2012年7月22日

森本防衛大臣(元自衛官)は憲法66条2項の文民にあたるのか?

すっかり下火になっちゃった「森本大臣の違憲性」論争。憲法学の教科書で書かれてる学説をベースにざっくり考えてみました。使った教科書は有斐閣からでてる「憲法Ⅱ」(第4版)4人組のやつ。前半はほぼこの本のP172~P174をわかりにくく言ってるだけ。後半はかなり私見が強いです。結論そのものは通説、有力説だけど理由付けはオリジナル。ちゃんと練られてないし、間違ってる箇所もあるかも。もっとちゃんと勉強したい人は本屋さんへGO! 
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  • はじめに*
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

そういえば「森本氏の防衛大臣就任は憲法違反じゃないか論争」っていつのまにか下火になっちゃいましたね。 憲法問題のはずなのに、合憲を派の人からも違憲派の人からもほとんど理論的な説明がなされてなかったような……。

2012-07-22 12:58:44
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

まあ、元自衛官文民にあたるというのが、憲法学説の主流なんですがね(もちろん文民でないという説もありますが、理論的に難があります)。何故、主流なのかを憲法学説の変遷とともに書き殴ってみたり。

2012-07-22 13:09:16
  • 学説をざっくり解説(職業軍人に関する解釈)**
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

憲法66条2項において、総理大臣と国務大臣は文民でないといけないとされています。これは戦前の日本において「現役武官制」が存在し、軍部が政治に大きく介入していた事の反省から、文民統制の一環としてこのような規定が生まれました。軍人が大臣になれないようにしたわけです。

2012-07-22 13:21:08
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

しかし、日本国憲法9条2項により日本には軍隊が存在していないはずなのです。文民とは、軍人以外の者の事ですから、日本国民は全員文民にあたるわけです。そこで、この規定は無意味でないか? という疑問が生まれ、実際に「この規定は無意味なものだ」と主張する学説が登場しました。 (続く)

2012-07-22 13:28:20
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

しかし、「無意味な規定だ」説は、過去においてはあまり支持されませんでした。憲法典に規定されている以上は何か意味がなければならないと主張する人々がいたからです。そのような人々は、文民を「職業軍人の経歴のない人」だと解釈し、「職業軍人がいなくなるまでの経過的規定」としました。 (続)

2012-07-22 13:41:24
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

この「経過的規定」説は通説となりましたが、厳しい批判にさらされる事になります。この説に立つと、終戦まぎわで若くして職業軍人になった者は、それだけで大臣になれなくなり不当であるという批判です。そこで、この解釈も修正されることになります。 (続)

2012-07-22 13:48:50
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

そして、「強い軍国主義思想の持ち主」でなければ、職業軍人の経歴をもつ者も、文民であるという学説が誕生します。この説も有力説となりますが、やはり批判にさらされます。思想により資格を奪うことは、思想の自由の侵害、信条に基づく差別にあたるという批判でした。 (続)

2012-07-22 13:57:42
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

結局、「軍国主義思想」説でも、「職業軍人経歴」説の欠点は直りませんでした。そして、現代において職業軍人の経歴を持つ者そのものがいなくなりつつあるため、「無意味な規定」説に戻りつつあります。戦前の職業軍人をめぐる解釈論争は終わりつつあります。しかし、問題はまだあります。 (続)

2012-07-22 14:11:54

まとめ--
「無意味な規定」説:職業軍人のみ
「職業軍人経歴」説:職業軍人+その経歴を持つ者
「軍国主義思想」説:職業軍人+その経歴をもちかつ軍国主義的な思想を持つ人

  • 学説をいい加減に解説(自衛官編)***
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

新たな問題、それは自衛官の存在です。これは憲法の想定していない存在であり、軍人ではないが軍人みたいな存在であるからです。事実上、文民とは呼べない存在が生まれたことにより、文民規定の解釈に新しい要素が加わることになりました。 (続)

2012-07-22 14:18:43
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

学説において、現役自衛官については、一致して文民に含めていあったません。やはり、職業軍人に近い存在であるため当然の帰結であるといえます。しかし、解釈の争点となるのは、「かつて自衛官であった者」についてです。これを文民に含む説と、含まない説があります。  (続)

2012-07-22 14:26:13

×文民に含めていあったません → ○文民に含めていません。

ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

元自衛官文民に含めるか否かについての判断は、「文民」のもとの意味をどのように解釈するかにかかっていると言えます。「無意味な規定」とする説は、本質的には「現役の武官」を排除するための規定であるとする説であるため、この説は現役自衛官のみを文民から排除する事になります。 (続)

2012-07-22 14:33:35
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

一方、「職業軍人の経歴を持つ者」説に立つと、やはり元自衛官も文民に含めないと考えることになります。なお、この説を修正する「軍国主義思想」説においては、現役自衛官のみを排除する方向に向かいます。平和憲法下で生まれ育った自衛官達は「強い軍国思想」など持たないからだと説明されます(続)

2012-07-22 14:42:26
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

軍国主義思想」説でのこのような主張には、元自衛官は軍国主義を持たないはずだから、元自衛官は自衛官の経歴があっても、文民になるというロジックが根底にあります。なお、「職業軍人経歴」説においても元自衛官を文民とする説もありますので、上で述べた組み合わせにならない事もあります。(続)

2012-07-22 14:59:43

×軍国主義を持たない → ○軍国主義的思想を持たない

↑ 実はわが国の政府見解はこのロジックを使ってます。(48.12.7衆 予算委理事会)

上のようなロジックで元自衛官を文民に含めたんですね~。

なお、政府見解の解釈では、次にあたらない者を66条2項の文民としてます。

「旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」+「自衛官の職に在る者」

まとめ----
「無意味な規定」説or「職業軍人経歴」説or「軍国主義思想」説 のどれか +「元自衛官は文民」説or「元自は文民ではない」説 の組み合わせで学説上の立ち位置が決まる。

政府見解は、「軍国主義思想」説+「元自衛官は文民」説
「憲法Ⅱ」の高橋先生は、「無意味な規定」説+「元自衛官は文民」説

  • 元自衛官が文民である理由(有力説を自分なりに解釈、私見多し。民主主義的な観点から)****
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

だらだらと学説の大枠を書きましたが、結論としては元自衛官を文民に含める説が主流であろうということです。これはやはり「職業軍人の経歴」説の抱えていた問題が大きいからに他なりません。平和主義と民主主義との調和を考えた時にできる制約の限界ともいえます (続)

2012-07-22 15:33:31
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

平和主義において、文民統制の仕組みは絶対に必要であり、武官に対する法的・政治的な規制は必要です。しかし、民主主義においては、いろいろな思想や経歴を持つ人々が政治参加するべきであるので、なるべく規制は無いほうが良いのです。矛盾する二つの要請が均衡する点が文民の範囲になるでしょう。続

2012-07-22 15:48:49
ぱんでくてん@バ美肉したい @pandecten

そもそも文民統制の目的は、軍部による政治への介入を防止することであり、軍人が軍の利益のために、政権中枢で活動することを防ぐためとも言えます。そのために現役軍人を政権のポストにつかせないという制度を採るわけです。この目的を達成するために果たして元自衛官までもを排除しても良いのか?

2012-07-22 16:00:14
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