ボードゲームの翻訳

これみながら訳しないと、と思ってまとめました。
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健部伸明 @mata_dor_jp

ボードゲームの話。真面目に翻訳してる人なら実感してるけど、外国語と日本語の単語や文法が1対1対応でない以上、ある程度以上は直訳ってできないので、意訳するしかない。それでも著者に敬意をはらって、可能な限りの直訳でいたいと思う。ただ日本語に移したときに舌足らずになる場合は補訳をする。

2012-11-29 11:58:09
健部伸明 @mata_dor_jp

意訳は、自由すぎる超訳とは違う。意訳とは、相手の意図を汲んで、その意図が日本語読者に伝わるように訳すこと。言ってみれば魂の翻訳。その外国語の文化背景と、扱う題材を調べて自分に取り込んだ上で、あとは日本語能力。作品全体の世界観から、個々の用語を確定しなくてはならない。自戒をこめて。

2012-11-29 12:06:22
健部伸明 @mata_dor_jp

文芸翻訳と違い、ルールブックの翻訳には別の要素もある。ルール記述にはかなりの専門的技量を有するが、その技術を習得している人物は世界でも数少ない。そうなると、訳者がルールブックの再構成をする必要があり、これはもう編集者の領域。

2012-11-29 12:12:56
健部伸明 @mata_dor_jp

ぼくが感服するルール書きのプロは、アメリカ人だとWilliam Nieblingと、CheapassのJames Ernest。ドイツ人だと2FのHenning Krepke、SchmidtのThorsten Gimmler、あとDr. Knizia。必ずしもゲーム作家ではない。

2012-11-29 12:22:59
健部伸明 @mata_dor_jp

話を戻すと、ぼくが可能な限りの直訳にこだわるのは、ルール訳者はつい編者になりすぎ不必要な改竄をしてしまうから。訳者も編者も“従”であり、“主”たるゲーム自身と原文と筆者に対する敬意を忘れてはいけない。ゲーム自体を輝かせるのに腐心すべきであって、自己主張がそれに優っていてはならない

2012-11-29 12:40:51
健部伸明 @mata_dor_jp

文芸翻訳と違う点もう1つ。例えばカードの訳なら、1.タイトル、2.ルール的効果、3.添付イラスト、の3要素が、既に元ゲームでずれている場合があります。この場合タイトルを直訳しては、日本の読者に「ん?」と思わせたり、誤解を誘発したりします。ここは上記3要素を統合できる意訳が必要です

2012-11-29 13:08:10
健部伸明 @mata_dor_jp

ルールを意訳してはいけない例。4人ゲームで「4番目のプレイヤーに」という効果を、わかりやすいように「最後のプレイヤーに」と意訳すると、拡張セットで5人プレイできるようになって、撃沈。

2012-11-30 12:30:31
健部伸明 @mata_dor_jp

ゲームルール編集してはいけない例。元版で順不同のリストを、アルファベット順(もしくは和訳の五十音順)で並べ替えたところ、拡張セットで「リストの2番目の能力を」という記述が……吐血。

2012-11-30 17:34:29