フー・キルド・ニンジャスレイヤー #4

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガコーン!新たなバッター標的ボードが出現!その隣には審判標的ボードが出現!審判に当ててはいけない。「イヤーッ!」男は再びボールでは無いなにかを投擲!「……エッ!」シビメは目を見開き、息を呑んだ。バッター標的ボードの肩のあたりにかろうじて突き刺さったそれは……スリケン? 25

2012-12-13 18:18:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガコーン!バッター標的ボードが二つ同時に出現!「イヤーッ!イヤーッ!」男は二枚のスリケンを投擲!一枚は外れたが、一枚は一方の腹部に突き刺さった。「……」男は目を細めた。シビメは震えながらそのさまを凝視する。 26

2012-12-13 18:24:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガコーン!更なる標的ボード!「イヤーッ!」鎖骨のあたりに命中!ガコーン!「イヤーッ!」胸のあたりに命中!ガコーン!「イヤーッ!」残念!外れだ!ガコーン!「イヤーッ!」肩口に命中!ガコーン!「イヤーッ!」心臓部を……貫通!「アイエエエ?」シビメは絶叫を手でこらえ、失禁を抑えた。27

2012-12-13 18:30:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スゥーッ……ハァーッ」男は奇妙な深呼吸をした。シビメの目線は男に釘付けだ。恐ろしい。恐ろしいが目が離せない。ガコーン!ガコーン!ガコーン!三列に並んだバッター標的ボードが出現した!「……イヤーッ!」男はスリケンを投擲! 28

2012-12-13 18:32:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スリケンは三つの標的ボードを一撃で貫通!男はそのさまを睨み据え、小さく頷き、手を握り、開いた……何かを確かめるように。「アイ……エエエ……」シビメはしめやかに失禁した。 29

2012-12-13 18:33:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エビ味レーションのゴミをまとめると、エーリアスは溜息を一つ。立ち上がった。朽ちかかった押入れの中からセンベイめいて硬いフートンを取り出し、タタミの上に敷いた。「寝られるうちに寝ておきなよ。ウミノ=サン」「ニンジャ……恐ろしい」「まあな」ウミノは促され、自分のフートンに入った。31

2012-12-13 19:21:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フートン……屋根。安らぎですよ」ウミノは呟いた。エーリアスは自分のフートンの上でアグラした。「ああ。安らぎ。安らぎさ」彼女は憔悴した目をこすり、呟いた。床置きボンボリライトの明かりが彼女の影を長く伸ばす。壁には傾いた額縁がある。額縁の中には「不如帰」のショドー……。 32

2012-12-13 19:24:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ありがたい……ありがたい……」ウミノはぶつぶつと呟き、フートンの中で寝返りを打った。エーリアスは欠伸を噛み殺した。彼女は台座上の汚れたフクスケを一瞥し、俯いた。 33

2012-12-13 19:40:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「シューッ……」全き闇の中、しめやかにエントリーしたニンジャあり。赤黒の装束が闇に溶け、タタミを踏みしめる足さばきには細心の注意が払われている。ボンボリライトは消灯している。ウカツの限り。彼の目は闇に慣れており、タタミ上にやや離れて並ぶ二つのフートンも見分けられる。 34

2012-12-13 19:42:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

骨伝導インカムから、ナブケのオペレーションメッセージが伝わる。「万端な」「……」ニンジャスレイヤーは右手をチョップの形に構え、中腰姿勢で廃ドージョーを進んだ。ひと気の無いシャッター街の廃墟を選んだ事は、こうして踏み込まれればむしろ愚策。目撃者は他に無く、第三者の介入も無し。 35

2012-12-13 19:47:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはフートンの一方に近づいた。人の膨らみ。彼は左手でフートンの端を掴み、右手チョップを振り上げる。「……イヤーッ!」フートンを跳ね飛ばす!BLAM!「グワーッ!?」闇に響き渡るニンジャスレイヤーの叫び!そしてドージョー四方のストロボライト点灯!FLASHH! 36

2012-12-13 19:52:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!?」突然の閃光に取り囲まれ、ニンジャスレイヤーが怯んだ。「ドーモ。また遭ったなあ、オイ」大柄な男がリボルバー二丁をクロスさせて構え、フートンから身を起こした。「ディテクティヴです」「何だとーッ!?」ニンジャスレイヤーは後ずさった。脇腹が銃弾にえぐられている! 37

