ゴーイングコンサーンのために

主人公太郎の成長を描くビルドゥングス・ロマン(教養小説)
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@monday0705
「シャー」 園子は少し恥ずかしそうに、浴衣を捲り上げ、草むらで小便をした。 最初に夏祭りに誘ったのは太郎の方からだった。週に二、三度は仕事が終わると太郎は園子のバーに飲みに行く常連だった。
@monday0705
店の名前もである紫陽花を思わせる園子の佇まいに太郎は惹かれていた。ある日、祭りに行きたいと呟いていた園子を太郎は誘った。学生時代を過ごした東京から、就職した会社の辞令で今まで縁がなかった四国の徳島にきて早6年。
@monday0705
今では地元の人間となんら変わらないほど地理的にも詳しくなり、方言も染み付いていた。       生まれ育った神奈川へ帰るのは年に一度、年末年始のみで、あとの長期休暇は四国巡りに没頭することにしていた。
@monday0705
駄菓子メーカーの製造管理の仕事も順調にこなしながら、仕事以外での人間関係も欲しいと考え、通い始めたのが紫陽花だった。まさかそこのママさんとこうして、夏祭りに一緒に行くことになるとは通い始めた当初は考えもしなかった。
@monday0705
夏祭り当日は、紫陽花の前で待ち合わせをしていた。太郎が時間丁度に着くと、園子は言った。     「あら、本当に来てくださったのね。」      二人は恋人のように夏祭りの人ごみの中に入っていった。
@monday0705
太郎は思った。端からみたら太郎と園子は恋人同士に見えるのではないかと。 そもそも園子は自分のことをどう思っているのだろう。単なる馴染みの客の内の1人なのか。それとも… 以前から抱いていた疑問を解決するのに今日は絶好の機会だ。
@monday0705
その機会は思いの外早く巡ってきた。園子が綿菓子を食べたいと言い出したので、屋台でそれを買った。隣で美味しそうに綿菓子をむさぼる園子の方を見て、太郎は物欲しそうに口を開いた。園子と目が合った。次の瞬間、園子は太郎の口に綿菓子を腕ごとねじこむかのような勢いで押しつけてきた。
@monday0705
呼吸ができない…必死に園子の腕を払い除けようとするが、園子は血眼になって口に綿菓子をねじこんでいる。綿菓子を売っていた威勢の良い若者も、周りの人々も唖然としながらその風景を見ていた。ようやく太郎は園子を振り払った。 「ゴホッゴホッ!」   「園子さん、何をするんだ!?」
@monday0705
太郎は園子の不可解な行動に対する説明を求めたが、園子は何事もなかったかのようににっこりと笑い、太郎の腕に自らの腕を絡みつけた。
@monday0705
何を考えているのかわからない…太郎は戸惑った。確かにこれまでの半生を振り返ってみても乙女心が理解できないということは数えきれないほどあった。しかし、今回の出来事に関しては全く違う次元の問題の様な気がしてならない
@monday0705
だが、ほんの五分も会話しながら歩いていると、太郎は先程の出来事が夢幻ではないかと思えてきた。それ程に、浴衣姿の園子に愛しさを感じていた。    「初めての相手は近所のお兄さんでした。」    園子は唐突に自分の処女喪失の記憶を話しだした。
@monday0705
太郎は思った。先程の一件といい、この発言といいこの女、気を違えているのではないかと。
@monday0705
しかし、園子の処女喪失の話は興味深かったので、掘り下げて聞いてみることにした。園子は言った。  「高校生の時でした。康男さん。昔から近所で兄同様に慕っていた方でした。家族ぐるみで懇意にしていたものですから、小さな頃からお互いの家を出入りしていました。
@monday0705
ある日、いつものように宿題を教えてもらおうと康男さんの部屋に行きました。」太郎の中で、一度押さえ込んだ園子に対する違和感、疑問が再度盛り上がってきた。「大体この女…初めてデートしている男にそんな話を打ち明けて…やはりおかしい」
@monday0705
太郎の一族は、お正月に父方の祖父母の鎌倉の自宅に親戚一同が集い、年を越す慣習があった。太郎が幼少の頃、この行事に親戚の姉がその年に結婚した夫を伴い参加した。そして、年が明けた晩、太郎は尿意をもよおし、目が覚めた。
@monday0705
太郎は隣に寝ていた父がいないことに気付いたが、何の疑問も抱かずに古い木造家屋の長い廊下の向こうにある便所に急いだ。便所の前に着くと、電気はついていないが鍵がかかっていた。そして、中からは床がきしむ音とかすかに聞こえてくる人の吐息。
@monday0705
太郎は外に出て、とりあえず小便を済ますと、便所の小窓から中を覗き込んだ。すると、月明かりに照らされた便所の中では、昼間、太郎に竹馬やかるたを教えてくれた清楚な親戚の姉が、築80年の家屋の和式便所によつんばいになり悦な表情で喘いでいたのである。
@monday0705
そして、その姉の尻を鷲掴みにし、目をギラギラと輝かせながら腰をふっているのは新郎ではなく太郎の父であった。 次の瞬間、太郎はその二匹の獣と目が合った。幼いながらも、今目の前で起こっている出来事が淫らなことであり、親戚の姉と父が不貞を働いていることが太郎にはわかった。
@monday0705
しかし、親戚の姉と父は太郎をまるで認識していないかのように、行為を継続していた。翌朝、太郎は高熱を出し寝込んでいた。昼過ぎ、父が太郎の枕元にやってきて呟いた。「昨日のあれな。おまえも何となくわかると思うけど、肛門でしていたんだから悪いことじゃないんだ。だから誰にも言うなよ。」
@monday0705
あの時から太郎にとっての性交は肛門によるものとなった。初めてもそちらが先だったし、風俗でそれを強要し痛い目にあったこともある。
@monday0705
しかし、ひょっとしたら変わっている、常軌を逸しているかもしれない園子に対して、これまで何とか平常心を保てたのは、本人も忌々しく感じ始めている性癖のおかげ、つまりは、後ろの穴は汚されていないであろうという希望のおかげでもあった。
@monday0705
さらに、そういった精神的な支えだけでなく、園子が浴衣から覗かせている豊満な胸も、太郎を引き留めている一因であった。そう、太郎は巨乳好きでもあったのである。
@monday0705
太郎はこの場を満喫するために、園子への疑念を払拭することを考えた。自分自身の意識の対象を園子の奇怪な言動から遠ざけるには…そうだ、胸を触ろう。今日中に胸を触ろう。
@monday0705
太郎が胸を触る機会を伺っていると、園子はまた話し始めた。しかし、太郎はその胸に意識を集中するあまり、園子の処女喪失の話をほとんど聞いていなかったのである。「…でしょう。太郎さんはどう思う?」
@monday0705
園子は共感を求めるように、自分のした話に対する太郎の考えを求めた。だが、太郎は園子が康男という男が初めての相手だというところまでしか話を聞いていない。にもかかわらず、太郎は躊躇わずに言い放った。「胸が踊るね。」
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