内藤正典・同志社大学大学院教授によるアルジェリア人質事件の背景解説

単に政府とそれに抗う過激派だけの構図では理解できない事件の背景、なぜテロリストが生まれるか、などについて解説
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masanorinaito @masanorinaito

マグレブのアル・カイダをはじめ、さまざまな名前が取りざたされる「テロ組織」は、アルジェリアでは活動できなかったのである。

2013-01-20 03:46:27
masanorinaito @masanorinaito

イスラム主義というのは、イスラムに従って世直しをして、イスラムに基づく統治をしようとする政治運動である。市民の多数がそれを望むなら、そうなるだけのことである。

2013-01-20 03:48:57
masanorinaito @masanorinaito

何か、とてつもなく邪悪な政治思想であるかのように思われるのは、アメリカやフランスなどの欧米諸国にとって、都合の悪いからにすぎない。国家としての米国や仏にとってだけではない。すでに信仰を捨ててしまった世俗主義者にとっても、神と共に生きるムスリムは、はなはだ目障りな存在なのである。

2013-01-20 03:50:03
masanorinaito @masanorinaito

それはそうだろう。欧米では、「神」など居場所を失っている。人間は、なんでも「理性」に従って行動するのがよいとされる。他方、ムスリム(イスラム教徒)は、決して「神の下した規範」を乗り越えることはできない。むろん、「戒律」を破るムスリムならいくらでもいる。

2013-01-20 03:51:59
masanorinaito @masanorinaito

しかし、そのことを、どうとらえるかは信徒にゆだねられている。そして、彼らは、やはりどこかで、「神の示した正しい道」へと回帰していく。1980年代以降のイスラム復興の潮流というものは、西欧の真似をしてつくった国家の中で生きるイスラム教徒の「生きにくさ」を反映したものだったのである。

2013-01-20 03:53:29
masanorinaito @masanorinaito

「信仰を捨てて欧米の民主主義国家のようになれば可愛がってやろうじゃないか」アメリカもフランスも、実に自分勝手に、ムスリムの諸国家に、そう言い続けてきた。ムスリムの国でも、アメリカ風になったり、フランス風になった人は数多い。だが、やっぱり、それは違うんじゃないか、と思う人が増えた

2013-01-20 03:55:26
masanorinaito @masanorinaito

その帰結を、今、私たちはエジプトやチュニジアでのイスラム政党の伸長のなかに見ている。西欧風の国家をつくることにかけては先端を行ってきたトルコでさえ、いまや、「西欧思想に追いつかなければ進歩にならないんだ」という西欧追随をやめてしまった。

2013-01-20 03:57:43
masanorinaito @masanorinaito

だが、こういう現象は、ムスリム諸国が自分で選択したとは限らない。いいようにアメリカに利用され、いいようにフランスに支配され、いいようにEUにあしらわれたことによって、中東諸国の人々は、少しずつ、ムスリムとしての自覚を新たにしたのである。

2013-01-20 03:59:09
masanorinaito @masanorinaito

いま、勤務先の同志社大学で、資源・エネルギー・インフラ工学と宗教間の共生、人間の安全保障、開発とガバナンス、紛争抑止、平和構築といったグローバル・スタディーズの両方を学ぶ修士+博士の一環プログラムを準備している。

2013-01-20 04:04:01
masanorinaito @masanorinaito

今回の事件をみていて、日本人(留学生も)学生に、自分の専攻だけでなく、サブ・メジャーとして、理系の学生には「今の世界で起きていることを分析・判断するための能力」を、文系の学生には、資源工学やエネルギー工学の基礎を修得してもらうプログラムの充実を図ろうと決めた。

2013-01-20 04:06:22
masanorinaito @masanorinaito

エンジニアとして世界のどこにいても、その国の言語がわからなくても、何が起きそうなのか、リスクをどう判断するのか、を学んでおくことは無駄にはならないと思う。

2013-01-20 04:08:16
masanorinaito @masanorinaito

同志社大学の博士課程プログラムでは、なかなか関西以外の地域からは学生さんが集まらない。むしろ、アフガニスタンやトルコから問い合わせが来る。しかし、東京の学生さんにもぜひ来てほしい。

2013-01-20 04:09:21
masanorinaito @masanorinaito

基幹となる大学院は、グローバル・スタディーズ研究科と理工学研究科。リーディング大学院の名称は、「グローバル・リソース・マネジメント」

2013-01-20 04:10:29
masanorinaito @masanorinaito

西洋中心主義で世界をとらえることに疑問を感じて研究をつづけたい方がおられましたら、ぜひ、出願してください。大学院に入学してからでないと、この博士課程のリーディング・プログラムには参加できません。

2013-01-20 04:12:15
masanorinaito @masanorinaito

この大学院プログラムに採用されますと、修士2年から博士課程の3年間は研究奨励金として月額20万(修士2年生は15万円)を支給します。いまは大学院でなら東大、京大、一橋などに入りやすい時代ですから、同志社の大学院に他大学から来られる方は多くありません。

2013-01-20 04:15:45
masanorinaito @masanorinaito

しかし、紛争の抑止や平和構築と、電力・水・道路などのインフラ工学を両方学ぶという、一見、破天荒な大学院で博士号を取って、世界の今と向き合う若い学徒を迎えたいのです。東大や京大には、できないプログラムです。

2013-01-20 04:17:37
masanorinaito @masanorinaito

パレスチナのガザ地区とアフガニスタンは、重点的にこの大学院プログラムでとりあげていきます。アフリカ諸地域との協力も。

2013-01-20 04:20:45