「別冊少年マガジン」の「別マガ班長」による(漫画における)「意外性」の話

「別冊少年マガジン」(別マガ)「班長」による「新連載コンペ」に纏わる話の続編です、 今回は「意外性」に関する話が面白いです 赤塚不二夫先生に纏わるエピソードなど、面白いトピックが多いです 続きを読む
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班ちょ @pakhancho

最後に僕が重視している、個性、意外性、読みやすさ、について。丁寧に言います。個性は、あなたしか描けないものを描いているかどうか、です。他の人がすでに描いているものなら、読者はあなたの作品にお金を払う理由がなくなります。絵でもキャラでもストーリーでもなんでもいい。個性が欲しいです。

2012-09-25 02:34:20
班ちょ @pakhancho

まずいな、これ長くなるな。みんな、ごめん。個性を引き出すために僕らもいろんな示唆を作家に投げます。別マガは創刊時、多くの作家に「あなたの絶望を描いてください」と投げかけました。どうぶつの国は、お母さんに捨てられるところから始まるし、進撃の巨人は人間が捕食されるし、

2012-09-25 02:36:15
班ちょ @pakhancho

そして惡の華は体操服を盗んだのがばれます。ベイビー・ワールドエンドの絶望も記憶に新しいですね。また他にこんなことも言います。「もしも、あなたに今、ひとり息子がいたとする。その子にこの世界で生きていくうえで大切なことを一つだけ伝えるとしたら何?」と。

2012-09-25 02:38:01
班ちょ @pakhancho

片や絶望であり、片や希望かもしれない。でも、そういった方法で自身にとって大切なものは何?俺って何?っていうことに向き合うことはあなたのプラスになります。

2012-09-25 02:41:07
班ちょ @pakhancho

他にも何でもいい。誰にもかけないような柔らかいおっぱいが描ければそれでもいいかもしれない。自分が最高に嫌いなヤツってどんなだろう?という発想のスタートもあるかもしれない。奇をてらう必要はないけれど、個性を引き出す方法を考えてほしい。

2012-09-25 02:43:29
班ちょ @pakhancho

次に読みやすさ。実は、そうは言っても個性はあるんです。みんな違う人間だから。その個性と読みやすさを両立させるのは、実はとても難しいことなんです。別冊少年マガジンが出来たとき、実は社内でも少し揶揄されました。「こんなものか」と。「所詮はマガジンが作るファンタジー誌か」と。

2012-09-25 02:45:15
班ちょ @pakhancho

「だって別マガの漫画ぜんぶ分かるじゃないか」と、「わかってないな、謎が大事なのに」と。そういうふうに言われました。僕はここに僕が自慢するマガジンの編集力があると思っています。「わからないこと」と「面白いこと」はまったく別のことなんです。

2012-09-25 02:47:24
班ちょ @pakhancho

「わからないこと」を許してはダメなんです。わからないことも味だ、と言ってしまった瞬間、その作品は安くなってしまうんです、本当は。許されるのは意図的に散りばめた謎です。進撃の巨人は好例です。寄生獣、夜桜四重奏もそう。少年漫画でなくても共通なんです。

2012-09-25 02:52:27
班ちょ @pakhancho

自身の描いたことを自身の意図通り、万人に理解させられているかどうか、それは非常に大事なんです。まずは、はじめの一歩として、コマ割りの大小、そしてセリフの必要十分さ(少なさ)、キャラクターの描き分けを心がけてみてください。

2012-09-25 02:54:04
糸井 重里 @itoi_shigesato

SNS もたのしいですが、ぜひ「ほぼ日」1101.com に来てください。読みものコンテンツ、商品コンテンツ、イベントコンテンツ、いろいろあります。人がはりきって活動してます。

1101.com

糸井 重里 @itoi_shigesato

いま連続ツイート中。「別冊少年マガジン(@betsumaga)」の編集の方のツイートがおもしろーい。真剣さとやさしさがあって、読んでいて固唾をのむ。新人漫画家の人たちに伝わるといいなぁ。

2012-09-25 02:55:34
班ちょ @pakhancho

オーマイガッ!!糸井重里さん!これです。この意外性! RT @itoi_shigesato いま連続ツイート中。「別冊少年マガジン(@betsumaga)」の編集の方のツイートがおもしろーい。真剣さとやさしさがあって、読んでいて固唾をのむ。人漫画家の人たちに伝わるといいなぁ。

