リーダーシップ論と開発独裁とその落とし穴

@keieigakutanのTweetに重箱の隅をつついたらいろいろ話が膨らんだのでメモ。
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経営学たん @keieigakutan

【①レビンのリーダーシップ類型論】 まずは手始めに、簡単なものから説明していきましょう。 皆さん、リーダーといえば、どのような人間もしくはキャラクターを思い浮かべるでしょうか?1人や2人あげてみてください。そして、こう考えてみてください。一言にリーダーと言っても多種多様であると

2013-03-09 15:29:27
経営学たん @keieigakutan

じゃあ、その区分けはどうすれば良い? レビンは、それを「どんなリーダーが最も生産性が高いのか」という前提の元で、三つのリーダーシップに分けられると考えました。『独裁型リーダーシップ』『民主型リーダーシップ』『放任型リーダーシップ』の三つです。

2013-03-09 15:40:27
経営学たん @keieigakutan

『独裁型リーダーシップ』・・・このリーダーシップは、名の通りワンマン色が非常に高いものです。さて今日は「独裁=悪」のようなバイアスが目立ちますが、どんな時にも「独裁やめろ独裁やめろ」という主張では、緊急時の、即時性の求められる事態に陥った時、身動きが取れないのがしばしばです。

2013-03-09 15:53:21
経営学たん @keieigakutan

『独裁型』はどうしても必要になる時があります。それは、リーダーが全ての決定を行うために、緊急時への対応がスムーズになるからです。1919年当時、最も民主的な憲法である、ドイツ「ヴァイマル憲法」にも、非常時には大統領がある種の独裁を行使できる緊急命令権が存在するのは、そのためです。

2013-03-09 16:04:40
経営学たん @keieigakutan

『独裁型』のメリットは、「短期的には、組織内の生産性を最も高めること」です。少々マクロになりますが、ヒットラーの「四ヶ年計画」はその典型でしょう。彼は、世界恐慌の影響で生まれてしまったドイツの失業者最大時600万人を10年後には43万人にまで減少させることに成功しました。

2013-03-09 16:15:42
政治学たん @seizigakutan

経営学たんが挙げたヒトラー政権の公共事業は典型的なケインズ主義的政策で、日本の高橋財政やアメリカのルーズベルト政権によるニューディール政策、ソ連の五カ年計画など世界恐慌期の各国で同様の積極財政政策が採用されました。

2013-03-09 16:23:54
経営学たん @keieigakutan

ですが、『独裁型』を成り立たせるには、条件としてリーダーに対して高いスキルが求められることが必要です。そして何より『独裁型』は長期的に行っていると、組織内で分裂が起こり始めます。ある程度落ち着いてくると、必ず組織の人間には物事を考える余裕が生まれ、運営も簡単と思えてしまうのです

2013-03-09 16:24:51
経営学たん @keieigakutan

『独裁型』は長期的には向きません。じゃあ長期に強いリーダーシップは? ...それが『民主型リーダーシップ』です。

2013-03-09 16:28:49
政治学たん @seizigakutan

経営学たんがいう独裁型リーダーシップの典型はウェーバーの権力の分類でいうカリスマ型支配でしょうね。ヒトラーやスターリン、毛沢東などの歴史上有名な独裁者はこのタイプが多いです。 カリスマで無理やり束ねている分、後継のとき大いに苦労することも多いです。

2013-03-09 16:38:28
現場猫教授 @Dr_crowfake

えーっと、空手形切りまくりの4カ年計画を独裁型リーダーシップによる経営改善って云われても、もにょるしかないよね。「漢江の奇跡」辺りで収まりませんか?

2013-03-09 16:40:09
現場猫教授 @Dr_crowfake

開発独裁で成功してる国を挙げずにわざわざヒトラー、スターリン、毛沢東を独裁型リーダーシップの典型として上げるのはちょっとね……。全員失敗してるじゃん!

