『ギルガメシュ叙事詩』副読本を読む その1『世界最古の物語』
『世界最古の物語』、「物語」部分がですます調なのがなかなか良い雰囲気。昔話の語り口調。70年代の文庫ということで現在の解釈とは違っているのかな?という部分もちょいちょいあり、また解説を読むと、世界各地の様々な伝承との共通点を見出そうとする方向性のよう。 #ギルガメシュ叙事詩
2012-07-01 23:56:181. 月本訳では聖娼シャムハトをエンキドゥにあてがうことを最初に指示するのは狩人の父だが、教養文庫版ではギルガメシュ自身。 #ギルガメシュ叙事詩
2012-07-02 00:04:22#ギルガメシュ叙事詩 2. ギルガメシュとエンキドゥの出会いのシーン、「(エンキドゥとシャムハトが)町に着いたのは、大晦日の晩でした。ちょうど、~ギルガメシュが女神との神聖な結婚式に花むこ役をつとめるために、神殿へと導かれて行くという時だったのです。 →
2012-07-02 00:05:13#ギルガメシュ叙事詩 2補. 聖婚の日にエンキドゥが現れたことは、いわゆる「山師(邪魔者)」即ちトラキアやテッサリアで伝えられるところの婚礼の宴に割り込んでくる「アラビア人」の役割を担っているものと指摘される。この人物は毛むくじゃらで羊や山羊の黒い仮面、尾を着けているという。
2012-07-02 01:21:45#ギルガメシュ叙事詩 3. エンキドゥとの出会いを予知するギルガメシュの夢、降ってくるのは①「太い矢」で、引き抜くことができない。②途方もなく大きな斧で、どこからこの斧がとんで来たか、だれも知らない。 となっている。あとギルの母が「おまえはその男に敵わない」とはっきり言う。
2012-07-02 00:09:18#ギルガメシュ叙事詩 4. フンババについて、エンキドゥは「何度も彼の姿を見た」と発言し、「吐く息とともにペストを撒き散らす」と述べる。
2012-07-02 00:11:05#ギルガメシュ叙事詩 5. フンババとの戦いが、多分いちばん違っている部分。まず、森に扉がある。フンババが普段七枚の鎧着を身につけているが今は一枚しか着ていないことを、月本訳ではシャマシュが教えるが、教養文庫版ではエンキドゥがその扉の隙間から覗いて知る。→
2012-07-02 00:14:23#ギルガメシュ叙事詩 →しかしそこで扉が急にしまって、エンキドゥは手を挟んで怪我をし、十二日間その痛みに苦しんだ。フンババ退治はその後改めて、という書き方。扉を入り、森を抜けて、杉の山に達し、ギルガメシュの例の夢はそこで見ることになる。
2012-07-02 00:16:09#ギルガメシュ叙事詩 5補. 森の前の扉の件。著者はこれを「秘宝を知った人間が、その場所から離れる時にある禁令やタブーを守ることを怠ったために、扉が~自動的に閉まり、彼の手や足を傷つけ」るという民話の類型に当てはまるものであると考えているらしい。例:アイルランドの僧サエムンドゥル
2012-07-02 01:29:32#ギルガメシュ叙事詩 6. フンババの容姿がゴルゴーン型。目が一つで、それを見る者は石になるとされる。シャマシュの援護である突風は、月本訳では風の猛威で身動きを取れなくするという書き方のようだが、ここではその一つ目を塞ぐためとして用いられている。
2012-07-02 00:19:53#ギルガメシュ叙事詩 6補. フンババ≒ゴルゴンは、リビアのカトブレパス、アイルランドのバロア、ウェールズのイスパッダデン・ペンカウル、セルビアのヴィの仲間であると指摘される。彼らは多くの場合普段は7つのヴェールで目を覆うという。これがフンババでは鎧なのだということである。
2012-07-02 01:25:51#ギルガメシュ叙事詩 7. 女神イシュタルの愛人遍歴に登場するライオンや鳥について、この訳者は「シシのように力強い」「カケスみたいに振る舞う」といった比喩表現であると解釈している。ただしまた、註において、「女神が恋人を動物に変えてしまうというのは珍しくない」と記述している。
2012-07-02 00:21:56#ギルガメシュ叙事詩 8. 天の牛退治のあと、エンキドゥがイシュタルに牛の肉を投げつけたのは、「ただではおかないぞ、ギルガメシュ」と叫ぶ女神に対し「自分もやはりこの戦いに勝った一人だということをイシュタルに見せつけてやりたくなった」からと説明される。→
2012-07-02 00:24:11#ギルガメシュ叙事詩 →またイシュタルは、「いま彼女の力の及ぶことといったら、牡牛を天上の生きものにふさわしく、厳かに葬ってやることだけですのに、それさえできない」ために、投げつけられた肉に涙を落とす。ウルクの町で喝采を受ける二人と対照的に描かれている。→
2012-07-02 00:25:29#ギルガメシュ叙事詩 →この部分に続いて突然、「ところで、神々というものは、嘲られてよいものではありません。どんな種にしろ、種をまいた人間は、自分でその実りを刈りとらねばならないのです」という言葉が入る。ここんとこのリズムすごくお伽話的であり、喩えも分かりやすく、とっても素敵。
2012-07-02 00:27:34#ギルガメシュ叙事詩 9. 病で寝込んだエンキドゥ、狩人と聖娼を呪うついでに5の扉のことも呪う。月本訳では「大扉」はここが初登場であり、戦利品の杉で作って神殿に奉納したものとされる(従って、これを目の前に見ながら語っているらしきエンキドゥは、神殿に寝かされていたのだろうか?)
2012-07-02 00:34:54#ギルガメシュ叙事詩 10. 死んだエンキドゥの顔に布をかけるところで「婚礼の日の花嫁」ってまた言ってるよ! ここでは「衣服をぬぎすて、髪を切って」いるのでベルトに手をかけるシーンはそれまで着ていた(王の?)服を脱ぐ場面と解釈されている模様。
2012-07-02 00:36:27#ギルガメシュ叙事詩 12. トンネルの向こうは「仙境」、「宝玉のたわわに実る木々にとりかこまれ」た地上の楽園で、シャマシュ自身この「喜びの園」に留まるという恩恵を甘受しろと宣告する。ここまでの桃源郷っぷりは、他の訳からはあんまり感じたことなかったなあ
2012-07-02 00:40:34#ギルガメシュ叙事詩 13. 船頭とは喧嘩しないしウトナピシュティムは懐かしい思い出をゆったりと語る老人である。死の水を越えた場面から、カメラの焦点がウトナピシュティムに移っているような印象も受ける。また、「眠り」については別に試練というわけではない。終始普通に対話している印象。
2012-07-02 00:43:04#ギルガメシュ叙事詩 14. ウトナピシュティムたちの住まうこの島は、洪水の後、水が引いたことを知って神々に祈りを捧げたとき、風の神が舞い降りて箱舟を押し流し、「水平線はるかなこの島まで持って」きたものであるとされる。
2012-07-02 00:44:52