丹生谷貴志ツイートまとめ(2013年12月)

丹生谷貴志氏の2013年12月分のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

ヴォネガットの未完のミュージカル脚本『ジキルとハイド:アップデイト』は『パームサンデー』に入っている・・・と思ったら邦訳版では削除されているんですね。訳者の名誉のために「あとがき」を参照すると、実はヴォネガット自身が「出来が悪いか日本語訳では削除せよ」と進言してきたらしいです。

2013-12-23 11:36:11
nibuya @cbfn

三島由紀夫は井上光晴の或る小説への評で「しかし、こんな悲惨な話を楽しんで読んでいいのかという倫理的な後ろめたさがある」と冗談めかして書いている。実際かなりの小説において僕らは人の不幸そのものを愉しんでしまっているわけだ・・・と、今更。

2013-12-23 11:44:14
nibuya @cbfn

僕のゴールディング嫌いの要因の一つはここにある。この人、英国作家のくせに、悲惨を愉しんでしまうという小説の倒錯性に関してひどく鈍感で、悲惨を書くことが自身の真摯さだと思い込んでいる気配がふんぷんとしている。説教師の鈍感さ・・・これはあの繊細極まりないスウィフトにはなかった頽廃だ。

2013-12-23 11:51:17
nibuya @cbfn

実際『蠅の王』の成功の後、この人の小説はただ「悲惨の闇」を説教化する主題を探すだけの小説にしか見えない・・・って、別に全部読んだ訳じゃありませんから、放言ですがね。『蠅の王』は結局後の「ダーク系」のゲームに影響を与えただけだ・・・とか、これまた放言。

2013-12-23 11:56:00
nibuya @cbfn

しかし、或るアメリカ在住のゲーマー?さんのふとした談話に、アメリカンスクール(何処の?)では『蠅の王』が必読書として指定されていたのだそうで・・・ま、そんなもんかと意味もなく納得。

2013-12-23 13:29:11
nibuya @cbfn

やたら昔の話だが『構造と力』がベストセラーになった時、それをまとめ買いし最も読んでいたのは電通とかの企画部要員だったと、編集者の中野幹隆さんに聞いたことがある。別に驚くべき話でもなくて、「現代若者事情」風分析書の最大の読者は企画部クライアント研究の要員に決まってる。

2013-12-23 14:07:25
nibuya @cbfn

フーコーの分析部分を最も詳細に読んでいるのは国家シンクタンク要員だと喝破したのはアントニオ・ネグリ、無論彼の『帝国』の読者も彼らだろうという屈折した認識もあったはずで・・・すると、マルクスが『資本論』を実は書き終えていて、それを娘たちに託して隠したという空想は、なかなか興味深い

2013-12-23 14:25:07
nibuya @cbfn

・・・或いは「行政要員」「宣伝部・企画要員」が仕事がらみでは決して読もうとしない書物を書くということは或いは或る種の書き手の夢かもしれない。プルーストのように書く? ベケットの様に、シモンの様に書く?いっそ「さあ読めるなら読め!」と、ソレルスの様に書く? 或いは最後のフーコー・・

2013-12-23 14:41:32
nibuya @cbfn

本をゴミに出そうと引っ張り出していると忘れていた本を見つけるのは当たり前で、例えばハウザー『文学と芸術の社会史』なぞ大学で教科書的に読まされたはずが覚えていない。特に近代以降の分析記述になるとハウザーの頭の固い鈍重な癖に傲慢な分析に腹が立って壁にでも投げつけたのだと思う。最悪。

2013-12-24 01:43:43
nibuya @cbfn

加藤周一さんの『日本文学史』のような仕事でも幕末から明治以降に入るとたちまち記述の格が落ちるのは、その分析が自身の脛から下半身、さらに頭へと接近して来るからだろう。動物園みたいに檻のこっちから分析しているうちは記述は誰でも落ち着くという哀しい?現実があるというだけのことだが・・・

2013-12-24 01:51:08
nibuya @cbfn

ベガンの『ロマン的魂と夢』みたいな本が未だ読むに耐えるのは、それが対象分析である以前にベガン自身の殆ど肉体的な自己解剖として書かれているからだろう。学問的云々の問題でもなければ批評史的的確さの問題でもない。スタロバンスキに至るジュネーヴ学派・批評的文学研究の特性?

