ハイデッガー Heidegger 技術論・ニーチェ論

ハイデガーをめぐるツイートのまとめ。二部構成。①部は、ハイデガーの技術論をめぐる國分氏と齋藤氏の対話を中心に。②部は、ハイデガーのニーチェ論を中心にしたもの。ユンガー『労働者』が上梓され、『技術への問い』は平凡社ライブラリーより11月に刊行。
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Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

デリダ『エプロン』とコフマン『ニーチェとメタファー』のことが斎藤さんツイートにありましたが、もうひとつデリダの中でも特に好きなテクスト「メタファーのルトレ(退-引)」が浮かびます。退きによって現れることなく現れるというヴェールは、ニーチェと女をめぐる文章につながると思いました。

2012-07-12 00:33:05
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

ニーチェは「真理とは女である」とし、真理は非真理であるということまで語っていますが、このヴェール、仮面などのデリダが『エプロン』で取り上げたニーチェ的テーマを、本来はハイデガーがやっていても良かったのではないか、という問いを持っていました。

2012-07-12 00:37:19
Motoki Saito @eksistenz

ハイデガーがニーチェを「西洋形而上学の完成者」として捉えることで、形而上学という「エポック」を区切ったというのは一つの成果。しかしそれと、彼のニーチェ解釈の妥当性如何というのはおそらく次元が異なる問題。

2012-07-12 00:06:39
Motoki Saito @eksistenz

ハイデガーの少々狡猾に思えるところは、いつもネタ元を明かさずにうまくエッセンスを捉えている(ように思われる?(笑))解釈を展開するところ。しかし端々にそれとなく仄めかされる痕跡は、つねになんらかの焦点(Woaufhin)へと収斂してゆく。

2012-07-12 00:23:34
Motoki Saito @eksistenz

@HAYASHI_twit 『ハイデッガーと思索の将来』、『寄与』に取り組むには一つの入り口になるかと思います。ぜひご一読ください。http://t.co/2gpvKGHr また間もなくハイデッガー研究会第三論集『科学と技術への問い』(理想社、2012年)も刊行予定。お楽しみに。

2012-07-12 22:53:07
たに。 @tanietzsche

齊藤先生のツイートで思い出しましたが、ハイデガーのニーチェ解釈とかは興味があるけど、『存在と時間』でハイデガーに対して苦手意識を持ってしまいなんか取っつきにくい感じ…

2012-07-12 00:32:58
Motoki Saito @eksistenz

@otani_shun ハイデガーの『ニーチェ』はそれとしても面白いのですが、やはりまずは『存在と時間』を押さえることが肝要かと。どの哲学者でも、思考が起動する「始まり」を画す書物はあるものです。逆にその「始まり」を押さえられたら、一挙に視界が広がりますよ。

2012-07-12 00:37:33
たに。 @tanietzsche

@eksistenz やはりハイデガーは『存在と時間』なんですよね…。 ちゃんと読んでみたいという気持ちはあるんですが、量と時間を考えるとなかなか読めないです。

2012-07-12 00:45:20
Motoki Saito @eksistenz

@otani_shun たいへんだと思いますが、読み応えはあると思います。わけが分からなくても、まずは自分なりに格闘して読みぬいてみるといいと思います。役に立たないと思って捨てることができれば、それも一つの貴重な成果ですよ。

2012-07-12 00:50:42
ことがら(無翼) @georg1770

ハイデッガーは『存在と時間』しか知らない、という人は多いと思うけど、あれだけ読むと晦渋だったり射程を適切に理解するのが難しかったりすると思う。最初に読むものを後輩に聞かれたらマールブルク期の講義を勧める。

2012-07-12 23:46:02
ことがら(無翼) @georg1770

24、25、26とかはすごい密度。ただ主著との連関がややわかりづらいかもだからプロレゴメナかカッセル講演らへんかなあ。

2012-07-12 23:47:40
Motoki Saito @eksistenz

『存在と時間』に挑戦しようとする人にとって、『カッセル講演』はまさに「本人による入門」として最適。術語の規定などが『存在と時間』と少々ズレるところもあるけれど、時間論やディルタイ解釈などを含めた歴史論など、同書の核心部分を学ぶことができる。以前講義で使ったときも好評でした。

2012-07-13 00:03:38

「ニーチェが私をだめにした!」

Motoki Saito @eksistenz

„Nietzsche hat mich kaputtgemacht!“ sagte Heidegger immer wieder am Ende seines Lebens.

