かおるさとーさんの『氷菓』#18 解説

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かおるさとー @kaoru_sato

『氷菓』18話を観て気づいたことをいくつか。

2012-08-25 22:29:28
かおるさとー @kaoru_sato

今回のお話は『連峰は晴れているか』。野性時代56号に掲載された短編で、単行本および文庫には未収録のお話です。原作ファンでも読んだ人は少ないかもしれません。ページ数も少なく、どのように話を膨らませるのか、とても気になっていました。というか、アニメ化されるとは思ってもみませんでした。

2012-08-25 22:30:11
かおるさとー @kaoru_sato

(私は既読です。野性時代56号は私の宝物の一つです)

2012-08-25 22:30:44
かおるさとー @kaoru_sato

それでは内容に触れていきます。文化祭も終わり、またいつもの日常が古典部に戻ってきました。今回はそんなある日の、放課後の一幕。冒頭、奉太郎が読書にふける中、他の3人は雑談をしています。正確には千反田さんと摩耶花の会話に、里志が割り込むという形ですね。宿題に集中しなさい。

2012-08-25 22:31:42
かおるさとー @kaoru_sato

外からバタバタとヘリコプターの音が聞こえてきました。里志が宿題そっちのけで窓に近づき、空を見上げます。奉太郎はその音を聞きながら、ふと、「そういえば、小木がヘリ好きだったな」とつぶやきます。

2012-08-25 22:32:03
かおるさとー @kaoru_sato

独り言で、話題にするつもりはなかったのかもしれませんが、千反田さんがその言葉に反応します。「2年B組の小木高広さんですか?」いいえ、違う人です。鏑矢中学の英語教師・小木正清さんです。千反田さんは他の3人とは違う中学出身なので、小木先生のことは知りません。

2012-08-25 22:32:57
かおるさとー @kaoru_sato

しかし里志も摩耶花も、小木先生がヘリ好きという話は聞いたことがないみたいで、首を傾げます。摩耶花は奉太郎と同じクラスだったので、奉太郎が聞いたという先生の発言を思い出したみたいですが、小木先生だったかどうかも覚えていなかったようです。

2012-08-25 22:35:14
かおるさとー @kaoru_sato

それについて里志が疑問を投げかけます。自衛隊のヘリコプターが編隊飛行していたときは、何の反応も見せなかったというのです。それはおかしいと奉太郎が訝りますが、里志は別の話題を持ち出します。小木先生は、これまでに3度も雷に当たったことがあるというのです。

2012-08-25 22:36:03
かおるさとー @kaoru_sato

(「うん、サンダー」「当たったのはサンドダー」……気の毒な発言です)

2012-08-25 22:36:23
かおるさとー @kaoru_sato

直撃ではなかったみたいですけど、それでも3度も当たるというのは運が悪すぎます。それを聞いて何かが引っかかったのか、奉太郎は先に帰ると言い出します。珍しくやる気になっているような。「なんというか、こう……気になるんだ」……衝撃的な発言です。

2012-08-25 22:37:23
かおるさとー @kaoru_sato

(「ほ、ホータローが千反田さんに毒された! なんてこったそれだけは防ぐべきだったのに。妖怪が神山高校を徘徊している、好奇心の亡者という妖怪が!」「いや、その、冗談なんだけどな」「……」「……すまん。出来心で」(残念です……心の友を見つけたかと思いましたのに))

2012-08-25 22:37:54
かおるさとー @kaoru_sato

(……すみません、出来心で)

2012-08-25 22:38:58
かおるさとー @kaoru_sato

里志や摩耶花が驚愕といっていいレベルで詰め寄ります。里志はちょっと笑みが見えるので冗談交じりのようですけど、摩耶花はかなり大真面目ですね。そして千反田さんは、出ました、「わたし、気になります!」。大概失礼ですけど、まあ、それだけ気安い関係になったということではないでしょうか。

2012-08-25 22:39:50
かおるさとー @kaoru_sato

徒歩通学の奉太郎と自転車通学の千反田さん。「二人乗りでもいいですよ」と答える千反田さんに対して、奉太郎は状況を頭の中に描いてから改めて「……先に行ってくれ」と言います。二人乗り、千反田さん的には特に問題ではないということでしょうか。いえ、道路交通法的な意味ではなく。