2012-12-13 19:55:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まだだ!まだ名乗るな」包帯まみれのディテクティヴはリボルバーを構えたまま言った。ニンジャスレイヤーはカラテ警戒しようとした。「イヤーッ!」天井の穴からエーリアスが飛び降り、ニンジャスレイヤーに背中から組みついた。ディテクティヴが叫んだ。「そいつのアンブッシュがあるからな!」38

2012-12-13 19:59:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」エーリアスを振り落とそうとする!だがエーリアスは耐える!「直接かますぜ!」叫び、締めつけを強める!「グワ……グワーッ!」ニンジャスレイヤーは膝をついた。彼のニ000ュー0100ロンが01011011011 (39

2012-12-13 20:02:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

010010111011だ、これは?」セイジは周囲を振り仰いだ。低い天井と床とに「忍」「殺」の文字。破れたフスマの向こうには暗い海が垣間見える。頭が!痛い!「ヌゥーッ!」セイジは振り返った。ショウジ戸の向こうで蠢く影!「イヤーッ!」 40

2012-12-13 20:07:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ショウジ戸を破壊し、隣室へエントリーした。見よ、タタミの上には人の形をとった紅蓮の炎が組み伏せられている。マウントを取っているのはエーリアスだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」怒りに満ちたエーリアスの両目が銀色に燃え、光が掌に伝わると、紅蓮の人型に流れ込む!「グワーッ!?」 41

2012-12-13 20:10:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

堪え難い苦痛に苛まれ、セイジはもはや立つ事ができない!その場に倒れ、のたうつ!「イヤーッ!」「グワーッ!」セイジの視界にエーリアスと紅蓮の人型の格闘がちらつく。(((なんだ?これは?)))彼が困惑するのも無理は無い。これこそがエーリアス・ディクタスのジツ!ユメミル・ジツだ! 42

2012-12-13 20:13:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女は他者のニューロンへ潜行、ローカルコトダマ空間にアクセスし、干渉する事ができるのだ。現在の彼女のジツは何らかの変質を経ているが、直接肉体を接触させることで、相手ニューロンのバックドアをハックする事は依然可能である!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 43

2012-12-13 20:25:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「悪りいが、このままブッ壊すぜ」エーリアスは力を込める!彼女の身体には紅蓮の炎の糸が幾筋も這い登り、根を張ろうとしている。セイジのニンジャソウルが防衛機構を発動させているのだ。炎の根はいつしか部屋中に網目状に張り巡らされ、恐るべき熱を放射していた。「グワーッ!」 44

2012-12-13 20:28:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アアアア!アアアア!」セイジはタタミを転がり、絶叫した。「ニンジャスレイヤー!ニンジャスレイヤー!こいつを焼き滅ぼせ!こいつは存在してはならない!」「ドーモ……ニンジャ……スレイヤー……です……ドーモ……ニンジャ……スレイヤー……です……」「そうだ!殺せ!このニンジャを!」45

2012-12-13 20:31:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

炎が部屋の四方を、天井を、タタミを焼き焦がす。彼らは闇の中に投げ出された。足元に「忍」「殺」の文字。遥か頭上では黄金の立方体がゆっくりと自転する。紅蓮の炎と銀色の飛翔体が闇の中を旋回し、互いに傷つけ合い、絡み合う。セイジは紅蓮の炎に力を流し込む。「殺せ!殺せ!」 46

2012-12-13 20:42:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼はこの超自然のイクサと並行して、あの日の光景を幻視していた。去り際、彼を振り返るニンジャスレイヤー……逆光、荘厳な殺戮存在……彼は涙を流した。あれは俺であるべきなのだ!なぜオリジンが存在する?ダメだ!俺によこせ!その概念を俺によこせ!「殺せ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 47

2012-12-13 20:47:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「忍」「殺」の文字上に、紅蓮存在と銀色存在は同時に叩きつけられた。「俺はニンジャスレイヤーだ!よこせ!概念を!」紅蓮のニンジャソウルがセイジの言葉を繰り返した。「俺に全てをよこせ!よこせ!」「この野郎ーッ!」銀色のニンジャは叫び、エーリアスの姿をとる……BRATATAT! 48

2012-12-13 20:56:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「な、グワーッ!?」エーリアスの身体に突然、細かい穴が穿たれた。そこから銀色の血が流れ出した。彼女の身体は01のノイズに分解され、消滅した。セイジは飛んだ。紅蓮のニンジャソウルが彼を再び迎え入れた。 49

2012-12-13 20:58:18