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東海道中膝栗毛 エピソードゼロ
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KumanoBonta
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弥次「だから言ったろ、あいつの口うるささにはウンザリだったんだよ。金のためだけじゃねーよ」芋七「そういうこと」弥次「で、その100万のシロモノはいつ来るんだ?」
2012-11-07 20:00:14![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「ああ、お前も早く金が欲しいだろうし、その愛人てのも赤ん坊がいつ産まれてもおかしくないらしいから、もう今夜にでも来てもらうよう段取りつけてあるよ。酒ぐらい振る舞ってやらなきゃならんからさ、さっそく用意しようぜ」
2012-11-07 20:00:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「お、おいちょっと待てっ。ななな何ぃ?今夜来るのか? うっわー、えらく急だな」芋七「お、おう」弥次「いやいやいや知ってたら今日のうちに床屋に行っておいたのに…。うわあ俺、せめて髭だけでも剃りに行ってくるわ」
2012-11-08 20:29:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「おい、今頃床屋なんてどこも開いてねえよ。なーそれより早く酒の支度しようぜ」弥次「いやでもさ…」芋七「おめ何ソワソワしてんだよ」
2012-11-08 20:29:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「ソワソワなんかしてねえよ。あ、そうだちょっと爪でも切っとくわ」芋七「だーかーらー、もう呆れたヤツだな。爪なんてどうでもいいじゃんかよ」
2012-11-08 20:30:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「でもさ、10本全部じゃなくても、せめてこの2本ぐらいは綺麗に切り揃えておいたほうがええやん? \(//∇//)\」芋七「 (。つ∀≦。)・゚・。 ぷひゃはははっ馬鹿っおいやめろ、腹がよじれるわ」
2012-11-08 20:30:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
そうして3人は、部屋を片付け、火鉢に炭を起こし、戸棚から酒を取り出して、女がやって来るのを待ちながら飲み始めた。
2012-11-08 20:30:32![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
やがて外からエッホエッホと駕籠が近づいてくる音がする。芋七「おいっ、来たんじゃねえか?俺ちょ見てくるわ」玄関をサッと開けて飛び出し、芋七「おーい、こっちだこっちだ。ご苦労様ー。」駕籠の中から、大きなお腹を抱えた女性が出てきた。
2012-11-09 19:04:32![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「運転手さんご苦労さん。これ、とっといて」ポケットから出したありったけの小銭を渡して早々に駕籠を追い返し、女の手を取り家に入る。芋七「さあさあ、お嫁さんがやってきたよ~。おタコ、盃を渡してやってくれ。」
2012-11-09 19:04:43![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「おいやめろよ。照れるなぁ」芋七「さ、おつぼさん、どうぞこちらにお座りください。酒を一口飲んで、ご亭主へ差し出して」おつぼ「はい…」
2012-11-09 19:04:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「おタコ、お酌を頼むぞ。さーて、お祝いに歌の一曲も披露してあげようかねぇ。あ、でも俺そんなめでたい歌知らねえんだよな。明日までに何か芸でも仕込んどくよ」そうして夜がふけるまで小さな祝宴が続いた。
2012-11-09 19:05:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
【中ぼん紀行】江戸時代、馬車がなかったわけ http://t.co/DzGrzduX 人間はともかく、貨物輸送くらいは馬車を採用してもよかったんじゃないかとおもうの。道路整備も伴うだろうけど。
2012-11-09 19:05:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
おタコ「ね、芋七さん、私たちそろそろ帰ろ?」芋七「ああ、そだな。こんな狭い家にいつまでも邪魔しちゃ悪いよな。じゃ、おつぼさん、今日はゆっくり休んでくださいね。また明日来まーす」おつぼ「ありがとうございました(^^) 」
2012-11-10 20:25:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七とおタコが外に出て、弥次郎が送り出そうと一緒に外に出た。弥次「よぉ芋七、100万の話が出てこないけど、いったいどうなってるんだ?」
2012-11-10 20:26:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「ああ、心配しなくて大丈夫だよ。さっき彼女が来て駕籠から出たときにそっと聞いたんだ。明日の昼頃までに隠居が持って来てくれるらしい。」弥次「おお、そっか。よかった」
2012-11-10 20:26:10![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
芋七「だからさ、今夜は金のことは考えずにゆっくり楽しめって (・∀・)ニヤニヤ 」弥次「 \(//∇//)\ よせよっ」弥次郎が芋七の背中をパンっと叩き、二人は帰って行った。
2012-11-10 20:26:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
【中ぼん注釈】おつぼの引受金を100万円という金額でずっと書いてきてますが、実際は十五両です。江戸後期は一両=5万円ほどだそうで、十五両だと75万円という計算ですね。
2012-11-10 20:26:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
【中ぼん注釈】玄関の鍵と表現しているのは、障子の掛金のことです。現代でも田舎だと鍵なんてかけないお宅もありますが、江戸時代以前から鍵の存在は普通にあったんですね。
2012-11-11 20:23:48![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「えーっと…少し寒くなってきましたね」おつぼ「ええ」弥次「お茶漬でも食べます…か?」おつぼ「いえ、今日はもうたくさんいただきましたから」弥次「そ、そっすか…。あー…じゃあ、もう寝ますか」
2012-11-11 20:23:05![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
おつぼ「そうですね。ではお布団を敷きましょうか」弥次「いやいやいや、俺がやりますから、そこで、待っててくださいっと」弥次が押入れから破れ布団を取り出そうした。と、そのとき、
2012-11-11 20:23:17![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次は頭に嫌なことがよぎる。 (・"・ ) (ひょっとして追い出したおふつが、今日のこの事をどこかから聞きつけて押しかけて来たんじゃないか? あいつの親も一緒だったりとか? うへ、こりゃまずいぞ)
2012-11-12 20:12:43![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
面倒なことになるのを恐れ、弥次はおつぼに小声で言った。弥次「あーおつぼさん、ちょっとまずいことがありそうだ。あのさ、この長屋のしきたりでね、長屋に嫁が来ると近所の人達が集まって、嫁の尻を寄ってたかって撫で回すってのがあるんだよ」
2012-11-12 20:12:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
弥次「あー、いったいみんな、どうやっておつぼさんが来たことを知ったのかなー。こんな時間に尻を撫でにくるなんてなー」
2012-11-12 20:13:22