アンデルセン『人魚姫』日本語意訳 まとめ Vol.1

テンション高めの語り口調です。 コピペ転載等、どうぞご自由に。
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23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「いくつか船を見たわ」それはそれはとーっても遠くにね。あんまり遠すぎてカモメに見えたくらい。「あと宙返りするお調子者のイルカたちと、水を噴き出す巨大なクジラも見たのよ」そこらへん一帯を何百もの噴水でいっぱいにしたみたいなね。 #人魚姫 36

2012-03-19 23:19:04
23時の夢物語 @23novel

#twnovel さあ、今度は5番目の姫さまの番よ。姫さまの誕生日は冬だったから、他の姫さまたちがはじめての旅で見た景色とは、ちょっとちがってた。「海はエメラルドグリーンに変わっていて、大きな氷山が浮かんでいたわ。一つ一つが真珠みたいだった…」姫さまは報告したの。 #人魚姫 37

2012-03-19 23:32:40
23時の夢物語 @23novel

#twnovel ま、人間が作った教会の塔よりも大きい「真珠」だったけどね。「すてきな形だったわ。ダイヤモンドみたいに輝いてた」姫さまがいちばん大きな氷山に座って、長い髪を風になびかせているとね…、「私を見た船ったら、警笛を鳴らしながら方向転換しちゃったのよ」 #人魚姫 38

2012-03-19 23:42:03

From Wikipedia「ダイヤモンド」

23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「夜になると空がどんより暗い雲で覆われてしまったの。雷が鳴り響いて、光がほとばしったわ。大きな氷山なんかまぶしいほどに光ってね、黒い波がそれをドーンと空高くまで持ち上げてたんだから。船たちはみんな碇を下ろして、おそろしさに震えてたわ」 #人魚姫 39

2012-03-19 23:51:25
23時の夢物語 @23novel

#twnovel でもね、姫さまはへっちゃらな顔で浮いている氷に座って、青い光が海を輝かせながらジグザグに落ちていくのを眺めていたの。姫さまたちははじめて海の上にいった日から、目にするもののめずらしさと美しさに大喜びしていたわ。だけど、それも大きくなるまでの話…。 #人魚姫 40

2012-03-20 00:03:51
23時の夢物語 @23novel

#twnovel ひとたびどこでも好きなところへ行ける自由を手にすると、逆にそんなものどうでもよくなって、姫さまたちはお家に帰りたくなったの。1カ月もすれば「海の底のお家がいちばんよ」って言い出すのがお定まりのコース。みんな「家がやっぱり落ち着くわ」ってね。 #人魚姫 41

2012-03-20 23:18:41
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 毎晩のように5人の姫さまたちは腕を組んでいっしょに海の上へと遊びに行ってたわ。姫さまたちの声は人間よりもずっと澄んでいて、それは素敵な声だった。だから嵐の日には「また船が壊れるわよ」ってわくわくしながら、みんなで歌を歌ったのよ。 #人魚姫 42

2012-03-20 23:31:14
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 姫さまたちは叶う限りの魅力的な声で、海の底の素晴らしさを歌っていたわ。「船乗りさん、海の底に来ることを怖がる必要なんてないのよ」って。でも船乗りたちには姫さまたちの言葉がわからないから、みんな嵐の音だと思っていたわ。 #人魚姫 43

2012-03-20 23:44:21

From BEIZ Graphics

23時の夢物語 @23novel

#twnovel あるいは「海の底にある、この「エリュシオン(幸福の島)」を目にすることができますように」って、姫さまたちは歌っていたわ。だって人間って、船が沈んだらすぐ溺れちゃうじゃない?だからせっかく人魚のお城に着いても、みーんな死んでるんだもの。 #人魚姫 44

2012-03-20 23:57:20
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 毎晩こんな風に姉姫さまたちが腕を組んで海の上に行ってる間、末姫さまはただ一人ぽつーんと取り残されていたの。泣きそうになりながら、姉姫さまたちを見送っていたわ。でも人魚って泣けないの。人魚は、だから、人間よりもつらいのよ…。 #人魚姫 45