2012-09-25 02:57:46
班ちょ @pakhancho

意外性。意外性には2つの意味があります。キャラクターを立てるための意外性と、物語を推進する意外性です。キャラクターは、セリフではなく行動で立てて欲しい。例えば、こういう感じ。(実話です)。とある天才ギャグ作家が付き合いのある編集部にある日、電話した。「今から俺の仕事場においで」

2012-09-25 03:45:37
班ちょ @pakhancho

天才ギャグ作家「ただし、面白い方法で来てね。俺、ギャグ作家だから」。各編集部騒然。どういうことだ?何を求めてるんだ?締め切りを伸ばして欲しいのか?原稿料を上げて欲しいのか?いったいどういう意味なんだろう?そこに登場したマガジンの五十嵐記者「僕に任せてください」

2012-09-25 03:49:46
班ちょ @pakhancho

各編集部が戸惑う中、五十嵐さんは、ほふく前進でその作家の仕事まで行った! そしたらその赤塚不二夫先生、次の新連載をマガジンでしてくれました。こういう意外性です。五十嵐さんも赤塚先生も、なんだかかっこいいでしょ? そして意外な行動でしょ? こういうキャラ立ては冨樫先生が絶品ですよ。

2012-09-25 03:52:28
班ちょ @pakhancho

例えば、道端に100万円落ちている。人によっていろんな行動をするだろう。でも、僕の作った主人公はこうするんです!という、そういうシチュエーションとキャラクターを作るんです。そのときに、読者がハッとするような、へー!って思うような意外性のある行動だといっきにキャラが立ちます。

2012-09-25 03:52:47
班ちょ @pakhancho

深夜3時に、なぜか糸井重里さんが、別マガのツイッターにコメントする。ええっ!な、なんで!?ってみんな思う。こんな時間に起きてるんだ?漫画好きなのかな?なぜに別マガ?みんなそう思う。もしあなたの作った主人公に読者がこんなに興味を持ってくれたらもう成功ですよね?

2012-09-25 03:53:41
班ちょ @pakhancho

物語を推進する意外性。これはもう単純にどんでん返し、逆転また大逆転。思っても視ないような解決法。裏切り。などなどです。これを新人作家のみなさんが思っているより、もう1回多く入れてください。漫画の場合は、さらにあります。ページをめくるという行為は漫画の場合とってもサスペンスなこと。

2012-09-25 03:57:50
班ちょ @pakhancho

ページをめくった先に何が待ってるか?何が起きてるか?読者はみんなドキドキして紙をつまんでいます。2ページ読むたびに。こんなメディアが他にありますか?その特性をぜひ生かして欲しい。「よお!」と声をかけて誰かが現れる。その登場をうまくメクリでやっていますか?

2012-09-25 04:00:08
班ちょ @pakhancho

ページをめくるたび、そしてコマ割りの段が変わるたびに、小さな意外性を入れようとする。「わあ!美味しそ~」「まずっ!」こんなありふれた流れも段を変えるだけでも面白く見えるときがあります。そういう小さな意外性も意識して構成し、そしてたくさん入れてみてください。

2012-09-25 04:05:37
班ちょ @pakhancho

ヒット作品はそんな小さな意外性のオンパレードなんですよ、実は。最後に注意を。意外性を簡単に出せるのは、キャラクターの意外性です。例えば、これまでガリ勉で運動はからっきしだけど、弁は立つというキャラクターが、強敵に遭遇したときに、突然、美しい回し蹴りをかます!かっこいい!意外性!

2012-09-25 04:07:55
班ちょ @pakhancho

そういう展開に意外性を感じるかもしれませんが、それはやっちゃいけない意外性です。その瞬間、その回だけ、人気は上がるかもしれませんが、それをするとすべてのキャラクターが作者のお人形になってしまいます。すると読者はキャラクターへの興味を失ってしまうでしょう。

2012-09-25 04:09:29
班ちょ @pakhancho

もちろん、キャラクターの成長や、意外な一面をすべて否定しているわけではありません。ただ、キャラクターを壊して盛り上げるというのは、新人作家さんが陥りやすい、意外性の間違った使い方なんです。

2012-09-25 04:10:55
班ちょ @pakhancho

以上です!すみません!仕事に戻ります。ツイッターは仕事じゃありません。遊びです。だからみなさん、また一緒に遊びましょう!今日も明日も、あらゆるご質問、お待ちしております。

2012-09-25 04:12:04

(おまけ)カレーの作り方