ATOMTEX社製食品測定装置とホールボディカウンターの結果レポートの読み方

ベラルーシの放射線計測機器メーカーATOMTEX社の食品用検査装置AT1320と椅子型ホールボディカウンターAT1316は基本機能に絞り込んだ低価格が売りで、震災後各地の市民測定所や自治体で多数導入されていますが、ここの製品は結果レポートの表示形式と誤差の取扱いが独特なので要注意。結果レポートの読み方のポイントをまとめました。 なお、ATOMTEX製品は日本では2つの代理店(アドフューテックhttp://t.co/I6VI783b と日本サードパーティhttp://t.co/8Def6bDS )を通じて販売されており、それぞれの代理店がオリジナルの英語版データ解析ソフトを独自に日本語化しています。今回ホールボディカウンターについてはアドフューテック経由で納入された装置の結果レポートの見本を入手できませんでしたので、日本サードパーティの検査センターの装置が作成する結果レポートについてだけ解説したことをお断りさせていただきます。
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nao @parasite2006

@mw_mw_mw 一つ便乗質問をお許しいただけますか?この結果レポートの例http://t.co/5D2yWu5c の場合、統計誤差と系統誤差がどちらも有限の値をとるK40の検出下限値は統計誤差を使って算出したのでしょうか?

2012-09-12 04:22:41
Michiharu Wada @mw_mw_mw

すみません、ちょっと拝見しましたがこの表の数値の定義がわからないので何とも言えません。@parasite2006

2012-09-12 08:46:16
nao @parasite2006

@mw_mw_mw 新版データ解析ソフトによる結果レポート例http://t.co/5D2yWu5c でCs137の場合は相対誤差が1.51/1.54 x 100 = 98.0%で統計誤差欄の値とほとんど変わりません。

2012-09-13 13:24:51
nao @parasite2006

@mw_mw_mw 信頼水準=0.95より±の後の数字は2σの値とわかりますので、検出下限値を3σとして算出しているなら検出下限値/絶対誤差=1.5と予想され、実際に計算すると2.39/1.51 = 1.58。

2012-09-13 13:32:18
nao @parasite2006

@mw_mw_mw ところが同じ計算をK40でやると検出下限値/絶対誤差=29.1/25.0=1.16で1.5にはほど遠い。もしやと思って放射能濃度x統計誤差/100=83.2 x 0.224 = 18.6 (Bq/kg) という値を使って見ると29.1/18.6= 1.56

2012-09-13 13:38:24
nao @parasite2006

@mw_mw_mw どうやら検出下限値の計算には統計誤差のほうを使っているようです。3倍か3.29倍かは最終的にはメーカー確認が必要ですが。お騒がせしました。

2012-09-13 13:43:02
Michiharu Wada @mw_mw_mw

系統誤差は評価が難しく、一般には正規分布もしないので統計的勘定は難しいです。真値Aに対して(1+α)A+βとなる様な系統誤差を考える時、係数に効くαは効率やサム補正が該当し、変位を呼ぶβは例えばピーク究積のBGを引く方法の問題が該当します(続.@parasite2006

2012-09-14 13:02:29
Michiharu Wada @mw_mw_mw

承前)係数に効くαの方は小さければ大勢には影響小さいでしょう。しかし取り分けAが小さい時、オフセットを与えるβは問題になり得ます。明らかにピークが見えないのに有意の計数を表示してしまう問題はこれに相当すると言えるでしょう. @parasite2006

2012-09-14 13:09:23

ホールボディカウンターATOMETX AT1316の結果レポートの読み方

(日本サードパーティの旧版結果レポートの解剖)

nao @parasite2006

ベラルーシATOMTEX社製のホールボディカウンターの結果レポートの読み方は、まず日本サードパーティの検査センターで測定した結果について説明します(アドフューテック経由で市民測定所、自治体に納入された分は結果レポートの形式が違うことが予想されますので、機会を改めて追記予定)

