小説問題の歩かせ方(2)

板野さんのことどう呼んでいいのかわからず…。
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きまぐれ(不燃) @S_uekai

考えても仕方のないことだし、考える価値もなかなか思いつかないことだけど、気になるし少しだけ面白そうだから考え出してしまったことがあるので、書きながら考えることにする。

2013-04-30 04:39:49
きまぐれ(不燃) @S_uekai

板野メンバーがキンタロー。さんのパフォーマンスの際に不機嫌な顔をしていたという件。そして「ネタだとわからないレベルの低さ」を揶揄した岡村さんのこと。

2013-04-30 04:41:44
きまぐれ(不燃) @S_uekai

まず「人間は、自分の大切なものを貶められたときには、いくらそれがネタであるとわかっていても傷ついてしまう」と僕は思う。だからキンタロー。さんの芸が大好きでたまらない人にとっては、いくら板野メンバーがネタのつもりであったとしても憤慨するのは自然であろう。

2013-04-30 04:45:49
きまぐれ(不燃) @S_uekai

しかし、板野メンバーがけしからんと思った人の中に、どれだけキンタロー。さんのファンがいるのだろう。そりゃ一定数はいるが、決してその枠には入らない人もいたはず。

2013-04-30 04:47:53
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ここでやはり、先ほどのツール「人間は…」を使うならば、例えば「テレビでは笑顔の人たちを観たい」という価値を優先する人々にとっては、仮に板野メンバーがネタのつもりであっても以下略、が成立するだろう。実際、けっこう多くの人がこれに当てはまるのでは無いかと思う。

2013-04-30 04:51:08
きまぐれ(不燃) @S_uekai

一方で、板野メンバーのアレがネタであるとわからない人もいただろう。岡村さんはそう言う人たちをさして「レベルが低い」と表現した。実はそんなにこの層が厚いとも思えないんだが、ただここにもやはり一定数の人はいるのだから、考察しなければならない。

2013-04-30 04:56:15
きまぐれ(不燃) @S_uekai

まず「わからない方が悪い」というのは意味がわからない。板野メンバーは不快感を出していることを演じたわけだけど、しかしそれが作りものであるという保証(全編フィクションであるという前提)もないのだから、それが演じであるかどうかは観た側の解釈の問題。

2013-04-30 05:00:01
きまぐれ(不燃) @S_uekai

今回の場合、解釈はとりあえず「演じ」か「ガチ」かの二択しか無い。今回は「演じ」が正解で「ガチ」は不正解の選択肢、ということに一応なっているが、ではその正否を保証しているのは何か。

2013-04-30 05:03:06
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ここで、本人たちがどういう意図であったかというのは解釈の正否に影響を与えない。何度か触れたように、解釈は常に制作者不在の元で行われる。というより正確には、当事者の意図がわからないからこそ解釈をするのであって、意図がわかっているなら最初から解釈などしないのである。

2013-04-30 05:05:46
きまぐれ(不燃) @S_uekai

「※わざとやっています」などのテロップを入れておけば、それでも解釈の余地が0になったわけではないが大幅に減少する。しかし演じであることがわかってる視聴者には、かえって笑いを損ねる演出となってしまう。

2013-04-30 05:08:46
きまぐれ(不燃) @S_uekai

やはりこれも経験の問題なのかもしれない。そもそも一定の「わかってる」視聴者はなぜネタだとわかったかと言えば、以前にそういう笑いの取り方を観たことがあるか、誰かから教わったからに過ぎない。決して裸の感性で読み取ったわけではない。

2013-04-30 05:11:51
きまぐれ(不燃) @S_uekai

解釈は「うまく行く方」へ向かう。なぜ「ガチ」ではなく「演じ」が正解かと言えば、そう解釈した方がいいからだ。ガチと捉えるよりバラエティとして笑いやすくなるとか、そのほうが板野メンバーの人格を貶めないで済むとか。

2013-04-30 05:18:02
きまぐれ(不燃) @S_uekai

解釈の多様性とは結局、何がその人にとっての「うまく行く」なのかという根元の多様性に由来する。ある言動一つでも、その人を貶めることが「うまく行く」という人ならば悪意的に解釈するだろうし、逆もまたしかり。

