
司法試験受験生のガチ自民党改憲案検討 ①改憲案は個人主義否定→天賦人権否定か?
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hunahunahunahun
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自民党議員とかQ&Aとか歴史と伝統につき肩慣らし

天賦人権論について、片山議員が「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めようというのが基本的考え」と発言しとんでもないことになった> http://t.co/ORezkehT
2012-12-12 14:02:03
さらに、http://t.co/dSSWaSp9にある自民党公式改憲案Q&Aは「権利は共同体の歴史伝統文化の中で徐々に生成されてきた」「人権規定も我が国の歴史伝統文化を踏まえ~西欧の天賦人権説に基づいて規定されている~規定は改める」としている。
2012-12-12 14:05:59
これについて一応コメント。「人権が共同体の歴史伝統文化の中で徐々に生成」などと言えるのは、世界広しといえどイギリスだけだろう。イギリスにおける人権保障は、1215年のマグナカルタに始まり、権利請願・権利章典と発展していき、今に至る。3つともイギリスの憲法扱いなんだから恐ろしい
2012-12-12 21:40:19
もっとも、イギリスで歴史的に生成された権利は【学説芦部】「イギリス人が歴史的にもっていた権利・自由であって『人権』というよりは国民権」【第5版p76】であり、これがフランスやアメリカで「人権」となるにはご存知社会契約説が出てこないといけないわけである。
2012-12-12 14:18:24
余談。イギリスは主権者が国民ではなく議会だとされてたり、今は確か変わったと思うが、非民選貴族院があったり、違憲立法審査権が議会自体にあったりという近代現代憲法理論泣かせ。そんなんでうまくいくのはひとえに長大な伝統ある議会の権威と法の支配概念のおかげ。くわしくはめんどい
2012-12-12 14:20:26
閑話休題。てなわけで、歴史と伝統に基づく人権なんて日本では観念できない。いや、実は強引に観念できる。「敗戦」という歴史に基づいて。ポツダム宣言受諾により、天皇主権から国民主権となる(8月革命という)とともに、人権も天皇から与えられるものではなく、天賦のものとなったというふうに。
2012-12-12 21:44:44
もしくは、日本国憲法下でのこの60年ぐらいも立派な「歴史と文化と伝統」なわけで、それをさしているといえるかもしれないけどさ。環境権・犯罪被害者の権利とか各種新しい人権をとりこんでるのはそういうことか?皮肉です
2012-12-12 14:24:26憲法・法律解釈は起草委員・政党や政府解釈に引きずられないように

と、自民党改憲案Q&Aをからかってきた。もうどう読めばいいのかよくわからんので、分析も混乱する。しかし、これらはすべて徒労なのだ。先ほど述べたとおり、片山が、Q&Aが、あげく自民党改憲審議会が何を言おうが、それはさほど重要ではない。以下、長谷部教授の教科書引用
2012-12-12 14:26:59
【学説長谷部】ある法律の成立の経緯、あるいは起草や審議にあたった人々の考えは、その法律の解釈を決定するわけではない。法としての効力を有するのは、あくまで条文に定式化された限りでの立法者の意思である【第5版p56】
2012-12-12 14:29:39
【学説長谷部】それ以外の起草者や立法者の考えは、(略)憲法思想史や比較法上の素材と同様、解釈の参考資料となるに過ぎない。()いかなる解釈が9条を憲法全体の構造と理念に整合的に位置づける最善の解釈といえるかを議論すべき(略)【第5版p56】
2012-12-12 14:32:23
えー、おわかりいただけたであろうか。「条文に定式化された限りでの立法者意思」とはなんぞや?それが「憲法全体の構造と理念に整合的に位置づける最善の解釈」である。たぶん、その規定がその法にある理由とか、法・規定の目的から導かれる解釈ってことかな。
2012-12-12 14:35:43
要は三権分立。法を作るのは立法機関たる国会(憲法なら+国民)、法を執行するのは行政機関たる内閣というか官僚、そして法の解釈をするのは司法機関たる裁判所(+法律学者)というふうに独立している。特に司法権はその独立が大事。
2012-12-12 18:41:56
一議員が何を言おうと、それは法解釈には原則影響しない。1議員の意見が審議会や政党の意見をすべて代表するわけではなく、また、立法を行った審議会や政党の見解解釈が裁判所や学者を拘束するものではまるでない。2重の意味で、一議員の発言と改憲案の解釈を結びつけるのは間違い。
2012-12-12 18:43:59
【2012年12月23日訂正】危ない危ない。これはミスリーディング。起草委員や政府官僚解釈「だけ」で法の解釈をしては「いけない」というのが正しい。特に憲法に非常に顕著だが、条文の解釈の際には、条文には書いていない人権の性質や比較法的検討、改正前法との比較なんかが普通に用いられる。
2012-12-23 17:18:41
【2012年12月23日訂正】Q&Aや議員の発言を決定的根拠として、改憲案の解釈をする言説への批判という名目に引きずられて、こちらも条文文言だけだ!と反対側に偏ってしまっていた。ここに訂正してお詫びする
2012-12-23 17:20:16天賦人権とか自然権とか何だよおい

さて、早速条文を見よう…と、その前に。天賦人権ってなんぞや?その定義を示す。天賦人権とは、国家が無くとも、憲法がなくとも、人は生まれながらにして権利を有しているという思想である。天賦の才=生まれつきの才能、と同じようなものとどこかに説明があったがまぁそんなかんじ
2012-12-12 22:00:32
なお、この、憲法がなくとも国家が無くとも、権利があるのだ!というそのときに、その権利を自然権と呼ぶ。で、いや、国家や憲法がないと権利があるとは言えないでしょう?というのが法実証主義。念のためいうけど、「義務がないと権利じゃない」という思想じゃないですからね?法実証主義は。関係ない
2012-12-12 22:34:18なんで「生まれながら」「何もせずに」権利があるわけ?

問題は、天賦人権の思想的根拠である。自民党からレキシガーデントウガーとか聞こえるが無視しましょう。あれはイギリス限定です。以下、アメリカ・フランス・現行憲法・改憲案とみていきましょう。
2012-12-12 22:06:30