【カオス理論】1.理論から得られる哲学的な結論についての混乱②
- Abraxas_Aeon
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カオス理論における、理論から得られる哲学的結論についての二つ目の混乱は、ラプラスと決定論についてである。ラプラスの仕事は誤解されることが多いそうだ。彼の仕事をめぐる論争は歴史が長い。彼の仕事を理解するうえで大切なのは、「決定性」と「予測可能性」をはっきりと区別することである。
2010-01-23 18:23:21「決定性」は、我々と関係なく、「自然が何をするか」に依存しており、他方、「予測可能性」は「自然と我々の双方」に依存している。
2010-01-23 18:34:08この点の理解の仕方としては、たとえば時計のように我々にとって完璧に予測可能なふるまいをする系について、我々からは見えない場所においてあるという状況を考えてみるとよい。そうである場合、我々には時計の初期状態を知る術がないために、〈我々にとって〉時計の運動は予測不可能である。
2010-01-23 18:37:32振り子の運動は、重力以外の外力が加わらなければ決定論的であり、かつ非カオス的である。これに〈周期的な外力〉を加えると、振り子の運動がカオス的になり、予測がずっと難しくなる場合がある。しかし振り子の運動それ自体が決定論的ではなくなるというわけではない。
2010-01-23 19:22:29ラプラスは「普遍的な決定性」という概念を導入したあとに、〈我々自身は〉この仮想的な「知性」や「自然界を構成する諸物の相対的な状況」(現代で言うところの、全ての粒子についての正確な初期条件)からは、「いつも無限に遠く隔たっている」と付け加えている。
2010-01-23 19:31:26ラプラスは彼自身の思考において「自然が何をするか」ということと、「それについての我々の知識」をはっきりと区別していることを明らかにしている。そして彼が、以上の決定性の原理について書いたのは、〈確率論〉についてのエッセイの冒頭であった。
2010-01-23 19:39:36ラプラスにとって〈確率論〉とは、「我々の知識が不完全であるときに、正しい推論を行うための方法」に他ならない。人間全体がいつの日にか、完璧な知識と普遍的な予測能力をもつようになるなどということを、〈ラプラス自身が〉願っていたと捉えるのは筋違いである。
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