大砲小話~装薬変更か長砲身化か──大砲の初速向上手段のお話(10式戦車に関連して)
http://t.co/nPbohb3CwK 『大砲の威力を増加させる方法は、 口径(砲弾の直径)を大きくする >> 口径長を長くする >> 砲弾そのものを重くする、装薬を改良する の順に効果的です。』 うーん・・・? 『口径>装薬>砲身』だろ。
2013-10-13 13:50:51(砲内弾道を知らない素人が、史実の大砲諸々を見て類推するに) 大砲の砲身を伸ばす≒装薬を増す、変更する 一般にはこう言ってしまえそうで、多分記事書いた人もこう言いたかったんじゃないかなあ。装薬変えずに砲身を伸ばす、ということを意図した記述ではないと思う
2013-10-13 16:14:14大砲の初速を伸ばすことを狙って、 ・砲身は伸ばすが弾頭も装薬も変えない こういう対応をとった例は実際無いではない。ただ、その例のどれもが、戦時下で弾薬生産に負荷を与えたくない等の理由で従来火砲との弾薬共通性を維持しようとした場合に限られるのよね。そうでなきゃ普通は装薬も変える
2013-10-13 16:17:42だから私が書くなら 1. 口径を増す 2. 砲身を伸ばし装薬を変える 3A. 砲身を伸ばし装薬はそのまま 3B. 装薬を変えて砲身はそのまま の順にでもするかしら。下2つは元の砲の性質によって有効かどうかが分かれるんで、同率3位に
2013-10-13 16:25:22「大砲は普通、装薬量に対して最適な砲身の長さで作らる」と思われがちだけど、実はそうとも限らない。砲身内での砲弾の加速は初め急激で、砲身末端では加速が鈍い。では末端を多少切り落とす(または最初から短く作る)と? 初速をほぼ維持しつつ、より短い=つまり軽い砲身が出来上がる
2013-10-13 16:33:27つまるとこ 「弾道学的に最適な砲身長」 と 「実用的に最適な砲身長」 は異なり、普通は後者のほうが短いというわけ。普通の大砲は後者の思想に基づいて作られているので、弾道学的に最適な砲身長より短い。だから、まだ 「砲身を伸ばし装薬はそのまま」 という手段で初速向上を狙う余地がある
2013-10-13 16:39:35そんなわけで、初速向上の手段として 1. 口径を増す 2. 砲身を伸ばし装薬を変える 3A. 砲身を伸ばし装薬はそのまま 3B. 装薬を変えて砲身はそのまま のうち、3Aと3Bどちらのほうが良いかは、元の大砲の性質(弾道学的に最適な砲身長に近いか、より短いか)によって変わる
2013-10-13 16:44:30あっ、わたしWW2脳なんで、現代の大砲のことはよくわかりませんよ。120mm44口径砲はどうなのとか言われても、何一つ知りやしません(見苦しい逃げ)
2013-10-13 16:45:58あと、初速向上の手段としての 「装薬を変えて砲身はそのまま」 は、件の記事では「地味で効果も限定的なものですが、デメリットも少ない方法」とあるけども、私はこれが一番難しい方法じゃないかしらと思ってます
2013-10-13 16:47:58「装薬を変えて砲身はそのまま」の手段であれば、砲身を伸ばす場合と違ってさほど重量を増さずに済む。これは得難いメリットだ。けども、短い砲身で弾をより急激に加速させるのは、長い砲身で緩やかに加速させてやるのに比べて砲身への負担が大きい。技術的にはより難しい(んじゃないかなあ?)
2013-10-13 16:55:04つまるとこ、10式戦車が採った「装薬を変えて、砲身長はそのまま」という威力向上手段は、技術的には一番難しいけども、うまくいけば最も軽く作ることができる、見返りの大きい手段だと思うのですよ。軽いことは高性能であることと同様に正義ですし
2013-10-13 17:01:50追記:弾を軽くするのはどうなの?
先のお話は 「砲身を伸ばし装薬はそのまま」 「装薬を変えて砲身はそのまま」 という割と特殊なケースについてのお話ですんで、そこんとこ勘違いなきよう。あくまで一般的な手段は 「砲身を伸ばし装薬を変える」 です
2013-10-14 12:27:33あと、単に初速を上げたいというだけなら、最も手っ取り早い手段として 「弾を軽くする」 という方法もあります。ですが、これは確かに初速こそ簡単に上がるものの、装甲貫通力は向上するとは限りません(しないとも限りませんが)
2013-10-14 12:30:17現代の滑腔砲は知らないので何とも言えませんが、WW2期までの砲で、弾を軽くすることで初速向上・対戦車能力の向上を成功させた砲はほとんどないように思います
2013-10-14 12:33:24というのも、こと鋼製の徹甲弾の場合、あまり撃速が高いと装甲に当たった時に弾体が変形・破損してしまうんですね。これはどこの国の徹甲弾でも知られる問題。さらに、軽い弾≒直径が細いor弾長が短いわけですが、そういう弾はなおのこと壊れやすい
2013-10-14 12:36:59もっとも、徹甲弾の弾体が変形・破損したって、ゲームめいてその場で弾が消えてなくなるわけじゃありません。ただ、弾頭部が変形してしまうと、大抵はその直径が増します(キノコ状に潰れるのを想像してください)。そうなると当然、装甲は抜きにくくなります。太い釘は打ち込みにくいのです
2013-10-14 12:44:04「弾頭を軽くする」という手段で初速を増し、そして貫通力を増大させることに成功したと言える例は、FT-17軽戦車の37mmAPCR。これは形態こそ普通のAPCRなんだけど、弾芯はタングステンでなくただの硬化鋼(だから「APCR」なのに「硬芯徹甲弾」とは呼びづらい)
2013-10-14 12:47:19FT-17の37mm SA-18戦車砲は、通常徹甲弾での初速が400m/sを切るぐらいでしかなく、APCRでも600m/s程度。この程度の速度では徹甲弾の弾頭破損はあまり問題にならないので、「弾頭を軽くする」という手段を採りつつ、そのうえ弾頭素材を変更せずに、貫通力を上げられた
2013-10-14 12:51:09では、37mm SA-18よりも高初速な砲、例えば普通の対戦車砲クラスの砲で(タングステン鋼でない)鋼製弾芯のAPCRを作ったらどうなるか? 実はソ連が鋼弾芯のAPCRを実験している。結果、確かに初速は上がるんだけども、装甲貫通力は従来型の徹甲弾と大差ないものになってしまった
2013-10-14 12:57:24つまるとこ、 「弾頭を軽く」 これは初速向上手段としては有効だけど、それだけでは貫通力向上手段としては片手落ちになるんで、実際有効な場面は少なくて 「弾頭を軽く・硬く」 大抵の対戦車砲のAPCRは、こう表現されるよね、という当たり前のお話でした
2013-10-14 12:59:19