したものであり・・・

2012-01-02 20:06:26
花盗人 @nusubito_hana

86.動員された学者や技術者はその目標の実現という大前提に対しては疑問を提起することは許されず、ただその枠内で、目前に与えられた課題の達成に向けて自己の能力を最大限に発揮することのみが求められた。

2012-01-02 20:07:04
花盗人 @nusubito_hana

87.原子力開発の然り。GE社を辞職した技術者曰く「私のみるところでは、原子力産業は、われわれ個人個人の活動がつみ重ねられたときに起こる衝撃の大きさについては、僅かの理解力しかもたない視野の狭い専門家たちの産業になってきています。」

2012-01-02 20:10:13
花盗人 @nusubito_hana

88.他の技術者も辞表にしたためている「集団的に調整された政治的決定によってメーカーと建設に伴う莫大な費用、スケジュールが決まります。このような政治的圧力が結果の正しい評価による公平な決定の達成を、非常に難しくしています。」

2012-01-02 20:13:45
花盗人 @nusubito_hana

89.「原子力発電は“技術的な怪物”になってきており、誰が制御しようともその正体を明らかにすることはできないのです。」

2012-01-02 20:15:12
花盗人 @nusubito_hana

90.【重要】生産規模の巨大化と生産能率の向上のみがひたすら追求されるが、そのこと自体が意味のあることなのかどうかは問われることはない。そのことに疑問を呈した人間はただ脱落してゆくだけとされる。こうして、“怪物”化した組織のなかで、技術者や科学者は主体性を喪失していく。

2012-01-02 20:17:43
花盗人 @nusubito_hana

91.原発ファシズム:反原発を表明し国の政策に抵抗し東京地検特捜部により汚職事件をでっち上げられ政治生命を絶たれた福島県佐藤栄佐久前知事「同じ方向しか見ず身内意識に凝り固まる原子力技術者だけでは安全は確保できない。制御できないという意味において地元にとって原発は巨大モンスター」

2012-01-02 20:24:24
花盗人 @nusubito_hana

92.原発の部品製造にも関わった田中三彦氏「これまで日本の原子力発電は、意見の対立や批判精神が全く存在しないモノトーンの集団によって推進されてきた。国や有識者、電力会社、原発製造メーカーの見解は常に一つの方向にまとまり、決して“内輪もめ”といった醜態をさらすことがない・・・

2012-01-02 20:28:20
花盗人 @nusubito_hana

93.・・・唯一彼らが批判精神をむき出しにするのは、反原発に対してである。この機械的な反応、無人格性、無批判性こそ、この先わが国で原子力発電が継続されていく際の最大の危険要素かもしれない。」(←震災後TVに登場した保安院や東電の幹部の顔が思い浮かんだ・・・)

2012-01-02 20:31:29
花盗人 @nusubito_hana

94.戦後の日本における九つの電力会社による地域独占体制も、そのルーツは先述の戦時統制経済と電力国家管理にあった。そして、その大電力会社が旧財閥系大企業とともに「国策民営」としての戦後の原子力開発を支えてゆく。

2012-01-02 20:33:43
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