2012-09-11 19:40:16
nao @parasite2006

これも日本サードパーティが本社の旧版データ解析ソフトを日本語化せずそのまま使っていたころのものhttp://t.co/N7zWI73o のほうが各項目の意味が分かりやすいので、現行新版の結果レポートの前にまずこちらからご覧いただきましょう。

2012-09-11 19:42:30

(ここから下のツイートの中の旧版レポートのURLはhttp://t.co/N7zWI73o が正しいのでこちらに読み替えて下さい↓)

nao @parasite2006

ATOMTEX社製のホールボディカウンターの結果レポート(日本サードパーティの検査センターの旧版)http://t.co/5D2yWu5c は基本的にスペクトル出力がなく結果一覧表だけ(当時のデータ解析ソフトではスペクトルが別ページで出力される仕様だったため)

2012-09-11 19:48:25
nao @parasite2006

「Nuclide=核種」欄のすぐ右の「Activity=放射能濃度」と「Composite error」の欄はどちらもBq/body単位。一方「Stat. error=統計誤差」欄の右側の「Spec. Act」と「「Composite error」の欄は体重当りでBq/kg単位。

2012-09-11 19:56:22
nao @parasite2006

「P」欄にすべて「0.95」と書き込まれているのは、95%信頼区間、すなわち「Composite Error」欄の±付き数字は誤差σの±2倍の範囲を表しているという断り書き。

2012-09-11 20:05:18
nao @parasite2006

「P」欄のすぐ左の「MDA」はMinimum Detectable Activityの略で、誤差σの3.29倍として計算(欧米では3σよりこちらの方が検出判定基準としてより優れているとする論があり、海外製の測定装置の中には検出判定基準としてこちらを採用するものあり)

2012-09-11 20:11:10
nao @parasite2006

もしMDAが本当に誤差の3.29倍(3.29σ)で計算されているのなら、Composite errorの数字は誤差の2倍(2σ)ですからMDA/Comp.Errorは約1.6になるはずなのですが、旧版結果レポート例http://t.co/5D2yWu5c で計算すると全然違う!

2012-09-11 20:19:31
nao @parasite2006

もっともこの旧版結果レポートhttp://t.co/5D2yWu5c は、日本サードパーティの品川検査センターの窓が二枚ある部屋に追加遮蔽なしで置かれた椅子型ホールボディカウンター(雨の日にはスペクトルに雨の中のBi214のピークが見えていたことがわかっている装置)でとった結果

2012-09-11 20:25:03
nao @parasite2006

旧版結果レポートhttp://t.co/5D2yWu5c の欄外のExpected annual dose of internal irradiation=予想年間内部被曝線量は、検出されたCs134とCs137量(検出限界割れの場合は検出限界値と同じ量が存在と想定)から(続く)

2012-09-11 20:31:05
nao @parasite2006

(続き)装置内蔵の独自の計算式を使って割り出したもので、計算根拠が今ひとつはっきりしないため、この装置をアドフューテック経由で導入した福島の市民測定所http://t.co/fHtxiBhh ではこの量を結果レポートに出力するのを止めています(結果レポートの出力内容は設定可能)

2012-09-11 20:34:31
nao @parasite2006

しかし日本サードパーティは検査したらその場で内部被曝線量の数値がわかることを売りにしており、この得体の知れない量を結果レポートからはずすべきと言っても簡単には応じないでしょう。今後この装置を導入される自治体や市民測定所におかれては、この値を出力からはずされることをおすすめします

2012-09-11 20:39:33

(日本サードパーティの新版結果レポートの解剖)

nao @parasite2006

ATOMTEX社製のホールボディカウンターの新版結果レポート例(日本サードパーティの福島検査センターが公開しているもの)http://t.co/j4z9OHWh は旧版のレポートhttp://t.co/5D2yWu5c をほとんどそのまま日本語化したもので(続く)

2012-09-11 20:42:23
nao @parasite2006

(続く)両方を見比べると新版の結果一覧表の中央の「Error」欄は旧版の「Stat. Error」欄に対応し、統計誤差であることがわかります。

2012-09-11 20:45:27