2013-12-24 02:00:26
nibuya @cbfn

前も書いたと思うがバシュラールの「詩学」が三十年代末から四十年代、目の前でゼミ学生や畏友カヴァイエスといった瞠目すべき知友が「占領下フランス」の中で地下に潜り消えて行く苦悶の中に於いて「突然」集中的に書かれ始めること・・・あの詩学はバシュラールなりの戦闘の形式であり記録なのだ

2013-12-24 02:04:30
nibuya @cbfn

・・・ジョゼ・コルティの自伝を守中さんか堀江さんか或いは松浦寿輝さんあたりが訳してくれないかな・・・

2013-12-24 02:08:17
nibuya @cbfn

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙』、まあ大仰な邦題の是非はともかくそれなりに興味深い「脳理論的世界史」の異形の企画ではあるけれど、米国本国はもとより日本でも密かに、何か「脳神学」とでも呼ぶべきカルト的匂いに包まれ出しているのは、まあ我らが時代の愛嬌というべきかバ〜カと言うべきか

2013-12-24 02:54:12
nibuya @cbfn

僕は「芸術」も「文学」なんてものも存在しないと思っていますが、いつも困らせられるのは、芸術にも文学にもさして興味を持たずその「重要性」も信じていない者たちこそがその存在を信じているかのように話すという奇妙な事態に対処しなければならないということです。

2013-12-24 06:00:24
nibuya @cbfn

・・・芸術にも文学にもなお営みとして使命があると語る者はその言明によって「芸術というもの」「文学というもの」を或る監禁状態として練り出しているに過ぎないことを理解しなければならない・・・と、まあ、こんな夜中に意味不明な・・・ちょっと、体調が悪い・・・

2013-12-24 06:10:42
nibuya @cbfn

なるほど「美術館」は「芸術」を荘厳するかたちで生み出されたとして、それは、うみだされるやさっそく一種の監禁施設として設立され作動し続けている訳で、それに伴う弁護団やら検事局の形成・・・美術批評家やら史家やら評論家やら愛好者やら嫌悪者やらが「芸術」という被告を生み出し取り囲み・・・

2013-12-24 06:23:31
nibuya @cbfn

・・・呼び出され取り囲まれたものに可能な返答? 例えば、I prefer not to....とか・・・「犬のようだとそれは言い、汚辱だけが生き残るかのようだった」とか、或いはついに「Merdré!」とか・・・いやいや、夜中に朦朧と考えるこっちゃない・・・

2013-12-24 06:30:11
nibuya @cbfn

2メーター四方もあれば世界史のジオラマが・・・とか書いたせいで「ロマンチックになった」!!とか思われたようで・・・しかし僕は夢想的想像力というものに全く欠如した人間ですので、夢想状態の話ではなく、文字通り「ザッハリッヒ」な意味なのです。これはなかなか説明しづらい

2013-12-24 11:21:11
nibuya @cbfn

蓮實さんは今度の『ボヴァリー論』では基本的に山田爵さんの訳を使うようです。だから何だということではありません。『ボヴァリー』の翻訳はどれも特徴のある立派な訳で目移りします。僕は筑摩三段組で読む字面が刻まれてしまっているので伊吹武彦訳になるのですが中村光夫さんの律儀な訳も捨て難い

2013-12-24 11:33:29
nibuya @cbfn

蓮實−フローベールと言うと最近?ではどうしても『家の馬鹿息子』訳における海老坂さんとの喧嘩?が話題になってしまうのですがまあ翻訳遅れのトラブルの内実は知りませんが義憤とはいえ海老坂先生が翻訳あとがきにそれを記したのはどうでしょうね。僕はあとがきだけカッターで切り取ってしまいました

2013-12-24 11:39:59
nibuya @cbfn

朝、井上訳プルーストが目について、ぱらぱら見て、ああこの訳が「流麗新鮮な新訳」でされるのは気持ち悪いなと・・・いや、これも慣れの問題なので、他の訳がどうこうって意味じゃありません。僕の語学力では原文のリズムはどこか薄氷を踏むような痙攣を帯びて見えるので、流麗とは異質に見えるのです

2013-12-24 11:54:40
nibuya @cbfn

・・・ああ、山内志郎さんが中世哲学援用に於けるドゥルーズ・フーコー等による誤用?みたいな本書いてるんですね。坂部恵先生への返礼かしら。いや、嫌みじゃなくて、です。

2013-12-24 12:18:32
nibuya @cbfn

山内さんは御記憶ないかもしれないが確か山内さんが東大博士課程の頃に黒崎政男さんと御一緒の時お会いしたことがある。その時、一時はドゥルーズに近づいていた坂部先生がアンチになり、研究室でも先生の前ではドゥルーズの名を出すのは殆ど御法度だと言っていたのを面白く聞いた記憶がある。

2013-12-24 13:15:49
nibuya @cbfn

どうでもいい昔話だが、或るパーティーで、僕が宇波彰氏のドゥルーズ訳をあまりに批判するので?四方田犬彦がわざわざ宇波さんを僕に紹介した。困惑したが宇波さんは意に解せずという方なのかホウホウとしておられた。四方田は意地悪ね。何の会だったかキアロスタミさんもいた気がするから変な会だった

2013-12-24 13:23:33
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