就業構造基本調査のデータから海老原(2011)の記述を検証する

海老原嗣生『決着版 雇用の常識「本当に見えるウソ」』への疑問 http://togetter.com/li/444945 の論点「(3)大卒男子は加齢により正社員化が進み30代中盤では95%近い正社員率になるか?」をデータにさかのぼって検討してみたものです。 とりあげた本: 海老原嗣生『就職、絶望期 「若者はかわいそう」論の失敗』扶桑社新書、2011年9月1日初版第一刷http://amzn.to/14h45RG 続きを読む
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上西充子 @mu0283

2002年の20代前半の正規率が2007年の20代前半の正規率よりも悪いことはグラフに示す通り事実ですが、海老原(2011)では、より高い年齢層における正社員比率の全体的な低下傾向について、故意にかどうかはわからないものの、言及していません。

2013-01-29 23:06:05
上西充子 @mu0283

2002年の調査と2007年の調査のカーブがほぼ重なるのではなく、2007年の方が20代後半以降の正社員比率に悪化傾向がみられることから、今の20代の大卒男性が30代半ばになったときに正社員比率が95%近くになるとは、十分な根拠をもって推測することはできないと考えます。

2013-01-29 23:09:29
上西充子 @mu0283

以上。計算ミスがあるかもしれませんが・・。togetterに追記します。

2013-01-29 23:10:13

(5)検証のためのデータの提示

上西充子 @mu0283

各自が検証できるようにデータの出所と正社員比率算出に使ったデータを示しておきます。

2013-01-30 08:40:45
上西充子 @mu0283

まず、2007年(平成19年)就業構造基本調査は、こちらの第10表http://t.co/Due8mAWN から、男性の各年齢の卒業者の大卒と大学院卒のデータを利用。「大学+大学院卒」はそれを合成したもの。

2013-01-30 08:41:53
上西充子 @mu0283

2002年(平成14年)就業構造基本調査は、こちらの第10表を利用。http://t.co/Kpp4sXCF 男性の各年齢の卒業者の「大学・大学院」のデータを利用。「大学」と「大学院」に分けた調査はなし。

2013-01-30 08:44:00
上西充子 @mu0283

2002年就業構造基本調査における男性/大学・大学院卒の正社員比率算出に用いたデータ http://t.co/xBmXrRVD

2013-01-30 08:53:01
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上西充子 @mu0283

2007年就業構造基本調査における男性/大学・大学院卒の正社員比率算出に用いたデータ http://t.co/bCAUtHgw

2013-01-30 08:54:11
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上西充子 @mu0283

2007年就業構造基本調査における男性/大卒の正社員比率算出に用いたデータ http://t.co/AyyyyjpP

2013-01-30 08:55:08
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上西充子 @mu0283

質問1を出したときには数値を手入力して入力ミスしたので、これらを表を作成する際にはエクセルデータを寄せ合わせて作成しました。

2013-01-30 08:55:54

(6)大石先生よりAbe(2012)論文のご紹介

Akiko S. Oishi @Kikoao

大卒男子は加齢により正社員化が進むのか?について議論がなされている。http://t.co/EgNGIkPB 問題は加齢の効果とコーホート効果の区別だと思う。

2013-02-03 09:24:32
Akiko S. Oishi @Kikoao

北大・安部由起子先生の論文 "A cohort analysis of male labor supply in Japan" Journal of the Japanese and International Economies 26, pp. 23-43 (2012)

2013-02-03 09:26:03
Akiko S. Oishi @Kikoao

就業構造基本調査の個票で年齢・コーホート・学歴別に男性の正規率の推移を見ている。下記URLに論文要約と鍵となるグラフが。http://t.co/Ts4w6OWw

2013-02-03 09:28:09
Akiko S. Oishi @Kikoao

http://t.co/Ts4w6OWw図をみると大卒男子は加齢とともに正規率が低下するが、若いコーホートになるほど出発点の正規率が低い。

2013-02-03 09:29:36
Akiko S. Oishi @Kikoao

http://t.co/Ts4w6OWw 「1990年代後半から2000年代初頭に学校を卒業した男性の正規雇用率は大幅に低下している。ただしこれは主として無配偶男性について観察される。」Abe(2012)

2013-02-03 09:34:18
上西充子 @mu0283

@Kikoao ありがとうございます。リンク先、まだ確認できていませんが、「正規率」が低下ではなく「非正規率」が低下、でしょうか。

2013-02-03 09:39:34
Akiko S. Oishi @Kikoao

同じく安部先生が就調個票で女性労働を分析された論文。雇用均等法が施行されても女性の正規雇用率は上昇しなかった。http://t.co/3Y85aAsc

2013-02-03 09:39:59
Akiko S. Oishi @Kikoao

@mu0283 いいえ。リンク先のFigure1をみると大卒でも加齢とともに正規雇用率は緩やかながらも低下しています。

2013-02-03 09:41:46
Akiko S. Oishi @Kikoao

@mu0283 観察期間が短くなってしまいますが、1972-77年生まれだけは20代から30代にかけて正規率が上昇していますね。それ以前の世代では緩やかな低下傾向です。

2013-02-03 09:44:13
Akiko S. Oishi @Kikoao

いくつか前のツイートで「1972-77年生まれ」とあるのは「1973-77年生まれ」の誤りでした。訂正します。それから、安部先生のお名前は「由起子」です。

2013-02-04 01:13:02
Akiko S. Oishi @Kikoao

ちなみにAbe論文には複数年次の就業構造基本統計調査の公表集計表データをつなぎあわせて分析している部分もある。調査が5年置きなので、5歳きざみコホートがつくれる。個票データがなければ何もわからない、ということではない。

2013-02-03 14:19:37
Akiko S. Oishi @Kikoao

公表統計で分かる範囲のことはきっちり把握し、さらに個票で切り込んでいく・・・ということが大事だと思う。

2013-02-03 14:38:15

(7)大石先生ご紹介のAbe(2012)論文の確認と考察