被曝すると生涯のがん死亡リスクはどれだけ上昇するか? MAKIRIN氏の間違いを指摘してみた

もうかれこれ半年くらいやっていますが。 「被曝するとがんで死亡するリスクが高まる」と言われていますがそれを公表されている様々なデータからどう読み取るか、という考え方の問題です。まあ、大した被曝量でなければ差は実際は微々たるものではあるのですが。 (なお、ここでは急性被曝や慢性被曝の違いや、LNT仮説の是非とかは論じていません。) それにしてもこのお方、強弁すれば「嘘から出た真」になるとでも信じていらっしゃるのでしょうか。でも、定義を理解していない以上、その上に積み上げた彼の「理屈」らしきものは、全て間違っていることになるわけなんですけどね。
15
リンク renormalization 『中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマ』 makirintaroのrenormalizationの記事、中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマです。

このブログでMAKIRINさんは、このように記載しています。

(引用はじめ)
26%×1.05=27.3%ですから、その放影研の資料に基づいて計算するのであれば正しくは日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から27.3%に増加することになります。」と説明すべきです。(男女のリスクを分け考えるのことも正確には正しくありませんが)
高々0.8%分のリスクを低く見積もり過小評価するために計算を誤魔化すとは考えづらいので、彼らはこのリスク評価の方法を全く理解していないようです。100mSvで生涯のがん死亡のリスクが約0.5%上乗せになるという説明をしたいのであれば、たとえばICRP publ.103 の名目リスクに基づいて説明すべきです。http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09020305/02.gif (この名目リスクは致死率とQOLが調整されていますが)
team nakagawaのブログでリンクされている放影研の資料に基づく計算方法とICRPの名目リスクに基づく計算方法を混同した彼らのデタラメな見積もりでは実効線量1Svの被曝をしたとき、常に5%の上乗せと考えるのでしょうか。その場合「男性では、ICRPの名目リスクに基づく計算では、実効線量1Svの被曝で、がんで死ぬ確率が26%から31%に増加する」ということになりますが、team nakagawaのブログでリンクされている放影研の資料に基づく計算では、実効線量1Svの被曝をしたとき、リスクが1.5倍になるので、1Svの被曝で、がんで死ぬ確率が26%から39%に増加する」ということになり、前者の計算方法では後者の計算方法よりリスクを過小評価していることになります。(ただし、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合より影響が少ない(1/2 あるいは1/1.5)とする考えがありますが)
(引用終わり)
で、この記載は間違っているということを私は繰り返し指摘してきました。そのやり取りは以下のまとめに記されています。
実は、team nakagawaのブログも同じような理由で間違っているのですが、間違いを間違った理屈で指摘して、「安全デマ」とか「デタラメ」と書くのはいかがなものかと思います。

以下二つのまとめは、同じ論争をそれぞれがまとめたものです。最終的にMAKIRINさんは自分のまとめで残念なことにコメントデザインを始めてしまいましたが。

まとめ LSS生データとそれに基づく「生涯がんリスクの推定」の混同(tonkyo_hanageさんの無知と理解力不足によるい.. tonkyo_hanageさんは「生涯がんリスクの推定の話」と「被曝群と非被曝群の話」を混同している時点で話にならないのですが、稀に見る曲解力の持ち主で、それは理解力不足に原因があるようです。(その後、基礎学力が足りないだけでなく、理解力や思考力に難があることが明らかになりました。) (「生涯がんリスク解析」については http://www.jnes.go.jp/content/000017127.pdf ) 彼が科学の苦手な御仲間に「いいところ(賢いところ)」でも見せようと思い、全く理解していないことを知ったかぶって「いいがかり」をつけてきたというのが真相のようです。 そのため、そのことを誤魔化すために次から次へとデタラメなツイートを繰り返しています。 彼は「生涯がんリスク推定」について全く知らなかっ.. 16096 pv 231 4 users 1
まとめ 絶対リスクと相対リスクの意味の混同 「放射線被曝により、がんが増える」ということについて多くの人が言及しています。ところが、「どれくらい増えるか」ということに対する見積もり方法に関して世間に流れている情報は必ずしも全面的に正しくはないというのが現状です。特によく間違えられるものとして、がんで死ぬ確率が何パーセント増える、あるいは何倍増える、ということに関する解釈があります。典型的な誤りを自身のブログでしている@MAKIRIN1230さんとのやり取りを中心にどうすればリスクを正しく評価できるかについて考えてみましょう。 13047 pv 105 7 users

で、その後も断続的に論争は続き、

まとめ とんきょさんの癌死確率講座 です 12499 pv 230 1 user 1
まとめ 生涯寄与リスクLARについて 生涯寄与リスクLAR(d,e)は線量dと被曝時年齢eの関数ですが、生存率Sが年齢とともにどう変化するか知らないと、頓珍漢な説明をすることになります。 確率的影響の特徴を完全に無視したデタラメな思い込みで支離滅裂な主張を繰り返すだけでなくERRやEARの時間経過と生存率の関係も理解できていないようなレベルにもかかわらず、「被曝によるリスク」について悪質な「知ったかぶり」をしている輩がいるので注意しましょう。 7906 pv 77 1 user 1
まとめ 被曝によるがん死亡リスクの増加についてもうちょっと考えてみた 以前リーフレインさんがまとめて下さったまとめhttp://togetter.com/li/321967 のコメントにも書きましたが、ここでの考えたことでどーも自分の中でも不明確な部分があったので、その間違えが何であったかを考え、更にもう少し先まで考えてみました。  で、MAKIRIN1230氏のブログが修正(というか改竄)後も相変わらず間違っているということが別の形で示されたので、それについてもあわせてまとめました。  彼は自身のまとめでコメントデザインしたり、Twitter上で私のDisりコメント連発していますが、まんまブーメランですね。  まあ、私をいくらDisったとしても、それは仮に私の間違いを言い当てていたとしても、彼の書くことの正しさを一切保証するものでも何でもないのですがね。  それはさ.. 5751 pv 35 2 users

