発達障害を理解するための新たな視点(人格発達という文脈から)

第54回児童青年精神医学会総会@札幌 斎藤万比古先生の講演です。
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aikider @sayoarashi

斎藤万比古:発達障害を理解するための新たな視点(人格発達という文脈から)

2013-10-11 11:02:31
aikider @sayoarashi

発達障害概念の拡大により、衝動性の高さ、関係性への無関心さなど扱いにくい特性は発達障害で片付けられてしまう傾向が広がっている。発達障害の属性は強力であるが、人格発達阻害の要因の一つにすぎないという点に注意が必要。

2013-10-11 11:05:10
aikider @sayoarashi

子どもは各々独自の色とサイズの紙質の紙を備えて生まれ、その紙にあらゆる次元の環境からの働きかけ、経験、自己から環境への働きかけ、これらの何かが刻み込まれ続ける経過を心の発達と呼ぶ。

2013-10-11 11:06:40
aikider @sayoarashi

自己システム・・・人格サブシステム、身体サブシステム、自己システムに取り込まれた家族システムの一部、自己システムに取り込まれた社会システム、それらをとりまく家族システムと社会システム

2013-10-11 11:09:57
aikider @sayoarashi

子どもの人格発達の構造:temperament,identity,gender,traits of neuropsychological development,affect,defences(kernbergを一部改変)

2013-10-11 11:12:32
aikider @sayoarashi

これらを組木細工のようにとらえる

2013-10-11 11:15:18
aikider @sayoarashi

生得的な気質に加え、神経心理学特性(発達障害など)、性の影響を受けて気質が形成される。

2013-10-11 11:16:41
aikider @sayoarashi

気質の上に感情と防衛が積み上がり、inputに対して感情が刺激し、ここから防衛が働いてoutputする

2013-10-11 11:17:56
aikider @sayoarashi

inputに対し感情と防衛を通じて出てきたoutputが正負のスパイラルを形成する

2013-10-11 11:21:07
aikider @sayoarashi

不注意や衝動性の高さは対象からの働きかけの意味を誤解しやすく、内省や吟味と呼ばれる内的作業を妨げ、自己の発展と成熟を制限する。

2013-10-11 11:21:59
aikider @sayoarashi

衝動性、不注意、多動はいずれもトラブルを生じやすく、叱責の対象となりやすいため、関係性はサディスティック、マゾきスティックなものとなりやすい。固執性、社会性の発達不全は相互関係の形成を妨げ、独善的関係性につながりやすい。

2013-10-11 11:23:13
aikider @sayoarashi

性、神経心理学的発達特性、気質、感情、防衛の上に、繰り返されてきた優勢なスパイラルの結果、同一性が形成される。

2013-10-11 11:24:25
aikider @sayoarashi

発達障害者の同一性形成は

2013-10-11 11:24:42
aikider @sayoarashi

発達障害の質、量、養育環境の質、量は同一性形成に大きな影響力を持つ。過剰な介入と叱責により、自尊心の低い、乱暴で他罰的な攻撃者像や、受動攻撃的な抵抗者像を同一性として獲得する可能性がある

2013-10-11 11:26:04
aikider @sayoarashi

ASでは心の理論獲得を機に急速に他者の心に気づくと同時に、自己感、自己像に関しても一気に過敏になる。その過程で幼児期依頼の環境との相互作用の意味が明らかとなり、それに規定された同一性を形成し始める。障害特性は誰もが持ちうる短所として受容した肯定的な同一性を得ることもできる。

2013-10-11 11:27:49
aikider @sayoarashi

思春期は再編の時期である

2013-10-11 11:29:25
aikider @takitsusame

思春期の自己システムを支える三要因:幼児的親子関係への退行、仲間集団、自己愛の亢進

2013-10-11 11:31:52
aikider @takitsusame

親子関係への退行に過剰に接近し固定化すると、ひきこもりにおける母子関係のような密着を呈する

2013-10-11 11:32:34
aikider @takitsusame

仲間集団に過剰に接近すると、過剰適応になる

2013-10-11 11:32:57
aikider @takitsusame

自己愛性の亢進が過剰になると、プライドの傷つきに対する過敏性につながる。

2013-10-11 11:33:34
aikider @takitsusame

いずれも思春期の不安定な心性を支えるが、それに耽溺し過ぎると深遠に囚われてしまう。

2013-10-11 11:34:12
aikider @takitsusame

葛藤に満ちた発達段階を経験する思春期は、圧倒的に依存的であった乳幼児が個人として生きる能力を持った大人に脱皮するための蛹の期間である。

2013-10-11 11:35:31
aikider @takitsusame

発達障害の子どもも例外なく思春期を経験するが、少なからず傷つき、停滞することも珍しくない。その結果二次障害を呈する場合もあるが、それらの発達や挫折を通じて形成されたものが発達障害者の人格である

2013-10-11 11:37:47
aikider @takitsusame

AD/HDに形成されやすい人格:低い自尊心、不安親和性、抑うつ親和性、怒り亢進、受動攻撃性、無力感空虚感の亢進

2013-10-11 11:38:40
aikider @takitsusame

とくに被虐待体験を持つケースでリスクが高い

2013-10-11 11:38:59