再発見される戦国武将の諱について

丸島和洋先生(@kurmacf )による戦国武将の諱に関する近年の動向のお話。非常に面白かったので、まとめさせて頂きました。 【追記】 豊臣時代の諱表記に関するお話を追加しました。
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MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

織田信長関係でも、弟信行の正しい実名が信勝というのは大分知れ渡りました。ただ、彼が改名を繰り返し、最後の名前が信成であったことはあまり知られていません。信長の子息で武田氏に捉えられた御坊丸も、実名は勝長とされていますが、信房が正しい。これも最近明らかになったことのひとつです。

2012-03-14 02:35:13
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

実名の読みも難しいです。穴山信君はのぶきみ、と長らく読まれてきましたが、のぶただ、が正しいと最近わかりました。畠山義就もよしひろ、斯波義将もよしゆき、と仮名をふった史料があります。いま困っているのが上野国衆の安中重繁。なんて読むんでしょうね?

2012-03-14 02:48:04
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ちなみに、今川家嫡男の幼名龍王丸は、辰王丸と宛て字した例がありますから、たつおうまる、と読んだとわかります。宛て字が当たり前のおおらかな時代の有難い副産物です。

2012-03-14 02:59:36
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ああ、それは気がつきませんでした(笑) RT @manriki: 勘十郎は信長と家督を争う愚を悟り、後半世をフィギュアスケート選手として生きたという。 RT …弟信行の正しい実名が信勝というのは大分知れ渡りました。ただ、彼が改名を繰り返し、最後の名前が信成であったことは…

2012-03-14 03:04:29
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

なお、織田信勝については、柴裕之編著『尾張織田氏』(岩田書院)を御覧ください。かなり詳しく書かれています。

2012-03-14 03:11:30
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

.@1000_MARU 織田信勝の場合は、政治的な動きとからみます。信長にそむき、自らが織田家督と称したタイミングで達成(守護代織田達勝家からの偏諱とみられる)、信長に降伏した段階で信成に改めています。斎藤龍興についてはよく知りません。すいません。文書に出てくるんでしょうか?

2012-03-14 03:26:05
tonobataan @tonobataan

旗本・大名旧臣所蔵文書の状況について@kurmacfさんがツイートしておられるが全くその通り。立場上某国衆の史料を探しているが、ここ数年古書市場に新出文書が流通していて、そのたびに驚いている。流出元の特定はできていない。桶狭間の甚太郎の正体が分かるというラッキーな副産物はあった。

2012-03-14 07:05:58

【以下付記】
諱で書かれた書状が敬意の証だったという
書札礼の変化の話。

MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

通称ではなく、敢えて実名を記すことが敬意の表現とされていた時代があります。いつかというと、豊臣期です。五大老に宛てた文書で、徳川家康だけ実名呼び捨てで書かれていることなどからわかります。実に不思議な現象です。

2012-03-14 18:37:29
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

実は戦国時代でも、九州などでは、大名や国衆同士の外交書簡で、宛名に実名呼び捨てが多用されています。外交書簡ですから、見下しているわけではありません。西国の文化でしょうか?ただ、武田氏でも一点だけ、実名呼び捨てで敬意を表した例があります。東国でも、探せばまだみつかるかもしれません。

2012-03-14 18:42:00
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ただ、これはあくまで手紙の書き方(書札礼・しょさつれい、といいます)の話で、日常会話でどうだったかまではわかりません。おそらく、会話では失礼だったんじゃないかなあ、と思っています。

2012-03-14 18:46:06
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

その通りです。 RT @aonoa_uky: 秀吉の遺書みたいなのも家康だけ呼び捨てだった気が RT @kurmacf: 通称ではなく、敢えて実名を記すことが敬意の表現とされていた時代があります。いつかというと、豊臣期です。五大老に宛てた文書で、徳川家康だけ実名呼び捨てで書かれ…

2012-03-14 18:48:29
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ちなみに通常の文書では、名字+通称よりも、名字だけで宛名を書くほうが丁寧になります。これは名字だけでどこの誰だか分かりますよ、ということを意味しています。

2012-03-14 18:52:30
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

逆に、通称だけを宛名に記す場合もあります。これは、同族(同名・どうみょう、といいます)に宛てて出すケースが多いです。親族だから、名字はいらない、というわけですね。これを利用して、同名でもないのに宛名に通称だけ書いた書状を出して、親近感を示す場合もあるようです。

2012-03-14 18:56:49
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

確かにそうですね。実は北条氏綱と長尾為景も、実名の一部で呼び合う書状を交わしています。 RT @mknhrk: @kurmacf 東国だと豊臣期以前はあまり思い浮かびませんが、佐竹から上杉景勝に向けてのものや、伊達政宗関係では、たまに諱のものを見て驚いていました

2012-03-14 18:59:57
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

あ、いけない。実名はじつみょう、仮名はけみょうと読みます。

2012-03-14 19:03:53
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ちなみに出家した相手に対し、出家号で文書を出す時は、殿とか様をつけません。真田幸綱であれば、一徳斎と呼び捨てにされます。時々ひとりだけ地位が低い、と書いている文章をみかけますが、間違いです。

2012-03-14 19:11:15
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

また、出家者を受領名で呼ぶ場合は、最後の守を省略するようです。たとえば小山田備中殿とあれば、出家している可能性が大きくなります。

2012-03-14 19:12:33
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

多分そうだと思います。たしかに毛利も多いですね。 RT @y_urimyn: @kurmacf はじめまして。諱関連のツイート、大変勉強になります。毛利輝元も呼び捨てにされている文書がままありますが、これもやはり敬意の表れにあたるのでしょうか

2012-03-14 19:20:53
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

そうです。 RT @mknhrk: @kurmacf ああ為と綱ですね。あれも考えてみれば諱の一部ですからね

2012-03-14 19:26:37
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

だと思ってます。北九州との関係も深いので。 RT @y_urimyn: @kurmacf ありがとうございます。毛利が多いのは西国文化圏であることにも一つあるでしょうか

2012-03-14 19:31:58
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

そこまでは調べてません。すいません。 RT @y_urimyn: @kurmacf 九州の書札礼について、今川了俊が探題時代に書き残したものがありますが、これが元になってたりするのでしょうか。何度もすみません。

2012-03-14 19:59:57