2012-08-06 08:15:55
Motoki Saito @eksistenz

「ニーチェが私をだめにした!」二巻本の『ニーチェ』の編集に最晩年までこだわりをみせたハイデガーは、死の直前、繰り返しそう周囲に語っていたという。解釈は異なるにせよ、この発言に対するガダマー、ペゲラー、フォン・ヘルマン三者の報告は一致している。

2012-08-06 08:16:56
Motoki Saito @eksistenz

この発言と其々の解釈は、Aletheia, Bd. 9/10, 1996に収録。ところがあいにく国内での入手はほぼ不可能。重要な発言の割に人口に膾炙していない理由は、最晩年という時期の問題よりもこうした物理的問題にあるのかも。ちなみに拙著『存在の解釈学』では註で触れておきました。

2012-08-06 08:18:56
Motoki Saito @eksistenz

この発言をエピグラフに掲げるLouis P. Blondの"Heidegger and Nietzsche: Overcoming Metaphysics"(2010)がいよいよペーパーバックとして刊行のもよう。http://t.co/GFeZtEHk

2012-08-06 08:20:56
Motoki Saito @eksistenz

ブロンドのアプローチは、ポストモダニストのニーチェ解釈を向こうに回して、ニーチェの「謎」を震源地に、ハイデガーのニーチェ解釈を「自己批判」として手堅く読み解く試み。ちなみにブロンドはイスラエル出身、ローゼンツヴァイクやレヴィナス研究も手がけている。

2012-08-06 08:23:56
Motoki Saito @eksistenz

ハイデガーのニーチェ解釈は得手勝手だからダメ、という従来の一辺倒な見方はそろそろ終わりにして、両者の拮抗のなかで真に問題となっていた事柄がようやく本格的に論じられる時期が来ている。ニーチェもハイデガーも校訂を経たテクストが出てきているだけに、なおさらだ。

2012-08-06 08:25:55
Shigeo Hayashi @HAYASHI_twit

「ニーチェが私をだめにした!(Nietzsche hat mich kaputtgemacht!)」とハイデガーが死の床で繰り返していたとのこと。興味深いです。最後の形而上学としてニーチェを清算したつもりが、形而上学を壊す(kaputtgemacht)者として回帰してきた…?

2012-08-06 11:03:24
Motoki Saito @eksistenz

@HAYASHI_twit あたかもニーチェの「亡霊」がハイデガーに憑りついたかのようですね。最後の形而上学者の回帰なのか、形而上学の破壊者の回帰なのか、あるいは存在論の破壊者の回帰なのか。いろいろと連想を逞しくしたくなります。

2012-08-06 14:38:28
Motoki Saito @eksistenz

「ニーチェが私をだめにした!」というハイデガーの発言、ヘルマンによれば『ニーチェ』編集作業の過酷さによるものであり、ペゲラーによればたんに健康を害したということの表現にすぎないとされる。いずれにせよハイデガーは、二巻本の編集のさいに相当体調を崩したらしい。

2012-08-06 14:39:08
Motoki Saito @eksistenz

門脇さんは確か二巻本の『ニーチェ』ほど全体の脈絡が見えにくい書物もないと言っていたように記憶しているのだけれど、その当否は別にしても、全集版『ニーチェ』への組み込みのために死の間際まで編集に拘る執念は相当なもの。その点も考慮すると、この発言はやはりなかなか意味深です。

2012-08-06 14:48:17
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