画家フランシス・ベーコンを巡る病跡学的アプローチ

グランキューブ大阪で開催された第60回日本病跡学会総会のあとで大崎晴地氏と志紀島啓の対話。 『ヘルメスの音楽』浅田彰・ちくま文庫所収のベーコン論は読みやすい導入となるだろう。http://www.amazon.co.jp/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E5%AD%A6%E8%8A%B8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B5%85%E7%94%B0-%E5%BD%B0/dp/4480080082
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志紀島 啓 @kay_shixima

病跡学会於大阪。大崎晴地氏のF・ベーコンに関する発表は鑑別の視点から理解すべきなのではなく、「離人症」や「リアリズム」という言葉の再定義を求めるものではないか?と思ったのだが現場では挙手したものの司会者によってスルーされてしまった。

2013-08-02 12:46:59
志紀島 啓 @kay_shixima

続・エドワード・ホッパーポール・デルヴォーベーコンの差異を示して前二者こそ離人症的とするのは生産的理解ではなく、内界すらデタッチメントされ制御不能となり享楽強度に貫かれた(レアリテならぬ)レールを見るべきではなかったか。

2013-08-02 12:57:05

エドワード・ホッパー云々という箇所は大崎氏の発表に対する、おそらくは正しい、しかし凡庸な、予想しうる批判として、という意味です。

大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima ご指摘ありがとうございます。発表しました大崎です。この場合、レールというのはLeere(空虚)の方でしょうか?

2013-08-07 20:27:42
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie Rの方のレール。ラカン現実界という意味でツイートしました。たぶん会場の受け止め方は鑑別の方に関心が向かっていたのではなかったか?と思ったもので。大崎さんのおっしゃりたかったことがうまく伝わってなかったのでは?と(僭越ながら)思ったので。

2013-08-07 23:16:06
大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima 確かにものそれ自体の変容です。ラカンの現実界は意識していませんでしたが、「リアリズム」をそう捉えることもできますね。ベーコンの作品の特異性からすれば、ほかの作品はヴェールに包まれたものが多いです。発表では、その特異点での現象学的な経験を強調しました。

2013-08-08 08:51:14
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie その場合の「現象学的」というのは「特異な経験をしている本人にとって」ということであり、「外から観察と関与と記述をしている医者にとって」ではない、という理解でOKですか?

2013-08-08 09:33:16

ちなみに中井久夫先生の著書に『関与と観察』というのがあります。
http://www.amazon.co.jp/関与と観察-中井-久夫/dp/4622071754/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1376057740&sr=8-1&keywords=関与と観察

大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima はい。離人症の患者にとっての経験です。

2013-08-08 09:43:00
大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima その点では、ベーコンはシュルレアリスムではなく、ポップ・アートに近いと思います。内的世界(ヴェール)ではない、ということですね。

2013-08-08 09:47:48
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie <ベーコンの作品の特異性からすれば、ほかの作品はヴェールに包まれたものが多いです>の「ほかの作品」というのは「他の(画家の)作品」という意味でいいですか?

2013-08-08 09:54:05
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie 了解です。例えばシュルリアリズムの代表的作品はは内面を描くといいつつ、思わせぶりな象徴やら精神分析理論からの借り物が見られる。それに対してベーコンの絵はそうした読み解きを不可能にするような剥き出し(=ヴェールの反対)の状態にある。

2013-08-08 10:01:40
大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima 剥き出しというと妄想っぽくなりますが、そこを離人症の現象学で紐解きたいというのが、僕の発表でした。

2013-08-08 10:13:32

ちなみに「離人症の現象学」という論文は『分裂病の現象学』木村敏・ちくま学芸文庫所収
http://www.amazon.co.jp/新編-分裂病の現象学-ちくま学芸文庫-木村-敏/dp/4480094970/ref=sr_1_5?s=books&ie=UTF8&qid=1375951269&sr=1-5

志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie 妄想=高エネルギーで表象が機能する状態。剥き出し=さらにエネルギーが高まって表象がもはや機能しない状態、という図式で分けて考えています。

2013-08-08 11:01:21
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie そこで一般的な意味で「離人症」や「リアリズム」という言葉に大崎さんはこだわっているのか、どうか?なんですけど。ご発表の内容からすれば「こだわってない」と思ったんですけど。いかがですか?

2013-08-08 10:05:03
大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima 「離人症」にはこだわっています。ベーコンの絵は妄想ではないと思うので。一般的な現実感喪失のイメージからすれば、ベーコンは正反対な印象があるわけですが、そこを現象学的に見直したい。そうなると「リアリズム」にもこだわることになりそうです。

2013-08-08 10:10:30
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie ふむ。でも離人症というのは症状レベル=観察者から見た表面的現象に与えられた名前ですし、内的構造を示していません。それは大崎さんご自身の発表のなかでも神経症・精神病両方に共通するものとして離人症を示していたことから理解されていたと思うのですが。

2013-08-08 10:47:04
大崎晴地 @haruchiosaki

@kay_shixima 神経症と精神病の離人症をベーコンの作品をとおして分けて考えています

2013-08-08 11:20:52
志紀島 啓 @kay_shixima

@toriisophie花村先生の論を引用されたと言うことはベーコンを精神病側で大崎さんとしては理解しているということでOKですか?

2013-08-08 11:42:08

花村先生とは精神科医の花村誠一先生のことです。