- toshihiro36
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<ナレーション> この日、市の職員がやってきました。佐藤さんの農地に植物工場が建てられるかどうか、視察に来ました。南相馬市では今後3年間で7棟の植物工場を作り、農業再生の出発点にしたいと考えています。
2012-06-13 06:15:18門馬:とりあえず「やってみたい」という方がいてくれるので…南相馬市の農業は、全然やりたくないという農家さんじゃないもんですから。少しちょっと再生に向けて、スタートは切れるのかなと思います。
2012-06-13 06:19:59スタジオに戻ります
国谷:今夜は農業経済学がご専門で、宮城県の震災復興会議の委員も務められました名古屋大学教授・生源寺眞一さんにお越しいただきました。被災地の方々の中には、この植物工場に活路を見いだそうという人々がいる。この姿をどうご覧になられました?
2012-06-13 06:29:22生源寺:とにかく被災地で強い心で新しい試みをされる方がいること自体、私は敬意を表したいと思いますね。植物工場自体は農業界あるいは食品産業界ではよく知られていて、トライしてみたいということはあるわけですけれども。
2012-06-13 06:35:38生源寺:ゼロないしはマイナスからのスタートのこの地域では、新たな活路を開くという意味で挑戦されているんだと思いますね。難しいのは設備の設置、それから設備を使う技術、できたものを売る販路ですよね。
2012-06-13 06:38:42生源寺:そういう点で今回コーディネーター役の方がおられた。それからもう一つ、初期投資が大変大きくて、ある意味リスクが大きいんですね。ここを震災復興という意味合いを込めて、リスクをある程度行政が負担するという形の補助金、これが後押しをすることになったんだと思いますね。
2012-06-13 06:42:53国谷:リスクは…設備投資の額が大きいとおっしゃいましたけれども。もう一点、露地物よりも植物工場で作られたものの方が値段が高いというリスクもありますよね?
2012-06-13 06:49:11生源寺:残念ながら現在の技術水準では、露地物あるいは普通のハウスの物に比べて若干割高だと。したがって競争という意味では、通常のところより弱いということは、まだまだあるわけですね。
2012-06-13 06:54:10生源寺:これは売れなければどうしようもないわけですから、食品産業…加工とか外食、こういったところは製品が量・質が安定していて魅力的ですから…そういった取引先を確保するということが、こういった取り組みの成功のカギになると思いますね。
2012-06-13 06:59:25生源寺:そうですね。売れるから作ると。作ったものを売るというよりも、売れるものを作るということだと思いますね。ついでに言えば、売り先も一つだけではなくて、複数確保しておくことも必要だと思いますけどね。
2012-06-13 07:35:12国谷:リスク分散を考えていくということですね。さて被災地では地域の中核農家に耕作を依頼する農家が増え、いま地域によっては急速な大規模化が進んでいます。この急速な大規模化の中でどうやって経営を安定させるのか、それが大きな課題となってきました。
2012-06-13 07:38:49VTRが流れます
<ナレーション> 水田が大きな津波被害を受けた、宮城県東松島市野蒜地区。震災後、農業を諦め田んぼを貸し出す農家が急増しました。そうした水田を一手に引き受けているのは、地元の農業法人代表の安部俊郎さんです。震災前この法人は49戸の農家から依頼を受け、55haを耕作していました。
2012-06-13 07:45:46安部:なんとかこの農地を守り継いで。我々の法人がやらなきゃ誰がやるんだということで、自分に鞭を打ちながらとりあえず作付けにこぎつけたと。
2012-06-13 07:52:42<ナレーション> 被災地で農業の大規模化が進む背景には、国の方針があります。大規模化は日本の農業の長年の課題。小規模農家の土地を地域の担い手に集め、生産効率を上げることを目指しています。国は震災を機に、この流れを推し進めようとしています。
2012-06-13 07:57:40<ナレーション> 兼業農家だった尾形秀雄さん、今年田んぼを貸し米作りをやめました。被災直後は続けるつもりでしたが、津波でほとんどの農業機械が壊れてしまいました。新しく買い換えるためには1000万円以上かかります。
2012-06-13 08:29:48<ナレーション> しかし国による被災農家の支援制度では、複数の農家がグループで機械を導入する場合しか補助金をもらうことができません。一方、農業をやめて農地を貸し出す人には、大規模化への支援金(10aあたり30000円)が支払われます。
2012-06-13 08:32:45尾形:(これまでは)勤めながらの金でなんとかやりくりしている格好で。どうしても経済的にも、米作りをやっていたのでは大変だということで…
2012-06-13 08:37:51<ナレーション> 農地を貸すことをきっかけに、地域を離れる人も増えています。佐々木壽子さんです、48年前に嫁いできて以来ずっと米を作ってきました。夫が亡くなったあとは、息子と2人で田んぼを守ってきました。
2012-06-13 08:42:44