『ティマイオス』

プラトン『ティマイオス』について取りまとめていきます。ご意見・ご要望の申し入れなどはTwitter→@Abraxas_Aeonのほうにまでお寄せください。
8
@Abraxas_Aeon

という工合に切り離していった。その次には、この二倍ずつの〈合間〉と、三倍ずつの〈合間〉とを、もとの混合物からなおも部分を切り取っては、それらの間に置くという仕方で埋めていったが、その場合どの〈合間〉にも、〈調和中項〉と〈算術中項〉があるようにしたとある。

2010-02-12 21:06:27
@Abraxas_Aeon

これらを順番どおりにまとめてみると、まず1,2,3,4,9,8,27という数列が得られる。次に「二倍ずつの〈合間〉」と「三倍ずつの〈合間〉」とあるので、数列を下の図のように配置することができる。

2010-02-12 21:10:42
@Abraxas_Aeon

そして、どの項の〈合間〉にも〈調和中項〉と〈算術中項〉があるようにした、とあるわけだが、〈調和中項〉をm、〈算術中項〉をm’とし、両端の項をa1,a2とすると、以下のような式が得られる。

2010-02-12 21:12:11
@Abraxas_Aeon

m=a1+a1/n=a2-a2/n, m=2a1a2/a1+a2→ 調和中項 m’=a1+r=a2-r, m’=a1+a2/2 → 算術中項

2010-02-12 21:12:35
@Abraxas_Aeon

これら二つの中項を挿しいれると、それによって先ほどの〈合間〉に3:2、4:3、9:8の〈合間〉(両端の項がこれらの比をなす合間)が生じるとある。

2010-02-12 21:12:51
@Abraxas_Aeon

試みに二つの中項を先ほどの数列に挿し込んでみよう。たとえば1と2の間には4/3(調和中項)と3/2(算術中項)が入る。そして3/2:4/3は9:8である。これが3:2、4:3、9:8の合間が生じるといわれている所以である。

2010-02-12 21:13:12
@Abraxas_Aeon

最後に、(神は)この9:8の〈合間〉で4:3を埋め尽くしていったという。すると、これらの〈合間〉のそれぞれに一つの分数を残すことになったが、残された分数の合間は、数の比で言って両端の項が256:243になるものだったとある。

2010-02-12 21:13:33
@Abraxas_Aeon

その結果できあがるのが右のような図である。 http://yfrog.com/33platon3j

2010-02-12 21:14:19
@Abraxas_Aeon

ちなみにこれがまたすこぶる面白いところであるが、〈合間〉と訳しうるギリシャ語は〈音階〉をも表す語である。実はこれまで述べてきた数列は音階を構成しているのである。4/3=完全4度(2全音+半音)、3/2=完全5度(3全音+半音)、9/8=長2度(1全音)。

2010-02-12 21:14:52
@Abraxas_Aeon

数列の全体を5線紙に表すと右のようになる。 http://yfrog.com/32platon4j

2010-02-12 21:15:34
ABIRA,Shiruaki @prankette

@Abraxas_Aeon 音階と比率の関係について書かれた本では、藤枝守さんの『響きの考古学』がなかなか面白かったです。 ついでに言えば、「複雑な比率から単純な比率へ(不協和音から協和音へ)」というのが、コード進行の理論の基礎になっていたりします。

2010-02-13 02:27:35
@Abraxas_Aeon

@prankette これは、早速参考になる本をご紹介していただきありがとうございます。探してみますね。

2010-02-13 02:43:22
@masmt

@Abraxas_Aeon 比例関係に注目してるのが面白いですね。物理的な実体ではなくて関係が生み出す差異、情報に着目しているのは先見性があるように感じました。プラトンがすでにそういう話をしてたのはけっこう重要ですね。

2010-02-15 01:44:12