twitter公開書籍 東大オタク学講座(その1)

東大オタク学講座 【著 者】岡田斗司夫 【出版社】講談社 【定価】1800円(税別) 【発行日】1997年9月26日初版発行 続きを読む
3
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

だから「エヴァンゲリオンの綾波レイがイイ!」と叫んでるようなのは、これはオタクではなくて「ファン」なんです。 #shoseki

2012-02-26 22:34:13
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

これが高じて「マニア」になると、対象そのものよりもそれに対する研究や収集の方にのめり込んでいくようになります。 #shoseki

2012-02-26 22:34:24
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

アイドルのコンサートに行っても、ステージの上にいる女の子なんかろくに目もくれず、メモを片手に「ああ、今日はイントロが何秒だった」とか「ここの振り付けがちょっと ズレていた」とか、そういうチェックに熱中しているという、つまりはこれが「マニア」ですね。 #shoseki

2012-02-26 22:34:43
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

対象への愛情が一度裏返ってしまって、愛するための手段=収 集や研究という客観的なスタイルへ走ってしまったという形です。このスタイルでいくらディープな方へ突走っても単なる「マニア、コレクター」でしかなく、 まだまだ「オタク」とは言えません。 #shoseki

2012-02-26 22:34:55
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

つまり「ファン」や「マニア」と「オタク」との差は、対象と自分との関係を振り返れるかどうかなんです。一方的に愛情 を注いだり闇雲にデータを集めたりするだけでなく、それらが自分にとってどういうものなのかを考えて再配列しなければなりません。 #shoseki

2012-02-26 22:35:08
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

司馬遼太郎的な言葉でいえば、独自の視点、「歴史観」とでもいうようなものが必要なわけですね。 #shoseki

2012-02-26 22:35:19
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

『銀河旋風ブライガー』が好きなら、 ただ「ブライガーがいい!」と叫んだりあらゆるアイテムをコレクションしたりするだけでなく、「なぜ『銀河旋風ブライガー』という作品が自分にとって素晴らしいのか、特殊なのか」を自分の言葉で語らなければならないのです。 #shoseki

2012-02-26 22:35:37
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

当然、これには「好きなだけ」「集めるだけ」とは一線を画した、高度な知性が要求されるでしょう。 #shoseki

2012-02-26 22:35:52
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

知性が要求されるならば、東京大学で学ぶような人には皆オタクの資質があるのではないかと、これが全受講生オタク化を思いついたきっ かけでした。 #shoseki

2012-02-26 22:36:03
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

そうです。オタクというのは研究したり分類したりするような「学問」にはなりにくいんです。学問というのは研究対象の上にさらに自分なりの研究を重ねる形で発展していきますね。 #shoseki

2012-02-26 22:36:19
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

先達が従来の数学研究の上に新しく構築したなんらかの公式なり定理なりがあって、次の人はそれらをすべて踏まえた上でさらに新しい何かを上乗せしていく。そのような形で発展していきます。 #shoseki

2012-02-26 22:36:35
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

ところがオタクは学問というよりもむしろ茶道や華道のような「道」に近く、他人の成果の上に自分なりの新成果を積み上げることができ ません。 #shoseki

2012-02-26 22:36:45
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

「学ぶもの」ではなく「なるもの」であって、どちらかというとインナースペースへの旅、自己求道に近い、実践的なものなんです。 #shoseki

2012-02-26 22:36:58
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

だからいくら私が「~というわけで金田伊功のアニメはすごいんだ!」とか「『銀河旋風ブライガー』の歴史的ポジションってのは、まず国際映画社というのがあってね」などとやっても、それを皆さん自身の言葉として吸収し、さらに新しい論理を展開するというのはまず不可能でしょう。 #shoseki

2012-02-26 22:37:18
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

しかし一見不可能なこと、ムダなことのようではあっても、「道」の場合は「心得と指南」を伝えることができます。 #shoseki

2012-02-26 22:37:28
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

「心得」というのはたとえば、あるジャンルに対してオタクぶりを発揮しているゲストの姿を見て、かれらがどのような方法で対象にアプローチしているのかを観察し、自分のとらえ方と比較するためのものです。 #shoseki

2012-02-26 22:37:51
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

また「指南」とは、どのような見方をすればよいのか、どんなアプローチの仕方があるのかを知るためのサポート的なものですね。学問でない以上「これが正解だよ」という教え方はできませんが、「こういうやり方もあるよ」とサポートすることは可能なわけです。 #shoseki

2012-02-26 22:38:05
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

たとえば「ここの場面の格好よさは、コマ送りで見ると分かるんだよ。ほらここの部分、すごいイカした流れになってるだろう」というような形で解説することもできますし、他に「通の眼」 というものもあります。 #shoseki

2012-02-26 22:38:22
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

制作現場やバックグラウンドの事情を知れば、「この作品のこの時期は予算も時間もなかったからこんななんだよ」と論じることができますね。 #shoseki

2012-02-26 22:38:36
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

試しに『新世紀エヴァンゲリオン』を通の眼で見てみましょう。 #shoseki

2012-02-26 22:38:46
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

『エヴァ』は従来のアニメ作品と一線を画す精密な描き込みなどで評判になりました。ところが『エヴァ』の総監督である庵野秀明さんは、前作『ふしぎの海のナディア』ではここまで細かい作画をしませんでした。 #shoseki

2012-02-26 22:38:59
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

じゃあなぜ『エヴァ』でブレイクしたのか。通の眼で探っていくと彼のルーツである 大学時代へと突き当たります。 #shoseki

2012-02-26 22:39:10
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

庵野監督は大阪芸大在学中、二一歳くらいの頃に『帰ってきたウルトラマン』という特撮映画を自主制作しました。 #shoseki

2012-02-26 22:39:20
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

ミニチュアは全部紙製だし庵野さん演じるウルトラマンは素顔でカラータイマーつけただけというデタラメな作品で、制作スタッフとして関わっていた私はフィルムを見るたびにツラい思い出ばかりが頭をよぎるのですが、ここに彼のルーツがあるわけですね。 #shoseki

2012-02-26 22:39:36
岡田斗司夫bot @OkadaToshio_bot

で、分かる人には分かると思うんですが、『エヴァ』の細かい作画や画面演出というのは特撮映画から技法を持ってきているんです。ある場面を作るときに、庵野さんは「特撮映画だったらどうなるだろう」と、頭の中で一回画面を組み立てているんですね。 #shoseki

2012-02-26 22:39:53