2012-08-25 22:41:11
かおるさとー @kaoru_sato

先に行かせるついでに、奉太郎は小木正清という名前について調べておいてほしいと千反田さんに頼みます。効率を上げるためなのですけど、咄嗟に呼び止めてわかりやすく頼みごとを伝えることができるというのは、なかなか凄いことだと思います。やるべきことを頭の中で既に整理していたのでしょうね。

2012-08-25 22:42:12
かおるさとー @kaoru_sato

図書館に向かいながら、遠くにそびえる神垣内連峰について一人ごちる奉太郎。もちろんこれにも理由があります。供恵姉さんの登山の件とは別に、小木先生の話がらみで。勘のいい方はこの時点で今回の事情がなんとなく見えたかもしれません。雷、登山、ヘリ、連峰……。

2012-08-25 22:43:51
かおるさとー @kaoru_sato

図書館に着くと、千反田さんが準備を済ませて待っていました。小木先生は山登りをする人のようで、神山山岳会の団長も務めていたようです。その記事を見て、奉太郎は一言、「やはり、そうか……」。奉太郎は何を予想していたのでしょうか。

2012-08-25 22:47:40
かおるさとー @kaoru_sato

2階の受付で3年前の4~5月の記事を検索してもらいます。検索ワードは「遭難」。千反田さんがびっくりした顔で奉太郎を見やります。奉太郎の表情がずっと優れなかったのは、予想した内容が楽しい話ではなかったからのようです。ここからは千反田さんの表情も少し陰り、おとなしいものになります。

2012-08-25 22:49:08
かおるさとー @kaoru_sato

記事は12件ヒットしました。どうやらこの検索では記事の見出しだけしか見られないようで、過去の新聞を直接見てみることにします。しかし探すのに30分ほどかかるらしく、しばらく待つことに。その間、せっかくなのでいろいろ見て回ることに。図書館デート! そういうのもあるのか。

2012-08-25 22:50:18
かおるさとー @kaoru_sato

他愛のないやり取りといってしまえばそうなんですけど、最初の頃と比べると、二人の距離感が微妙に変化していますね。千反田さんが隣に来ても、奉太郎がスペースを空けようとしません。正面から接近されると相変わらずのけぞるんですけど、慣れてきたのでしょうか。

2012-08-25 22:51:03
かおるさとー @kaoru_sato

しばらくしてから再び受付へ。ファイルにまとめられた新聞を受け取ります。枚数がかさばる分、重いみたいですね。紙は意外と重いのです。5月9日の記事を調べると、神山山岳会員が2人遭難したみたいで、救助隊が捜索を始めたとあります。そして、悪天候でヘリは飛ばせなかったとも。

2012-08-25 22:55:51
かおるさとー @kaoru_sato

千反田さんがどういうことなのかと奉太郎に訊ねます。ある程度は察しているみたいですが、確認したかったのでしょうね。そして奉太郎は語ります。つまり、小木先生はヘリが好きなわけではなかったのだと。

2012-08-25 22:56:40
かおるさとー @kaoru_sato

小木先生が3度雷に当たったことが本当だとしたら、一体どこで当たったのか。そのことを考えたとき、奉太郎の脳裏に嫌な想像がよぎりました。小木先生は雷の落ちやすい場所、標高の高い場所にいることが多かったのではないかと。山に入る機会が多い人間、すなわち登山家だったのではないかと。

2012-08-25 22:57:03
かおるさとー @kaoru_sato

あの日は特別にヘリを気にする理由がありました。同じ登山家としてか、神山山岳会の団長としてか、とにかく小木先生は遭難者のことを気にしていました。救難のヘリが飛んでくれれば、助かる確率も上がるでしょう。そのためには天候が回復しなければなりません。

2012-08-25 22:57:42
かおるさとー @kaoru_sato

回想では、校舎の外はよく晴れていました。しかし神垣内連峰は3000メートル級の山々がそびえる場所。こちら側が晴れていても、山の方はどうかわかりません。そのため小木先生はその日、ずっとヘリが飛べるかどうかを気にしていたのです。そして、ヘリの音に思わず反応して窓に駆け寄った。

2012-08-25 22:58:41