2012-03-21 00:12:46
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「ああ、15歳でさえあったなら!」末姫さまは言ってたわ。「わたしにはわかるの。わたし、海の上の世界が、そこで暮らす人間が、きっときっと大好きになると思う」そうしてついに、末姫さまの15歳の誕生日になったのよ。 #人魚姫 46

2012-03-21 23:17:26
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「さあ、これでお前も大人ですよ」おばあさま、つまり前女王陛下はおっしゃったわ。「いらっしゃい。姉さまたちと同じようにきれいに飾ってあげましょうね」そして純白の百合の花冠(花びらが真珠でできたやつね)を末姫さまの髪に置いたの。 #人魚姫 47

2012-03-21 23:32:59

From Wikipedia「真珠」

23時の夢物語 @23novel

#twnovel それから、おばあさまは「お前の身分の高さを証明できるようにね」って、8個の牡蠣を末姫さまのしっぽに取り付けようともしたわ。「痛いわ、おばあさま!」末姫さまは言ったの。「きれいになるためですよ。我慢なさい」とおばあさま。 #人魚姫 48

2012-03-21 23:40:43
23時の夢物語 @23novel

#twnovel ああ…!末姫さまはどんなに願ったことかしら。「この豪華な牡蠣飾りをみーんなバラバラ振り落として、ずっしり重たい花冠も脱ぎ捨てちゃえたら…」ってね。末姫さまには、姫さまのお庭に咲いてる薔薇色のお花たちの方が、ずっとずーっと似合うのにね。 #人魚姫 49

2012-03-21 23:56:55
23時の夢物語 @23novel

#twnovel だけど末姫さまには、「こんなのはイヤです」なんて言って逆らう勇気はなかったの。姫さまは「いってきます」って言うと、光みたいに早く、泡のように軽やかに、海を泳いで上っていったわ…。 #人魚姫 50

2012-03-22 00:11:28
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 姫さまが海の上に着いたのは、ちょうどお日さまが沈んだときだった。でもまだ雲は薔薇色と黄金に輝いて、薄桃色の空には宵の明星が瞬いていたわ。風はやさしくさわやかで、海はまるで湖のように静かだった。そこに大きな帆船が1隻浮かんでたの。 #人魚姫 51

2012-03-22 23:21:44
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 3本のマストを持った大きな船よ。帆を1つだけ張っててね、ま、風もなかったし、船員が何人かその帆綱や帆桁(ほげた)やマストの先に座っていたわ。船の上からは楽器の演奏や歌声が流れてきて、夜闇が近づいてくると何百個ものランタンが派手に灯されたの。 #人魚姫 52

2012-03-22 23:38:07

From Wikimedia Commons「Ship」

23時の夢物語 @23novel

#twnovel ほら、ちょうど万国旗が風にはためいてるみたいな感じよ。船室の窓が見えるとこまで、末姫さまは泳いでいったわ。波が高くなるたびに、姫さまは波に持ち上げられて、透明なガラスの向こうのきれいに着飾った人たちを見ることができたの…。 #人魚姫 53

2012-03-22 23:49:40
23時の夢物語 @23novel

#twnovel その中でのいちばんのハンサムさんが、黒い瞳の若い王子さまだった。16歳以上には見えなかったわ。その晩のパーティーは王子さまの誕生日のお祝いだったの。船員たちがダンスを踊っていた甲板に、王子さまが姿を現すとね、何百個もの花火が打ち上げられて…。 #人魚姫 54

2012-03-22 23:58:56
23時の夢物語 @23novel

#twnovel まるで昼の光みたいだったわ。末姫さまはものすごく驚いて、海の中に潜ってしまったほどよ。好奇心に負けてすぐまた戻ってきたけどね。姫さまのまわりに、天国の星がみんな降りそそいできたようだった。「こんなすごい魔法の炎、今まで一度だって見たことないわ…」 #人魚姫 55

2012-03-23 00:18:34

From BEIZ Graphics

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