イアン・ハッキングしてみた/ 「私は特定の事例についての哲学者なのです」(イアン・ハッキングインタビュー, 2009年)

イアン・ハッキングのインタビュー「私は特定の事例の哲学者なのです」を読んだ記録です。 【書誌情報】 Madesen, O.J., Servan, J. and Oyen, S.A. (2009)‘I am a philosopher of the particular case’: An interview with the 2009 Holberg prizewinner Ian Hacking, History of the Human Sciences, vol.26-2, pp.1-20. 続きを読む
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岡澤康浩 @okazawa_y

p10にtransient mental illnessについての質問がありますね

2013-06-30 20:09:13
岡澤康浩 @okazawa_y

インタビュアー:『マッド・トラベラーズ』の中で、あなたは以下のような区別を述べています。「しかしこれは信仰と希望と慈悲charityの問題だ。私の意見ではいくつかの精神病はリアルである。例えばスキゾフレニアについては、反対意見が存在するけれども、私は以下のように願っている。」(続

2013-06-30 20:14:03
岡澤康浩 @okazawa_y

インタビュアー:「20年以内にひとつやふたつ、あるいは三つの根本的なタイプを把握できるようになればいい、と。」『マッド・トラベラーズ』あなたは同時に自閉症については渡り病transient illnessだとは考えていないとおっしゃる。

2013-06-30 20:16:09
岡澤康浩 @okazawa_y

インタビュアー:あなたはなんらかの基準があって、それを使って区別されているのでしょうか。たとえば、科学的発展、もしかしたら遺伝的、生物学的原因のような。それとも、これは単なる個人的確信、希望、そして慈悲(あなたが書いておられるように)によるものなのでしょうか。

2013-06-30 20:18:07
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:(前略)私は[自閉症を]transientでないと述べ、そして現行の記述に応じるようななにかが人類と共に永遠に存在してきたが、最近になってと分離したのだと述べましたが、それは単なる個人的確信の問題ではありません。

2013-06-30 20:23:09
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:それはその分野に取り組んでいるほとんどのすべての人の確信なのです。私たちは生化学的研究が原因について理解をもたらしてくれることを望んでいます。(p10)

2013-06-30 20:27:48
岡澤康浩 @okazawa_y

このあたりはRewriting the Soulにおける多重人格とはrealなのかという問題と結びついた重要そうな議論ですね。

2013-06-30 20:28:45
岡澤康浩 @okazawa_y

ある病を相互作用の中でとらえるということは、それが人工物であり、でっち上げであるといった主張をすることと同じなのだろうか。といった問題ですね。病の社会的構築とひとが言いたくなる瞬間と、病の原因についての医学的研究への基本的信頼との間に矛盾はあるのか、ないのか。

2013-06-30 20:30:40
岡澤康浩 @okazawa_y

この辺は具体例なしでやるとあまりろくな事にならない気がするので、具体的なトピックをご存じの方から色々教えていただきたいところですね。

2013-06-30 20:31:21
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキングは英語圏にフーコーを紹介する本の草稿を用意していたが最終的にはそれを破棄したそうです。このエピソード知りませんでした。(p13にあります)

2013-06-30 20:41:43
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:いまやフーコーについての本は100冊にものぼります。ですが、私はいまだに読むに値するのはフーコー[自身によるもの]だけだと思います(I still think Foucault is the only one to read)。(p13)

2013-06-30 20:48:31
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキングは原文がかっこよすぎて訳が難しいときがありますね。

2013-06-30 20:49:02
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:私はフーコーから新しい哲学のやり方を学びました。といっても私は彼の真似をしたり、コピーしたことはありません。多くの人がそういったことをやりたくさんのひどい結果に陥りましたが。私はすでによく訓練された分析哲学者でしたし、いまでもそうなのです。(p13)

2013-06-30 20:52:44
岡澤康浩 @okazawa_y

『確率の出現 第二版』の序文で自身とフーコーとの関係を論じているようですね。

2013-06-30 20:54:57
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:私が示そうとしたのは「社会的構築」というその表現が使えないということでした。「そうはいってもお前の多重人格や渡り病transient illnessは社会的構築主義的じゃないか」もしそう言いたければそう言ってもいいでしょう。

2013-06-30 21:09:57
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:ですが、私はどちらの本の中でも社会的構築について語らなければよかったと思っています。私は正確であろうとしましたし、特定の歴史的状況について述べようとしました。

2013-06-30 21:10:11
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:社会的構築という言葉を使って明確になった問いは存在しませんし、多くの論争はこの言葉が導入されるやいなや混乱したものになります。(pp15-16)

2013-06-30 21:10:25
岡澤康浩 @okazawa_y

Ian Hacking (2007) Scientific Reason 台湾でのみ流通。 http://t.co/GwgISxPYMR

2013-06-30 21:18:54
岡澤康浩 @okazawa_y

インタビュアー:どうしてあなたは歴史家ではなく哲学者だと呼ばれることにこだわるのですか? ハッキング:なぜなら私は歴史家ではないからです。私は歴史家としてのスキルをもっていません。私はたしかに過去を使います。私は私の哲学を過去を使って作り上げます。

2013-06-30 21:22:34
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:でもフーコーは歴史家とは呼ばれませんでした。すくなくともフランスにおいては。フランスでは彼は哲学者と呼ばれました。分析哲学者はためらうでしょうが、私は気にしません。ですのでフランスではもちろん私も哲学者と呼ばれるでしょう。(p16)

2013-06-30 21:24:16
岡澤康浩 @okazawa_y

ハッキング:私はいつも学生たちに尋ねます。この質問は学生たちが私について最も嫌っているに違いません。すなわち、「例を挙げてくれ」と。私にはひとびとがあまりに頻繁に例をあげないように見えます。これこそが『何が社会的に構築されているのか』というタイトルのポイントなのです。(p17)

2013-06-30 21:27:06
岡澤康浩 @okazawa_y

【読了】‘I am a philosopher of the particular case’: An interview with the 2009 Holberg prizewinner Ian Hacking

2013-06-30 21:31:51
岡澤康浩 @okazawa_y

誰もハッキングしてくれませんね。

2013-06-30 21:32:22
岡澤康浩 @okazawa_y

ひとまず、今日のハッキングタイムはお終いということで。

2013-06-30 21:34:08
岡澤康浩 @okazawa_y

「例を挙げろ」というのはハッキングらしい良いエピソードですね。

2013-06-30 21:35:59