NHK・クローズアップ現代「漢方薬に異変あり!?伝統医療覇権争い」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

4月24日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:渡辺賢治(慶応義塾大学医学部准教授)
4
とし @toshihiro36

<ナレーション> 価格高騰の原因は、世界的な需要の増加です。中国・河北省にあるこの世界最大の生薬市場では、最近、欧米の企業からの買い付けが急激に増えているといいます。欧米で売り上げを伸ばしているサプリメントや健康食品。その原料に中国の生薬が使われるようになっています。

2012-04-24 21:31:02
とし @toshihiro36

<ナレーション> ヨーロッパへの輸出額は1年で86%も増加。アメリカ向けも67%増しと大幅に伸びています。この生薬の争奪戦に拍車をかけているのが、中国自身が乗り出した伝統医療の強化政策です。北京市内にある伝統医療を専門に行う病院です。午前4時から患者が長蛇の列をつくっています。

2012-04-24 21:39:04
とし @toshihiro36

<ナレーション> 人気のきっかけは中国政府が3年前から取り組んでいる、保険制度の改革でした。もともと西洋の医学と比べて割安だった伝統医療に、新たに保険を適用。治療費を半額近くに抑えることで患者を大幅に増やし、伝統医療を活性化させようと考えたのです。

2012-04-24 21:44:33
とし @toshihiro36

<ナレーション> 患者は増え続け、この病院では生薬の使用量が1日2トンにも達しています。

2012-04-24 21:48:22
とし @toshihiro36

徐・副院長:政府の手厚い支援のおかげで、最近、伝統医療は飛躍的に発展しています。

2012-04-24 21:50:14
とし @toshihiro36

<ナレーション> 生薬をめぐる環境が厳しくなるなか、日本独自の漢方をどう守っていくのか。業界最大手の漢方薬メーカーです。原料確保の戦略会議で検討されていたのは、生薬の国産化を急ピッチで進めることでした。

2012-04-24 21:53:47
とし @toshihiro36

会議中の発言:今年度はタバコの転作を考えている生産者が結構おりますので、農協さんにお話をしてアプローチをかけてもらってます。

2012-04-24 21:56:12
とし @toshihiro36

<ナレーション> 狙いをつけたのは地方の山あいの農村です。高知県北部の越知町ではコメやタバコから転作する農家を募って、認知症の患者が飲む漢方薬の生薬を大規模に栽培しはじめました。新たに生薬を栽培してくれる農家を増やそうと、今も各地で説明会を開いています。

2012-04-24 22:01:12
とし @toshihiro36

新規栽培農家:タバコの廃作がありましてね。 そういうわけで、自分らもちょっと作ってみようかと。

2012-04-24 22:03:43
とし @toshihiro36

<ナレーション> 世界に誇る日本の漢方を守りたい。メーカーでは今後10年で、全国に1000ヘクタールを超える農地を確保していく計画です。

2012-04-24 22:06:35
とし @toshihiro36

岩沢本部長:日本国内で栽培地を拡大していくことが、第一優先の課題だと考えています。やはり非常にリスクヘッジになるということだと思いますね。

2012-04-24 22:09:13

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷:今夜はスタジオに漢方医学の専門家、慶應義塾大学漢方医学センター准教授の渡辺賢治さんにお越しいただきました。国内での栽培を促そうとしていますけれども。この生薬の確保あるいは争奪戦、今後どうなるとお考えですか?

2012-04-24 22:14:20
とし @toshihiro36

渡辺:なによりもまず…マーケットが世界規模で10兆円なんですね。日本の漢方用の生薬製剤が1200億円。市場規模の大きさがわかると思います。この市場規模はどんどん大きくなっています。一つは科学的根拠が出ています。科学的根拠が明らかになることによって需要が高まると。

2012-04-24 22:18:31
とし @toshihiro36

渡辺:その一方で中国が自制しないというのもあります。限られた非常に限定された資源なんですね。この生薬資源が需要の伸びとともに、枯渇が心配されるということで…これから争奪戦というのはますます激しさを増すと考えられます。

2012-04-24 22:24:45
とし @toshihiro36

国谷:そうした資源が乏しくなることを、最も心配されているのは患者の方々ではないかと思うんですけれども。その生薬が手に入らない、あるいは手に入ったとしても非常に負担が大きくなってしまうと。そういった状況のなかで、国内での栽培がうんと広がる環境になってきていますか?

2012-04-24 22:29:32
とし @toshihiro36

渡辺:先ほどのVTRにもありましたが、患者さんが非常に困っていると。一つの理由は生薬の価格は上がるんですが、実際に薬局が売る価格というのは保険適用の場合は薬価というものがありまして…これを国が決めているんですね。薬価は2年ごとの改正で下がっていると。

2012-04-24 22:34:27
とし @toshihiro36

渡辺:そうしますと薬局にとって、売れば売るほど赤字ということになって…だったら売らない方がましだと徹底するわけです。一番デメリットになるのは患者さんなんですね。

2012-04-24 22:37:01
とし @toshihiro36

国谷:栽培農家はどうですか?

2012-04-24 22:38:04
とし @toshihiro36

渡辺:薬価が下がるということは患者さんにとってはメリットが大きいんですけれども、薬価が安いことによってそれを支える生薬の値段も抑えられます。そうしますと国内栽培を振興しようとする場合に、それが大きな足かせになるといえます。

2012-04-24 22:41:52
とし @toshihiro36

国谷:インセンティブが働かないということになるわけですね。ただ、いろいろな化学的根拠が見えてきた。そこで手術の後に回復を早めるために使われたり、認知症の症状を和らげたり。そういったことで漢方が使われるようになっていますが、日本の医療現場での漢方の使われ方の特徴は?

2012-04-24 22:48:42
とし @toshihiro36

渡辺:中国・韓国では伝統医療のライセンスと西洋医学の医師免許が分かれています。だけど日本の場合には西洋医学の大学を出て、西洋医学を修めた人が漢方を処方すると。医師免許が一つのなかで最先端医療もできるし、伝統医療もできると。

2012-04-24 22:53:21
とし @toshihiro36

渡辺:例えはロボット手術のあとに漢方薬を使う。あるいはガン治療と一緒に漢方薬を使う。こういった最先端の医療と伝統医療が融合したというのが日本の特徴です。こういったことは「統合医療」という言葉がありますけれども、世界の中でも比類ないユニークなモデルとなっていて、

2012-04-24 22:57:38
とし @toshihiro36

渡辺:日本の「統合医療」のモデルが逆に世界貢献ができるという大きな可能性を秘めております。

2012-04-24 22:59:40