東海道中膝栗毛 三編 上

十返舎一九が1802年に発表した「東海道中膝栗毛」。ここでは「三編 上」を現代語に超意訳しご紹介いたします。意訳ではありますが、ストーリーはかなり原作を忠実に再現しました。 他の「道中膝栗毛」シリーズはこちらからお入りください→ http://togetter.com/id/KumanoBonta 【文中で使用されている表現は、時代背景や作者の意図を尊重しています。ご了承ください】
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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多「娘のほうはいちばんこっち側で寝ているようだぞ。あとで行ってこよう。弥次、お前は寝たふりしてな。ちょっとは気を利かせろよ」 弥次「やだ、俺がいく」 喜多「まだ言ってる」 そして二人も布団をかぶった。

2013-06-11 19:36:41
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

夜8時。四つ回りの拍子木の音が枕に響き、台所から聞こえる明日の準備の物音も消え、犬の遠吠えだけが鳴き渡る。 ゴソゴソ 喜多が頃合いを見てそっと起き出し、奥の間を伺った。

2013-06-11 19:36:46
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

すでに行灯は消えて真っ暗。そろそろと忍び込み、暗い中を探りながら娘巫女の布団に潜り込んだ。意外にも、巫女のほうから喜多の手を取って引き寄せてくる。喜多八、こりゃありがたいと鼻を付き合わせて寝入った。 さらに一時間後、弥次郎兵衛がモソモソと起き出す。

2013-06-12 19:44:27
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「ん、何時だろ。トイレトイレ。あーこりゃ真っ暗で何も見えねえな。トイレはこっちかな」 トイレへ行くふりをして奥の間に入る弥次喜多に先を越されたとも知らず手前の布団に潜り込み、娘の頬を撫でる。 喜多「ひゃっ!」 弥次「うぇっ、えっ? 喜多八?」

2013-06-12 19:44:33
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多弥次!? な、何で俺の顔を撫で回す! うげぇ、気っ持ちわるー」 この声で、一緒に寝ていた巫女が目を覚ました。 巫女「しーっ、静かに。娘が目を覚ますじゃない」 弥次/喜多「お、おかあさん!?」

2013-06-12 19:44:39
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

喜多と寝た巫女は、娘ではなく母親のほうだった。喜多は二度ビックリ。蒲原宿に続いてまたもやババアと取り違えてしまったようだ。 慌てて自分の寝間着を抱えると、自分の部屋へ逃げ帰ってしまった。 弥次も同じく部屋へ戻ろうとするが、母巫女にわしっと腕を掴まれた。

2013-06-12 19:44:45
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

巫女「せっかくいらしたんだから楽しんでいきましょうよぉ」 弥次「いえっあの、人違いですから、ボクじゃありませんからっ」アセアセ 巫女「そんなこと言わないの。私達こんなことは商売にはしないけど、少しばかりのお代金でお慰めするのも仕事のうちよ。さささ、いらっしゃあい」

2013-06-12 19:44:51
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

弥次「いえ、え、遠慮しますですっ、おおーい喜多八ぃ」 母巫女「しっ、大きな声出さないの」 弥次「わあああ~ごめんなさい助けてぇ」 弥次は、すがる母巫女を突き倒して逃げた。 いち子ぞと 思うて忍び 喜多八に 口を寄せたる ことぞくやしき

2013-06-12 19:44:57
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