で…

まとめ 間違い探しクイズ 初歩的なリスクの計算すら正しくできないにもかかわらず、知ったかぶって「被曝によるリスクの増加」についてデタラメなツイートを繰り返している輩がいます。今回は、そのデタラメなツイートやコメントなどを題材に「間違い探しクイズ」を作成してみました。(間違いは他にもたくさんあるので、今後クイズは追加されていく予定です) ある程度科学に親しんでいる人なら、こういった「程度の低い間違い」はすぐ見抜けると思いますが、科学の苦手な人にとっては混乱をもたらし「正しく理解すること」を妨げる害にしかなりません。 また、根本的な間違いを認めないのは彼の資質のようです。 https://twitter.com/MAKIRIN1230/status/233765715197452289 参考 「LSS生データとそれに基づく「生涯が.. 14725 pv 204 1 user

MAKIRINさんは最近こんなまとめを作りました。こうなるとほぼ揚げ足取りでしかないわけですが、問題は私はMAKIRINさんが理屈で説明したらわかる人だと思っていたのですが(自分で理学博士と仰っていますし、Twitterでも真偽のほどはともかくとしてそれなりに論理的な論理展開をして複雑な計算をなさっていたので)、どうやらそうではなかったということに気がつきました。
まあ、このクイズの質もさることながら、そこで尻馬に乗っている積りの方々も醜悪ですね。
ということで、理屈ではなく、公式文書をソースとして彼が間違っていることを立証しようというのがこのまとめの目的です。

地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

さて、そろそろ「間違い探しクイズ」のまとめ人が根本的な前提を完全に誤って理解しているということを示すこととしましょう。理屈を書いても理解できないようなので、公式見解を。

2012-11-03 16:47:15
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

UNSCEAR2000のAnnex I http://t.co/LjYdA306 を見てみましょう。

2012-11-03 16:47:29
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ここのIV. LIFETIME RISK FOR TOTAL CANCER A. EXPRESSIONS OF LIFETIME RISK パラグラフ307です。http://t.co/gaaqKnQF

2012-11-03 16:47:46
拡大
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

http://t.co/gaaqKnQF の下線部訳: 「生涯リスクの明確な定義をすると、単純に言えば被曝群の癌死者の比率と対応する(バックグラウンドの等しい)非被曝群の癌死者の比率との差である。これをELRと呼ぶ。」

2012-11-03 16:48:13
拡大
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

つまり、「被曝群の生涯癌死亡率=非被爆群の生涯癌死亡率+ELR」で定義されるということです。 「被曝群の生涯癌死亡率=非被爆群の生涯癌死亡率+REID」でもなければ、その近似値の「被曝群の生涯癌死亡率=非被爆群の生涯癌死亡率+LAR」でもありません。

2012-11-03 16:48:27
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ちなみに、同じドキュメント http://t.co/LjYdA306 のTable35に日本人男性が急性被爆全身被爆1Svを受けたときの被害を評価した結果がまとめられています。 http://t.co/tgrhq6n4

2012-11-03 16:48:52
拡大
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

どのカラムを見ても、「被曝群の生涯癌死亡率=非被爆群の生涯癌死亡率+ELR」になっていますね。つまり、これらは「間違い探しクイズ」のまとめ人が繰り返し主張してきた内容が間違っているということを明確に示していますね。

2012-11-03 16:49:13
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

このドキュメントのどこに、非被曝群が被曝したときのがん死亡率は23.3+9.5%=32.8%になるとか、被曝群がもし被曝しなかったらがん死亡率は30.9-9.5=21.4%になるなどと書いてあるでしょうか?そうしたら被曝の有無以外のバックグラウンドが同じということに矛盾しますね。

2012-11-03 16:49:49
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

これまでに、http://t.co/NFzgMylN でまとめた内容が理解できていれば、このような間違いはしないはずだし、気づいて主張撤回または修正するはずなのですがね。

2012-11-03 16:50:07
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ただ、実はELRもいろいろ問題があります。被曝によって全ての死因のERRが等しく増加したりすれば、ELR=0になってしまうとか(全体の平均寿命は縮む)いう問題があります。

2012-11-03 16:50:20
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

あるいは上記表の様に被曝群では被曝に由来しない癌死は減るので、実際ELRはREIDより大体20%位値が低くなるなど、被曝が原因の癌死者はどれくらいかを見積もるにはELRは不便です。

2012-11-03 16:50:37
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ですので、値が常に非負であるREID(≒LAR)を使って、癌死のリスク増加を見積もろうということになります。但し、REIDやLARを使う場合、被曝群の生涯の癌死亡率がどのような値になるか、については気をつけなければいけないということになるわけです。

2012-11-03 16:50:54
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

そういったことが http://t.co/LjYdA306 のパラグラフ308以降に書かれています。なお、Table35は http://t.co/3pGCvINS にも引用されています。

2012-11-03 16:51:11
1 ・・ 4 次へ