2013-04-30 05:21:33
きまぐれ(不燃) @S_uekai

今回のことで言えば、「気持ち良く笑う」ことに軸足をおいて解釈するならば「演じ」の解釈がより正解に近い。しかし軸は同じでも、そもそも「演じ」の解釈が手元にある人とない人がいる。それは以前にそういう解釈があることをどこかで経験しているかいないかの差である。

2013-04-30 05:25:44
きまぐれ(不燃) @S_uekai

では国語の小説問題に、そうした解釈の多様性は挟み得るのかと言えば、少なくとも国語問題のルールを知っている人にとってはあまり考えられないことだ。なぜなら回答者は観察者であり、したがって「なるべく中立的に解釈したい」というのが「うまく行く」方向だから。

2013-04-30 05:29:08
きまぐれ(不燃) @S_uekai

「彼女は黙っていた」という表現から心情を読み取る際、普通、怒ってるのかな?とか悲しいのかな?とかお腹すいてるのかな?とか、解釈は様々に現出する。そしてそのどれもが正解になり得る。だから小説問題は破綻している。というのが解釈の多様性からの批判であった。

2013-04-30 05:33:26
きまぐれ(不燃) @S_uekai

僕自身、教育上は生徒の解釈の多様性を育む方向が良いと思う。「なんで黙ってるんだろ…」と悩める方が良いと思うから。そのためには、できるだけ多くの「心情パターン」に出会う必要がある。それは日々の生活だけでなく、文字や映像などのメディアを使うことで少しずつ溜めていくのが望ましい。

2013-04-30 05:38:26
きまぐれ(不燃) @S_uekai

「なんで黙ってるんだろう」が入口とすれば、「だから黙ってるんだね」は出口だ。解釈の多様性は経験と共に充実していくが、どの解釈を採用するかという出口でも多様性は開花している。つまりこう解釈すれば「うまく行く」という価値観が多様なので、各選択肢にそれぞれ活躍の機会が与えられるのだ。

2013-04-30 05:43:19
きまぐれ(不燃) @S_uekai

解釈には、言わば二重の多様性が存在するのである。ここで小説問題に戻ると、確かにある表現から読み取れる心情は多様だけど、どの解釈を採用するかという多様性は枯れているはずだ。なぜなら回答者は観察者であり、支援者でも敵対者でもないからである。

2013-04-30 05:47:06
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ある参考書には、「彼女は黙っていた」という表現からみんなは好き勝手にいろんな解釈をしてしまう、と書いてあった。しかしこれは誤認である。そうではなく、いろんな解釈が考えられるが決め手がないから結局解釈しない(できない)、が正確な認識である。

2013-04-30 05:50:02
きまぐれ(不燃) @S_uekai

小説問題が問題である以上、答えが用意されている。この答えは出題者の主観(オリジナルの「うまく行く」)ではなく客観的に導かれる。それは心情を示すサインをできるだけ多く集めて筋の通った解釈をすることを回答者に要求する。

2013-04-30 05:53:43
きまぐれ(不燃) @S_uekai

心情読み取り問題で必要なのは、まずできるだけ心情パターンを充実させて解釈の幅を広く持つことと、それを文の証拠と結びつけて一つに絞るための方法を知ることである。もちろん前者については、特に高校入試レベルで難解な心情パターンを駆使する問題は出題されないのだが。

2013-04-30 05:58:17
きまぐれ(不燃) @S_uekai

しかし、解釈はどこまでいっても解釈に過ぎない。いざ当人の意思を聞いてみると、それまで丁寧に構築した解釈が脆くも崩れ去ることなどザラにある。人の気持ちを100%把握することはできない。

2013-04-30 06:01:17
きまぐれ(不燃) @S_uekai

人の気持ちを理解する、ということは、ほとんど全ての人生において必要である。人は他人の心情に負けず劣らず、自分の心情さえよくわからない。しかし人には「わかってほしい」という根源的な欲求がある。そしてその欲求を満たすために用いるのが、広義の意味での言語である。

2013-04-30 06:06:32
きまぐれ(不燃) @S_uekai

国語の使命の一つは、この人生に不可欠な「言語の解釈」について、正しい知識と豊富な経験を与えることではないかと思う。正しい知識とは、語彙の充実と、解釈の精度を極限まで高めるための客観的な解釈尺度の確立を意味する。しかしそこまでしてもなお、人の気持ちは難しいのである。

2013-04-30 06:11:04