夕焼け・土方歳三はゆく【シナリオ版】第三章「油の小路の恋哀し」
⑫ ⑪の前の廊下 斎藤が俯きかげんに歩いてくる。 障子が開いて千代が出てくる。 顔を上げた斎藤と、千代の目が合う。 千代「斎藤さん・・・」 #試衛館の青春
2013-07-23 18:05:57千代、斎藤の後方に目をやる。 斎藤「俺一人なんだ・・・ごめんな、平助連れて帰って来れなくて」 千代、微かに首を横に振り、そして淋しく微笑む。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:07:06⑬ 幹部会議室 歳三、井上、永倉、原田、斎藤、沖田、千代、その他の幹部達が集まっている 歳三「斎藤が帰ってきた。奴等、近藤さんの暗殺を計画している。で、先手を打つ。伊東を明日の夜、近藤さんの休息所に呼ぶ。酔わせて、帰り道、斬る」 #試衛館の青春
2013-07-23 18:08:47原田「他の奴等はどうする?」 沖田と斎藤、千代を見る。 永倉、原田を睨む。 原田の隣に居る井上が原田の袖を引く 原田、はっとして、千代を見る。 千代、俯いて目を閉じ坐っている。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:10:21歳三「伊東の死体をその場に放置して、物陰に隠れて待ち伏せる」 歳三、平然と言う。 皆無言。気遣わしげに千代の方をチラチラと見る。 歳三、かまわずに続ける。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:11:49歳三「源さんは近藤さんと一緒に伊東をもてなして下さい。新八つぁんと左之助と俺で、後をつけて斬る。七条油小路あたりだ。総司、斎藤、千代、あと、一番隊と三番隊から五名づつ、その辺りに待機。以上だ」 #試衛館の青春
2013-07-23 18:13:49歳三、部屋を出て行く。 全員、呆然となる。 沖田「千代ちゃんの名前があった」 斎藤、無言で歳三の閉めた障子を睨んでいる。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:14:55⑭ 壬生へ向かう道 千代が一人、歩いている。手には花簪が強く握り締められている。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:16:08⑮ 壬生の屯所廊下(回想) 藤堂平助と千代が、向かい合って立っている。 藤堂「目を閉じて」 千代「えっ、何?」 藤堂「いいから、目を瞑って」 千代、目を閉じる。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:17:14藤堂、懐から花簪と手鏡を取り出す。 簪を千代の髪に刺し、手鏡を差し出す 藤堂「もう、目を開けていいよ」 千代、目を開けて鏡の中の自分を見て、そして藤堂を見て、にっこりと笑う。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:19:01⑯ 壬生へ向かう道 千代、花簪をじっと見つめる。 目を自分の帯びている刀に移す。 千代「あの日、お兄ちゃんに、この之定を渡されたんだ」 #試衛館の青春
2013-07-23 18:20:03⑰ 幹部会議室 井上、永倉、原田、斉藤、沖田の五人が坐っている。 永倉「一体、どういうつもりなんだ。土方さんは」 #試衛館の青春
2013-07-23 18:21:39沖田、千代の居ないことに気づいて、 沖田「千代ちゃん、いない」 斉藤、はっとして、部屋を飛び出す。 四人呆然。少しして、沖田もはっとして、斉藤を追う。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:22:48⑱ 千代の部屋の前 斎藤が、開け放たれた障子の前に、ホッとした表情で立っている。 沖田が走ってくる。 沖田「斎藤さん・・・」 斎藤「大丈夫、荷物はあるようだ」 沖田、天を仰ぐ。 #試衛館の青春
2013-07-23 18:24:24⑲ 歳三の部屋 歳三、刀の手入れをしている。 障子が乱暴に開けられ、沖田が入ってくる。 歳三、顔を上げる。沖田を確認し、刀の手入れを続ける。 #試衛館の青春
2013-08-01 18:40:12沖田「土方さん!」 歳三「閉めろよ」 沖田「えっ」 歳三「障子だよ」 沖田、障子を閉める。閉めてから、腹立たしげに舌打ちをする。 深呼吸して、充分に間を取り、怒鳴る 沖田「土方さん!」 #試衛館の青春
2013-08-01 18:41:56歳三は、手入れの済んだ刀を鞘に収めて、立っている沖田を見上げる。 歳三「まあ、坐れ」 沖田、坐る。腹を立てた様子で、改めて呼吸を整えて言う。 沖田「土方さん、一体どういうつもりなんですか」 歳三「何がだ」 #試衛館の青春
2013-08-01 18:43:27沖田「明日の油小路の布陣ですよ」 歳三「何か問題があるか」 沖田「何か問題って・・・なぜ、千代ちゃんが入ってるんです?」 歳三「悪いか」 沖田「悪いかって・・・当たり前じゃないですか。向こうには平助さんがいるんですよ」 #試衛館の青春
2013-08-01 18:45:27歳三「それで?」 沖田「それでって・・・」 沖田、黙る。怒りで歳三を睨みつける #試衛館の青春
2013-08-01 18:47:29⑳ 歳三の部屋の前の廊下 斎藤、井上、永倉、原田の四人が、厳しい表情で歳三の部屋の中の様子を覗っている。 永倉と原田が、焦れたように歳三の部屋に入ろうとする。 #試衛館の青春
2013-08-01 18:49:11井上「ここは総司にまかせよう」 永倉、原田、渋々元の位置に戻る。 斎藤、黙ってじっと閉っている障子を見ている。 #試衛館の青春
2013-08-01 18:50:03○ 歳三の部屋 沖田が歳三を睨みつけている。 歳三、微笑む。 沖田「何がおかしいんですか!」 歳三、真顔に戻り、 歳三「総司、お前、平助を殺したいか」 #試衛館の青春
2013-08-01 18:52:47沖田「そ、そんな、何年も一緒にやって来た仲間ですよ。誰が殺したいもんか」 歳三「それじゃあ、もう一つ訊くが、お前、千代の前で平助が斬れるか」 #試衛館の青春
2013-08-01 18:54:06沖田「とんでもない!」 沖田は叫んでから、何か気づいたように小さく「あっ」と叫び、歳三を見る 歳三、微笑んで頷く。 沖田、頷き返す。 #試衛館の青春
2013-08-01 18:55:06○ 歳三の部屋の前の廊下 井上、永倉、原田、ホッとした表情で頷き合う。 斎藤、障子を見たまま。 井上、斎藤の肩に手をかける。 #試衛館の青春
2013-08-01 18:55:58