古武道と武道における伝統

古武道と武道における伝統についての個人的メモです。
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はいおくたん @highok

「精神」という言葉自体は、『万葉集』にあった。

2013-02-03 13:04:30
はいおくたん @highok

「伝統」という言葉が現在のような「古くからのしきたり」という意味で使用されるようになったのは、大正に入ってからのようだ。「伝統」という言葉自体は明治期にもあったけど、おおむね「血筋を伝える」とか「思想系統を伝える」というほどの意味。

2013-02-03 14:02:20
はいおくたん @highok

そう思います。明治中期の仏教系の本での用例を見る限りでは、ほとんど同じように見えます。 @sakemubi あるいみ、「法統」に近いつかいかたでしょうか?

2013-02-03 14:16:34
はいおくたん @highok

「伝統」という言葉について。辻成史『伝統-その創出と転生』(新曜社2003)という本には、「とりわけ「伝統」という言葉が今日のように、日本の「国の伝統」。あるいは「民族の伝統」という意味で使われるようになったのは、実に一九三〇年代前半になってから」と書いてあった。p.iii

2013-02-04 06:05:04
はいおくたん @highok

@highok 高島は「「伝統文化」が誕生するには、背景に明治の演劇改良運動とその失敗がある。日本社会の近代化=西洋化の過程が、改良(近代化・西洋化)できない部分としての「伝統文化」を生み出す。」(66頁)と言っている。つまり、背景色としての西洋がないと、「伝統」が見えない。

2013-02-04 06:09:05
みんみんぜみ @inuchochin

『西洋化(略)が、改良できない部分としての「伝統文化」を生み出す」(66頁)と言っている。つまり、背景色としての西洋がないと、「伝統」が見えない。』 武術に例えれば現代武道という背景があるから古流(伝統武術)があるわけですな。明治は古武道と現代武道なんて認識はほとんどなかったハズ

2013-02-04 06:52:59
NT @dainihonhistory

「対抗文化としての古武道」や博論では当にこれがテーマでした。語られる文化としては古武道の方が新しいという転倒。“@inuchochin: 武術に例えれば現代武道という背景があるから古流(伝統武術)があるわけですな。明治は古武道と現代武道なんて認識はほとんどなかったハズ”

2013-02-04 08:28:56
我乱堂 @SagamiNoriaki

…つまり、「古流」という言葉は江戸の昔からあったけども、今現在で使われている意味での「古流」という言葉になったのは明治以降、という理解でいいのかしら…↓RT

2013-02-04 08:45:24
NT @dainihonhistory

ただ、西洋化出来なかった部分が…という点で云えば、柔術も剣術も江戸時代から試合やってるわけで、その時代から新流や古流なんて区分けもされていた。ただ、1930年代には新古の差異が西洋化によって起きた事という言説で説明されるようになる。今日の武道古武道の歴史認識が創出される。

2013-02-04 08:40:39
NT @dainihonhistory

さらに、西洋化=スポーツ化の言説は明治神宮大会頃から発生し、昭和に入る頃には武道界でも問題化されるようになった。その状況が松本学をして古武道振興会結成に向かわせることになる。古武道という表現は1920年代には既にみられたが、そこに武道への対抗的な意味を含意したのが松本学。

2013-02-04 08:47:54
NT @dainihonhistory

武道は、古武道概念の創出によって伝統の側面を大きく削られ、近代という位置に押し上げられていった。もちろん、実態としてはそんな綺麗に伝統を捨てて近代へという話しにはならない。それは武道の人の主体的な決断ではなかったから。

2013-02-04 08:53:29
NT @dainihonhistory

ちなみに、スポーツ化も、単なる競技化という意味ではなしに、世の中の人に開かれた種目になるというデモクラシーの含意があった。後は試合の勝敗にこだわるようになった、とか制度よりは選手の態度を指していた、がそれとて西洋化を目指した結果では無かった。

2013-02-04 08:58:56
NT @dainihonhistory

@SagamiNoriaki というよりは昭和ですね。明治を時期区分とする西洋化・近代化史観が成立したのが1930年代。明治維新とかを時間的に相対化できるようになった時代といいますか。マルクス主義者が明治維新を歴史的に相対化し始めるのも1930年代とかですし。

2013-02-04 09:06:15
我乱堂 @SagamiNoriaki

なるほど RT @dainihonhistory:というよりは昭和ですね。明治を時期区分とする西洋化・近代化史観が成立したのが1930年代。明治維新とかを時間的に相対化できるようになった時代といいますか。マルクス主義者が明治維新を歴史的に相対化し始めるのも1930年代とかですし。

2013-02-04 09:09:21
我乱堂 @SagamiNoriaki

えーと、「武道の誕生」で、講道館がスポーツと武道の間をいったりきたりしていることが書かれていたが…あれ何処やった…

2013-02-04 09:10:51
NT @dainihonhistory

新流や古流といった表現は明治の史料には、あんまりみないですね。明治には武徳会が古武術という概念を用いるようになりますが、それは近代軍事的な実用性に適わない弓術などの種目を指す言葉になっていきます。その意味での古流はありますが武道にならなかったものという含意はみられなかったです。

2013-02-04 09:17:10
NT @dainihonhistory

『国民文化が生れる時』http://t.co/M6uSrHuR これも博論後に知った文献ですが、結果的に理論的モチーフはこれに準じています。語られる文化、生きられる文化の対比もここにでてきます。

2013-02-04 11:25:16
リンク t.co 国民文化が生れる時―アジア・太平洋の現代とその伝統 (社会科学の冒険):Amazon.co.jp:本 Amazon.co.jp:国民文化が生れる時―アジア・太平洋の現代とその伝統 (社会科学の冒険)
みんみんぜみ @inuchochin

@dainihonhistory 一連のツイート拝読しました。明治の古流という言葉の使い方、面白いですね。

2013-02-04 18:27:25
みんみんぜみ @inuchochin

この視点は目から鱗です。 RT @dainihonhistory: 武道は、古武道概念の創出によって伝統の側面を大きく削られ、近代という位置に押し上げられていった。もちろん、実態としてはそんな綺麗に伝統を捨てて近代へという話しにはならな(略

2013-02-04 18:28:48
武心インデックス @g369

伝統というといつからが伝統なのか?というのも面白い。基本的には「たくさんある中で比較的古いもの」というのが、その分野における伝統であろう。後は国家的な歴史に基づくもの。例えば日本伝統芸能とか言うと、国家的歴史観として見るので通常は明治維新以前を指す。

2013-02-04 17:07:50
武心インデックス @g369

伝統とは相対性のものだから難しい。柔道は創始から131年になる。十分長い歴史を誇り、伝統と呼んでも差し支えないだろうが、しかし400年続く古流から見ると、明治以降の新興武術という区分になる。

2013-02-04 17:17:32
武心インデックス @g369

伝統とは相対的なものだからこそ、このような感覚の違いがあらわれて実に面白い。そして我々が将来の伝統に繋がる存在である事が認識出来ないのが当たり前ながら面白い。

2013-02-04 17:18:53