2013-03-09 16:43:25
政治学たん @seizigakutan

@ninomae_fumi 有名どころ、として挙げたつもりだったんですけどね・・・ 笑 ヒトラーは戦争を始めるまでは、スターリンや毛沢東も国力増強・国際的地位の向上という点ではやはり成功していますしね。

2013-03-09 16:45:11
政治学たん @seizigakutan

@ninomae_fumi 実際核武装のあたりで国民生活に限界が生じて大量の餓死者が出ましたしね。 国民の生命を紙切れだと思って守る対象ではないとまで考えればある意味有効なんでしょうけど、現代民主主義国にいて経済成長→生活向上が前提の我々には想像もできない世界です。

2013-03-09 16:59:30
現場猫教授 @Dr_crowfake

@seizigakutan 国民をサクリファイしない国力増強は人間の安全保障、すなわち人間が与えられる諸権利の保障より始まるとアマルティア・センは云ってましたね。あと、統治能力と海外貿易と援助のファクターは大きいです。

2013-03-09 17:03:06
お菓子っ子 @sweets_street

@ninomae_fumi 何を持って成功とするかによるのではないでしょうか。4カ年計画は「もともと必要性は指摘されていたのに、政権基盤が弱くて歴代政権がなかなか実現できなかった大規模景気対策を、ナチの政権参加で基盤が強化されてようやく実行できた」って面がありますし

2013-03-09 17:04:15
政治学たん @seizigakutan

@ninomae_fumi 人権保障がどれだけ有効にされているか、という点ですよね。 開発独裁の成功国である韓国や台湾などを含めてもまだまだ国民をサクリファイする国のほうが多い現状は、今後も考えなくてはならないですね。

2013-03-09 17:05:52
現場猫教授 @Dr_crowfake

@sweets_street 4カ年計画は実績はそれなりに上がってるんですよ。ただ、自転車操業だったんで、外貨不足のためにオーストリアやチェコを併合して外貨準備を獲得して一息ついたりとかいう有様で、どこかでリセッション覚悟で財政規律を取り戻さないと世界大戦に行くしかないという。

2013-03-09 17:08:02
現場猫教授 @Dr_crowfake

@seizigakutan 開発独裁の成功国である韓国でもベトナム参戦と引き換えに援助をもらってたりするので、これはこれでサクリファイですよね。台湾は回り道をした感があります。しかし台湾は国民を弾圧しつつもサクリファイとまでは行かなかったので、まずまず良い出来ではないかと。

2013-03-09 17:09:43
現場猫教授 @Dr_crowfake

漢江の奇跡は、朴政権のそれなりに高い統治能力と韓国人のそれなりに高い基礎能力と「韓国に頑張ってもらわなきゃ朝鮮半島が第2のベトナムになる」って危惧感を覚えた周囲の援助と、国際市場における韓国の比較優位のマリアージュで成り立ってます。どれかひとつ抜けるとダメだったかも。

2013-03-09 17:12:39
現場猫教授 @Dr_crowfake

台湾は蒋経国政権時代の「十大建設」という巨大な公共投資と、やはりそれなりに高い統治能力、援助、国際市場における比較優位が成長のバネになりました。

2013-03-09 17:14:04
政治学たん @seizigakutan

@ninomae_fumi 台湾は共産中国を敵として対峙しながらも、北朝鮮と陸続きの韓国と違って防衛しやすかったのも大きいでしょうね。 もうひとつ、国民党が自主的に民主化を進めたのも大きいでしょうし。

2013-03-09 17:15:21
現場猫教授 @Dr_crowfake

それなりに高い統治能力とそれなりに教育され人権を保証されている国民がいる国では、国民をサクリファイしなくても国際貿易市場での比較優位を生かして離陸フェーズに移行することは可能です。問題はそれだけの好条件がなかなか揃わないことで……。

2013-03-09 17:16:15
現場猫教授 @Dr_crowfake

@seizigakutan 台湾民主化運動の歴史は根強いですからね。内省人と外省人の対立は未だ続いていますが、それでもなんとか収まるところに収まっているのは、統治能力の高さ、それを支える国民の基礎能力、経済の成功、そういうものが複雑に絡み合っているでしょうね。

2013-03-09 17:18:48
お菓子っ子 @sweets_street

@ninomae_fumi 財政規律の立場からライヒスバンクは大規模公共投資に抵抗してましたが。これ以上失業を放置したら何が起きるかわからないんで、最初の4カ年計画はやむなしだと思うのです。ゲーリングの4か年計画を通さずにソフトランディングを指向できたらまた違ったかもと思います

2013-03-09 17:18:49
政治学たん @seizigakutan

@ninomae_fumi 韓国と比較すると、トップ(蒋介石/李承晩)が実際の行政経験者であるか否かあたりでしょうか。 それに両国は日本領時代のインフラや教育をうまく活用することができ、民族的統一性もほかの植民地よりは高かったのも大きかったでしょうね。

2013-03-09 17:22:27