クローズアップ現代「もうかる農業を目指せ 被災地農業の挑戦」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

6月12日に放送されたものを文字起こししています。
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とし @toshihiro36

<ナレーション> しかし田んぼの近くに暮らす必要がなくなったいま、思い切って高台に引っ越すことを決めました。 この日、自宅の解体作業が行われました。築120年を超える家、太い梁が自慢でした。この地域ではすでに10軒以上の農家が、故郷を離れています。

2012-06-13 08:46:14
とし @toshihiro36

佐々木:田んぼもできない、農家もできない…だったら、ここにいるのはかえって辛いと思う。仕方ないんだよね…

2012-06-13 08:48:46
とし @toshihiro36

<ナレーション> こうした農家の水田を引き受け、大規模化を果たした農業法人。しかし代表の安部さんは大きな不安を抱えています。いくら田んぼが増えても、経営の安定には結びつかないと考えているのです。

2012-06-13 08:55:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> 元々米は生産コストに対して単価が安く、若干効率化しても大きな収益を上げることは期待できないからです。

2012-06-13 08:56:38
とし @toshihiro36

安部:米だけを考えたときにはどうなのかと。やはりある程度の多角的な経営に持っていかないと…逃げ道を作っておかなければ、ここでの農業経営というのは非常に難しいのではないかと考えています。

2012-06-13 08:59:26
とし @toshihiro36

<ナレーション> 安部さんはいま、集まった田んぼの一部を収益性の高い野菜などに切り替えていこうとしています。期待をかけているのがジャガイモ、東北で産地づくりに取り組む大手菓子メーカーとの契約栽培に漕ぎつけました。軌道に乗れば、農地の3分の1まで栽培を広げたいと考えています。

2012-06-13 09:04:21
とし @toshihiro36

<ナレーション> 初めてのジャガイモ作りですが、気がかりなことがあります。例年にない大雨が続き、一時畑が冠水してしまったのです。この日、菓子メーカーの指導員が生育状況を見にやってきました。

2012-06-13 09:09:36
とし @toshihiro36

カルビー指導員:芽は出てるんですね。(芽の周りを掘ってみて)あ~、腐ってるわ。10株掘って1株だけ…1株だけ種イモが腐ってなかった。ここまで酷いとは思わなかったな。 でもまだ諦める決断は早いと思うので、もうちょっと様子を見て決めましょう。

2012-06-13 09:17:13
とし @toshihiro36

安部:残念で本当に涙の出る思いですけれど。ただこればっかりはね…負けてられないし。天候には勝てないし。1年待ってくださいということで、来年に期待を…そんなところですね。

2012-06-13 09:20:24

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷:いまの東松山市の野蒜地区では営農をやめる人が増えて、農業生産法人が一気に規模拡大という話でしたけれども。こうした動きというのは、被災地では広がっているんですか?

2012-06-13 16:16:03
とし @toshihiro36

生源寺:この地域はかなり激しいなという印象を持ちましたけれども。他の地域でも機械が壊れてしまって、買い換えるのが難しいということでおやめになると。こういう形でかなり離農といいますか、農業からの離脱が加速していることということはございますね。

2012-06-13 16:20:51
とし @toshihiro36

国谷:大規模化すれば収益が上がる、効率が上がると考えられるんですけれども…今のリポートにもありましたが、経営の安定というのが懸念されている。規模が大きくなっても収益は上がらないものなんですか?

2012-06-13 16:24:51
とし @toshihiro36

生源寺:今の日本の平均的な(耕地面積)1ha~2haに比べれば、20~30haになればかなり効率は上がります。ただそれ以上拡大しても、劇的にコストが下がるということはないんですね。そして米価が安価なところで安定しているので、単に規模を拡大するだけで収益が上がることは期待できない。

2012-06-13 16:30:12
とし @toshihiro36

国谷:農業の経営の難しさってそこにあるかと思うんですけれども。そこで新たな作物に挑戦する。この選択はいかがですか?

2012-06-13 16:32:09
とし @toshihiro36

生源寺:今の方は規模を一挙に拡大して、なおかつ新しい品目に挑戦される。これに大変な敬意を表したいと思うんですね。これは間違ってないと思います。多くの法人経営あるいは専業農家の方は、お米を作って農協に出荷して終わりという方はいないですよね。

2012-06-13 16:36:32
とし @toshihiro36

生源寺:例えば野菜を作ったり…稲作って田植えと収穫のときはかなり人手がいりますが、それ以外の期間は比較的時間があるわけですよね。そこを有効に利用する。そういう意味で、いろんな品目を入れる。私は経営の厚みを増すという言い方をするんですけれどもね。

2012-06-13 16:42:06
とし @toshihiro36

生源寺:あるいは今後は自分で生産物を加工するとか、直接販売するとか…食品の流通とか加工の分野も取り込む。これが一つの日本の農業の活路でもあるんだと思いますね。

2012-06-13 16:52:39
とし @toshihiro36

国谷:今の東松島市の野蒜地区ですけれども、そこではどんどん離農して…そして地域から離れていく人も出ているということで。これからどうやって、若い担い手を引きつけていくことができるのかという意味では、大規模化は雇用吸収の場になりうるんですか?

2012-06-13 16:56:41
とし @toshihiro36

生源寺:そういう意味では大規模化と同時に、法人化ということが大事だと思うんですね。家族経営ですとなかなか外からは入れないんですけど、法人経営ですと従業員として新規に入れるんですね。ただそのためには農業そのものが、若い人にとって魅力に富んだものでないと困るんですね。

2012-06-13 17:01:52
とし @toshihiro36

生源寺:そういう意味でも経営の厚みを増すというか、食品産業的なことも試みてみると。それから情報の発信、消費者に向けてですね…今はインターネットなどの媒体がありますので、農家でも法人でも情報が発信できますよね。そのあたりも若者を引き付けるカギだと思いますね。

2012-06-13 17:07:01
とし @toshihiro36

国谷:被災地ほどではありませんけれども、日本全国で農家の高齢化が進んで農家が減少して…今後担い手をどうするのかという課題に直面していますけれども。こうして大規模化を進めていくことが、活路を見いだすことになっていくんでしょうか?

2012-06-13 17:10:30
とし @toshihiro36

生源寺:これは被災地だけでなくて日本全体として、特に水田農家は高齢化が非常に顕著ですから、どんどん農地が出てくると思うんですね。問題はそれを引き受ける人を勇気づけることだと思うんですね。そのためには政策がぶれないこと。ここのところ、ぶれたことがありますよね。

2012-06-13 17:14:38
とし @toshihiro36

生源寺:それと国民の皆さんに農政についてオープンに問いかけて、国民の皆さんから支持を得ているとなれば…安心して農業に取り組むことができると思うんですね。

2012-06-13 17:17:41
とし @toshihiro36

国谷:本当に新たなチャレンジをしようとする被災地の方々が、新しい農業の試金石を作っていかれるといいですね。どうもあるがとうございました。名古屋大学教授の生源寺眞一さんとともに、今夜はお伝えしました。これで失礼いたします。

2012-06-13 17:21:19