「科学的に正しい」ってどういいう意味?

雑誌ニュートン2011・10 掲載 東北学院大学工学部教授 神永正博 総合研究大学理事 池内 了 コラム文字お越し 現在 文字おこし途中・・・
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力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

そして、中身がどちらの成分かを飲む人に伝えなければ、より正しい結果が得られる。 飲む人の条件もそろえないければ、意味がない。 性別や年齢をはじめ、体調や遺伝子がことなる場合、その違いによって薬の効果が変わる可能性を否定できないからだ。但し、そのような条件を全てクリアするのは大変だ

2012-07-21 09:27:54
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たとえば、遺伝子のちがいと薬の効果が無関係だと示すためには、まったく同じ遺伝子をもつ一卵性双生児に協力してもらえばよい。だがその場合、被験者の数が十分に集まらないという問題が生じる。実験数が少ない場合に確実性が失われることは、有意差を使った考え方に見たとおりだ

2012-07-21 09:28:06
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同じ人に2種類の薬を飲ませて比べればよい、という考え方もあるだろう。ただしこの場合、「飲む順番」による影響の有無を考慮する必要がある

2012-07-21 09:28:15
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このように、「すべての場合に正しい」ことを示すための実験は、実は不可能だといえる。そのためおそらく正しいだろうと仮定したうえで、実験する。たとえば「成人ならば身長によって薬の効果はかわらないだろう」 と仮定する。そうすれば、少なくとも飲む人の身長をそろえる必要はなくなる。

2012-07-21 09:28:25
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このような仮定をいくつか行うことで、現実的な科学の実験は組み立てられる。

2012-07-21 09:28:32
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つまり、実験による科学の成果は、その時の仮定された「前提」のもとでなりたつものとしてとらえるべきなのである。この見方は、科学全般において「正しさ」を考えるうえで、役に立つものだ

2012-07-21 09:28:52
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実験できない学問は「無矛盾性」と「予言力」で検証

2012-07-21 13:09:36
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一方、科学の全ての分野で、検証が実験によって進められているわけではない。むしろ、近年の最先端の物理学では、理論が先行して実験は理論を追いかけて行われていることも多い。では、新たな理論を作りあげる仮定において、その理論が正しいかどうか、いったいどうやって検証するのだろうか?

2012-07-21 13:10:11
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池内博士は調べるべき点を2つあげる。 「一つは、立てた仮説と導かれた結論の間や、新たな理論と既存の理論との間に、論理的な矛盾がないとう 『無矛盾性』です。そしてもう一つは、『予言力』です」(池内博士)

2012-07-21 13:10:21
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ある仮説を立てて結論を導くまでには、論理的に様々な道筋がありうる。その中で、飛躍や「無矛盾の論理」を組あげることが、理論の正しさに必要なのである。 「たとえばUFOや超能力のような新たな課程や理屈を、現在の物理学で説明できるものに持ち込む必要はありません」と池内博士は話す。

2012-07-21 13:10:33
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もう一つの「予言力」とは、その理論が正しければ存在するはずの(予言される)現象を、あとから実験や観察で確かめることだ。科学の歴史においては、理論の予言がたしかめらた例が数多く存在する。 たとえば18世紀、当時異論もあったニュートン力学の計算によって未知の天体の存在が予言された

2012-07-21 13:10:51
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そして確かに、予測された位置に天体が発見されたのである http://t.co/7f2TZDlW

2012-07-21 13:11:05
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また、素粒子物理学においては、いくつもの未知の素粒子の存在が予言され、その後、実験的に存在が証明されてきた。これも、予言力の例だ。

2012-07-21 13:11:36
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現在も、存在が予言されている素粒子は数多くある。「すぐには実験できないとしても、どのような実験をすれば確認できるかを示せることが、理論の正しさの一つの条件となります。」(池内博士)

2012-07-21 13:11:41
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ここまでみてきたように、実験科学の正しさは、仮定した何らかの「前提」のもとでなりたつものなのである。 これが、記事の冒頭で池内博士が「科学的に絶対性はない」とした理由の一つだ。 さまざまな科学で使われる数学を例にとろう。

2012-07-23 13:58:39
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「数学は、最も厳密に積み上げられた学問です」(池内博士)。しかし、この数字でさえ「公理」とよばれる、ある種の前提のもとに行われている。 たとえば、平面の幾何学いおける「平行線の公理」がある。

2012-07-23 13:58:49
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「まじわらない2本の線(平行線)が引ける」という経験上まちがいないものだ。 しかし、これが正しくない曲面の幾何学も実際にある。南北に向かう2本の”平行線”を地面に引き、地球を一周させてみよう。つまり2本の線は、北極と南極で2度交わる

2012-07-23 13:59:00
力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

つまり、公理ですら絶対的とはいえないのだ。 さらに、学問によって前提に「程度の差」があることが、神永教授が指摘したように「科学的な正しさは、一律でない」ことの理由となる実験科学の正しさの条件である「再現性」のようなものについても、分野によって、とらえ方はことなっている

2012-07-23 13:59:14
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たとえば天文学が研究対象とする年老いた星の爆発現象(超新星爆発)は、時間的に変化する、たった一度の現象である。爆発を”逆回し”にして観察しなおすことはできない。

2012-07-23 13:59:51
力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

そのため天文学では、観察された現象がある程度一般化できることを前提として、研究を進めることが多い。 もちろん、今までの研究の積みかせねによって繰り返し検証されているからこそ、正し前提だと考えるのである。

2012-07-23 14:00:01
力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

一方で、たとえば物理学や生命科学のうち、くりかえし実験できる分野では、たった一度の現象は偶然の可能性や、実験のミスであることを疑う余地が大きい。だからといって、天文学が正しくないというわけではない。

2012-07-23 14:00:09
力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

「正しいと考える前提を何にするのかは、学問分野によって違うのです」(池内博士)。 では疑われない大前提とは何だろうか?池内博士は、物理学においては「斉一性(一様性)」と「因果律」をあげる。

2012-07-23 14:00:25
力工デ@中の人(色々と環境問題勉強中 @55_kaede_55

「斉一性」とは、あることがおきたとき、何らかの法則で説明できるという前提である。 自然界はランダムにみえても、そこに規則性が潜んでいるはずと、と考えるのだ。 たとえば、天体の一つ一つはばらばらに動いているようにみえるが、すべてニュートン力学という法則性にのっとっている。

2012-07-23 14:00:46