「100mSv以下は安全」説はいつから語られはじめるのか?―JCO臨界事故報道を見直す:『読売新聞』
「臨界事故では、構内にいた社員や付近の住民らの放射線被ばく量がどの程度だったのかが、調査の焦点の一つになっている。事故で放出された主な放射線が人体への影響データに乏しい中性子線だったうえ、臨界直後からどれだけの放射線が出ていたか、はっきりしていないからだ」(ibid.)
2012-05-03 12:34:30「東京大原子力研究総合センターの小佐古敏荘・助教授によると、臨界直後に放出される高エネルギーの中性子線は、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準で1グレイが20シーベルトに相当するという」(ibid.)
2012-05-03 12:34:51「換算の際には、慎重を期す意味で高めの値がよく取られるが、そうすると、敷地内にいたJCO関係者で約250ミり*敷地外の一般人でも約100ミリ*と、放射線業務従事者の年間被ばく限度(50ミリ・シーベルト)を大きく上回る。一般人の被ばく限度は年間1ミリ・シーベルト」(ibid.)
2012-05-03 12:35:28「この換算率をどうするかは原子力安全委員会でも議論になっている。JCOの付近住民らへの補償ともかかわるだけに微妙な問題と言える。科学技術庁は*10月20日に事故現場の沈殿槽から採取したウラン溶液を分析して*どの程度の中性子線が出たかを計算し*事故で広がった放射線量を特定する」
2012-05-03 12:36:36「核燃料加工会社JCOの臨界事故で、科学技術庁は四日、事故による周辺への放射線影響の評価をまとめ、原子力安全委員会(佐藤一男委員長)に報告した。*実際の被ばく量の測定結果を踏まえ、「周辺住民への被ばく線量は、急性の健康影響が現れるようなレベルではない」と結論付けた」(ibid.)
2012-05-03 12:40:43「ただ、放射線の長期的な人体影響については不明な点もあるため、今後も長期の住民の観察が必要として同委員会内に専門家による「健康管理検討委員会」を設け、住民らに対する健康管理の方針などを審議する」(ibid.)
2012-05-03 12:40:57「 現場に最も近い敷地境界の八十メートル地点では、最初の二十五分間で七十五ミリ・シーベルトで、臨界終了まで居続けると、百六十ミリ・シーベルトを被ばくする計算。一般人の年間被ばく許容量一ミリ・シーベルトと比べると、八十メートル地点で百六十倍、三百五十メートル地点で二倍」(ibid.
2012-05-03 12:41:22「臨界終了時での被ばく量を一ミリ・シーベルト以下に抑えるには、四百二十メートル以上離れる必要があった。/ただ、推計値は、「あくまで計算上の最大値」(科技庁)で、途中の樹木や建物により減衰する効果もある」(ibid.)
2012-05-03 12:41:44「科技庁の岡崎俊雄事務次官は「施設周辺の住民の被ばく量は、直ちに健康に影響の出る値ではない」としながらも、「茨城県や東海村など地元自治体と協力しながら、事故時の周辺住民の行動を詳しく調査し、きめ細かい健康管理を実施していきたい」と述べた」(ibid.)
2012-05-03 12:42:09「市川龍資・元放射線医学総合研究所科学研究官は、「私が懸念していたのは百五十メートル以上でも、しばらくの間、家屋内にいた人たちの線量だ。しかし、その場合でも最高で約二十ミリ・シーベルトと人体への影響を評価できない程低い数値といえる」と指摘」(ibid.)
2012-05-03 12:42:53「一般住民の避難が三百五十メートル以内と設定された点について、東大アイソトープ総合センターの小泉好延助手は、「結果的には五、六百メートル以内の住民は全員避難させるべきだった*」(ibid.)
2012-05-03 12:43:35「安全を考えれば、半径一キロ以内の住民にすぐに避難勧告を出していても良かった。原子力安全委員会や科技庁が指示してすぐ避難させていれば、住民の被ばくは避けられた」としている」(ibid.)
2012-05-03 12:43:47「いずれにせよ、今回明らかになった被ばく線量はあくまで推計値に過ぎず、東大原子力研究総合センターの小佐古敏荘(としそう)助教授は、「*いつ、どんな場所にいて、どう避難したかを詳細に調べることで被ばく量は大きく変わる。個々の住民の影響を確定する今後の作業が重要だ」と指摘」ibid.
2012-05-03 12:44:35「放射線の影響については「広島、長崎の研究では百五十―二百ミリ・シーベルトを浴びた人は長期的にみて発がんの影響が若干上がることがわかっている。数ミリ・シーベルト程度では医学的には健康への影響はみられず、過度に心配する必要はないが、*」
2012-05-03 12:45:22「一般人の年間被ばく限度は一ミリ・シーベルトと定められており、事業者や行政は被ばくした人の定期的な医学的チェックや補償措置が必要。今後は周辺住民に対して被ばくの程度に応じた対策がいる」と話している」(ibid.)
2012-05-03 12:45:33「橋本昌知事は「『直ちに健康影響を懸念する必要はない』との発表があり、少しほっとしている。大きな影響は出ないとの科技庁の判断を信じ、県としてきめ細かい対応をしていく」と述べ、今後も長期的な健康管理に取り組んでいく姿勢を示した」(ibid.)
2012-05-03 12:46:15「100mSv以下は安全」説を探して」 / 『読売新聞』1999.11.24「臨界事故の住民被ばく量算定 長期的疫学調査で不安解消へ全力を(解説)」
2012-05-03 12:48:38「東海村の臨界事故で、科学技術庁による周辺住民の被ばく量の算定、健康調査が始まった。住民の不安にこたえることができるだろうか。*科技庁が十四日に*開いた説明会では村民の不安が爆発。*村上達也村長は「同庁が周囲の放射線量を発表してから村民の不安が逆に増えたようだ」」(ibid.)
2012-05-03 12:50:24「科技庁が推定した周囲の放射線量は、現場から八十メートル離れた敷地境界で百六十、百メートルで九十、三百五十メートルで二・一、五百メートルで〇・四九各ミリ・シーベルト。東大や京大、日本原子力研究所の労働組合なども別々に推定結果を発表しているが、いずれも同庁の値と大差はない」ibid
2012-05-03 12:50:58「この数値は、臨界が継続した二十時間の間、遮へい物のない戸外に立ち続けていた場合の数値で、家の中にいたり、避難した場合、実際の被ばく量はもっと小さくなる。この放射線被ばくの値を、どう評価したらよいのだろうか?」(ibid.)
2012-05-03 12:51:12「二千ミリ・シーベルト以上の人から五ミリ・シーベルト以下まで、浴びた放射線量ごとに分けて調べた結果、固形がんでは五十ミリ・シーベルト、白血病では二百ミリ・シーベルト以上浴びた場合、がんで亡くなる危険性が若干高いことがわかった」(ibid.)
2012-05-03 12:51:59「 調査にあたった馬淵清彦放射線影響研究所疫学部長によると、一般的にがんで死亡する日本人は百人中二十人で、五十ミリ・シーベルト浴びた人の集団では、その割合が二十・五人になる計算という。それより低い放射線量では結論は出なかったが、さらに危険度は低いという」(ibid.)
2012-05-03 12:52:20「何ミリ・シーベルト以下なら安心という値はないが、例えば病院で全身のCT(コンピューター断層撮影)を撮ると六―七ミリ・シーベルト、宇宙線が影響する国際線では東京―ニューヨーク間の十往復で一・九ミリ・シーベルト浴びるとされる」(ibid.)
2012-05-03 12:52:58