《避難したかどうかに関わらず、支援は行き届いていない 本論その1》
- karitoshi2011
- 1554
- 0
- 0
- 1
《避難したかどうかに関わらず、支援は行き届いていない 序論》
0 《避難したかどうかに関わらず、支援は行き届いていない 本論その1》をこれから作る。もう少し続けたいので、今回はその1。経済的な支援と医療支援についてに絞る。
2013-08-18 23:41:571 「避難者には手厚い支援がある」と、避難していない人たちの多くが現在も感じている。区域再編の後「帰還困難区域」に設定された土地からの避難者であっても、生活をリスタートさせるような支援は行われていないのに。あくまでも毎月の補償と値切られた財物弁済だけだ。
2013-08-18 23:42:242 ましてや、政府が指定していない区域からの避難者には、昨年の12月28日までに申請した場合限定で、限られた条件の中での住宅の家賃補助があるだけだというのに。仕事を見つけて職場の近所に引っ越そうとすれば、住宅の家賃補助も切られてしまう。
2013-08-18 23:42:393 もう少し丁寧に説明しておく。まず、政府が警戒区域に指定した地域の人たちは、ほとんどの場合福島県内に避難し、仮設住宅や「みなし仮設」に避難している。仮設住宅は、それまで生活していた一戸建てに比べると住環境が良くない。みなし仮設も不満が残るだろう。
2013-08-18 23:42:594 政府が「計画的避難区域」に指定した地域の人たちは、線量が高いために追加で避難指定されたのだが、避難までにかなりの時間、高線量の中での生活を普通に送っていたので、健康への不安が高い。さらに避難開始が遅れたため、避難先住居の選択肢が狭くなってしまった。
2013-08-18 23:43:175 とりあえず、政府が集落単位以上で避難指定したのはここまで。とは言っても、自治体単位で住民全体を同じ場所に避難させることができた例は存在しないので、元の自治体や近所の人との連絡はかなり困難になっている。中には空間線量的にも不安な場所に避難した例もある。
2013-08-18 23:43:376 政府が集落単位で避難指定した中で、役場機能自体を線量的にも距離的にも原発事故の追加被害を減らせるところまで移動できたのは、大熊町と双葉町だけだ。しかし、仕事の関係もあり、役場の移転先のそばに住んでいる人が多いとは決して言えない。それは他の自治体も同様だ。
2013-08-18 23:43:547 避難すれば、元の自治体の役場からの連絡は疎遠になる。できれば避難した先の住民への連絡方法も事前に決めておけば良かったのだろうが、そんな計画があった自治体など存在しない。近所の人同士が多数住む仮設住宅でさえ、自治体役場との連絡は以前よりも雑になってしまった。
2013-08-18 23:44:168 原発事故が発生したあと、自治体役場をどこに移動し、住民をどこで生活させ、住民に対してどの連絡を自治体が担当して他の連絡をどこが担当するか、などという想定が作られていたという話は聞いたことが無い。長期にわたる避難が必要な事例を想定していなかったのだから。
2013-08-18 23:44:339 避難者の多くは「自治体からまともな連絡が来ない」と、住民票を移動していない場合にも感じているだろう。しかし、避難者が欲しがる情報など、国も県も東京電力も、出してはいないのだ。避難がいつまで続くか、どうすれば生活を再建できるか。そんな情報は存在しない。
2013-08-18 23:44:5410 避難指定があろうが無かろうが、避難すれば生活再建は絶望的なほどに遠ざかっている。避難指定を受けていれば、とりあえず区域再編までは一人月10万円の補償金が支払われる。しかし、それだけだ。生活根拠が無い場所で、先の見通しも無い中の月10万は、生活で消える。
2013-08-18 23:45:1011 今後、区域再編で、国と東京電力は可能な限り早く補償金を打ち切ろうとするだろう。補償金打ち切りに対して、避難者以外の抗議が殺到しないのであれば、国と東電は安心して補償を打ち切るだろう。特定避難勧奨地点解除した世帯の補償を、3ヵ月後に打ち切ったように。
2013-08-18 23:45:2612 さて、では国が避難指定しなかった地域からの避難者、一般的に「自主避難者」と呼ばれている人たちは、どのような支援を受けているのだろうか?おそらく、福島県内でも、それ以外の地域でも、避難指定区域外からの避難者の状況は、ほとんど報道されていないだろう。
2013-08-18 23:45:4213 私の家族は取材を受けることが多く、その度に「受けている支援はこれです」という話をするのだが、報道されたものを見ると、その話は省略される事が多い。避難前とは変わった環境での苦労は多く報道されるのだが。「避難は大変だ」という話ばかりが強調されるかのようだ。
2013-08-18 23:46:0514 「避難すれば支援してもらえる」と思って避難に踏み切る人など、そもそもほとんど存在していないし、事故発生直後からも支援に期待して避難した人などごく少数だった。十分に支援があるのなら、経済的に困窮して帰還する人はいないだろう。
2013-08-18 23:46:2215 避難したといっても、福島県外への避難の場合、避難者がまとまって生活している場所は稀で、避難せずに残った人と同様に、周囲の人に何をどこまで話して良いのか、悩むことが多い。SNSなどでつながって近所に避難した人でもいれば、かなり幸運なほうだ。
2013-08-18 23:46:4016 避難者自身が意図しなければ、避難者は孤立していく。私は避難をする前に「少なくとも10年程度は戻ることは無いだろう」と決めて避難してきたので、踏ん切りがついた。しかし多くの避難者は、半年か一年程度でそれなりの決着が出るのではないかと想像して避難を始めている。
2013-08-18 23:47:0317 指定区域外からの避難者が避難する場合、わが子を守る為の緊急避難行動として避難した例が殆どだ。先の計算とか計画とか、している余裕は、無かった。世界史上、稀に見るような事故が発生しているというのに、信頼できる情報が官庁からも報道からも手に入らないのだ。
2013-08-18 23:47:1818 特に事故発生から2011年夏までの間は、東電原発の状況は誰の眼にも不安定に見えたので、少しでも距離を取っておきたいと避難した親子は多かった。国が決めた年20ミリの基準に、それまで御用学者と思われてきた科学者が涙で抗議するのを見て、避難を決意した人もいた。
2013-08-18 23:47:3419 事故発生から2ヶ月ほど過ぎた後に、「専門家」が事故発生直後に一斉に否定していたメルトダウンが起きていたことを認める発表が出されたことも、避難の決意のきっかけになっていた。政府・専門家・東京電力・評論家に対する不信感が避難を増やしたのだ。
2013-08-18 23:47:5020 少し遠回りしたが、避難者の多くは、避難後の支援を期待して避難を決意したわけではないのだ。特に、福島県外からの避難者が多い「区域外避難者」は、多額の財政的な支援が受けられるかどうかなど考えずに、避難行動を始めている。そこにいるのが怖くなったから避難したのだ。
2013-08-18 23:48:1821 「ここに留まったら、我が子に危険が及ぶかもしれない」と避難者に考えさせてしまった側の対応に問題があった。事前に原発の危険性を告知せず、事故が発生した後もできるだけ状況を過小に公表し、事故前の法律と食い違う安全基準を設定したら、不安が大きくなるのは当然だ。
2013-08-18 23:48:3322 では、避難後の「支援」はどうだろうか?避難せずに残って生活している人々だけでなく、おそらく世界中に、「区域外避難者」に対する日本の支援制度は知られていないだろう。原発事故による被災を理由とした避難者への公的な「支援」は、現在殆ど存在しないのだ。
2013-08-18 23:48:53