戦国史料分類入門ー古文書・古記録・家伝史料・軍記物って何よ?

古文書・古記録・家伝史料・軍記物って何よ?ということがネット上でかなり混乱しているので、簡単にまとめてみました。間違っているところもあるかもしれません。参考文献→桑田忠親「歴史あれこれ」、二木謙一『戦国武将の古文書を読む』、鈴木・藤本『偽書武功夜話の研究』、webページ『東国合戦見聞私記の謎』など
歴史 島津家久 古文書 家伝 軍記物 テキスト 戦国時代 偽書
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松平俊介(東龍) @matu2syun
ちょっと、古文書・古記録・軍記物の区別について連ツイしたいと思います。ぶっちゃけすごくわかりにくいと思うので
松平俊介(東龍) @matu2syun
古文書はズバリ武将本人(or祐筆)が書いた書状の類です。編纂物ではありません。『島津家文書』『上杉家文書』のようにまとめて呼ぶ時と、『六角承禎条書写(春日文書)』のようにその文書の表題のみで呼ぶ場合があります。
松平俊介(東龍) @matu2syun
古文書で有名なのは『島津家文書』『上杉家文書』『六角承禎条書写(春日文書)』とか、後は三英傑(信長・秀吉・家康)が発行した文書類ですかね。個人的なお手紙ももちろん入ります(有名ドコロでは真田信繁(幸村)が書いた『最近は髪も白くなり歯が抜けました云々』のお手紙など)

『島津家文書』…島津氏が、平安時代末期から明治時代初期までの約700年間、代々伝えてきた文書であり、政治、外交、社会経済、家督相続など多岐にわたる総数15,133通の大規模な武家文書群である。『武家文書の白眉』として 現在では東京大学史料編纂所に保存され、国宝に指定されている。(ウィキペディア要約)
上杉家文書(うえすぎけもんじょ)は、旧米沢藩主・上杉家に伝えられた鎌倉時代から江戸時代までの古文書群。2018通、4帖、26冊が平成13年(2001年)に武家文書として初めて国宝に指定された。(同)
『六角承禎条書写』(ろっかくじょうてい・じょうしょうつし)。近江の戦国大名・六角承禎(六角義賢)が、1560年7月21日付けで家臣団に当てた手紙のこと。斎藤道三が親子二代で国を乗っ取ったことを明記した古文書として注目されている。春日家に蔵されていたので「春日文書」とも。

松平俊介(東龍) @matu2syun
古記録は、古文書と違い個人の日記の類です。『上井覚兼日記』など。島津家久が悪人を懲らしめながら旅をするww『家久君上京日記』もレッキとした古記録です。
松平俊介(東龍) @matu2syun
『家久君上京日記』についてはこちら参照。変な時代劇より余程ぶっ飛んでいるのですが、これ、史料価値高いんだよなあ。http://t.co/rHZdFyQ1wh

『家久君上京日記』(いえひさぎみ・じょうきょうにっき)「いえひさくん」ではないぞw

松平俊介(東龍) @matu2syun
『家久君上京日記』の史料価値は実は『武功夜話』『南海治乱記』などよりはるかに高いです。何しろ本人が確実に書いている。行動が高橋英樹の三匹が斬る!そのものなのは、史料価値を減殺しないと思われますww
松平俊介(東龍) @matu2syun
さて、最後の軍記物の前に、ちょっと分類に困る史料を上げておきます。ずばり『武功夜話』『天正日記』などの、あやしい古文書・古記録(偽文書)についてです

『武功夜話』…ぶこうやわ。
『天正日記』…てんしょうにっき。ここでは、初代江戸町奉行だった内藤清成(ないとうきよなり)の日記のこと。『続々群書類従』所収。明治時代に発見されたが、のちに偽書と判明。「天海僧正と家康公が江戸城築城時に会っていた。天海は足利将軍家のご落胤だそうだ」という有名なネタが書かれているが、関が原の合戦の前なのに、隠居していないはずの家康が「大御所」として登場し、秀忠を上様呼ばわりしているなど、ミスが多い。なお、伊達政宗の日記『伊達天正日記』とは全くの別物。こちらはちゃんとした古記録。

松平俊介(東龍) @matu2syun
『武功夜話』は、豊臣家の前野長康とその一族が書いた古文書や日記などをまとめたものとされていますので、以前は『前野家文書』とされて史料価値を認められていました
松平俊介(東龍) @matu2syun
ところが、『武功夜話』には史料の内容を検討すると明らかに後世に作られたとしか思えない箇所があるのです。
松平俊介(東龍) @matu2syun
それについて研究者間でポツポツと「あの前野文書は古文書じゃねえんじゃねえの?ニセじゃねえの?論文とか大河ドラマとかに使っちゃってまずいんじゃね?」という声が上がり始めました。そして
松平俊介(東龍) @matu2syun
2002年(平成14年)、藤本正行・鈴木眞哉の両氏が史料批判を行い、『前野文書は偽書である』と結論づけました。この研究が「偽書武功夜話の研究」として公刊されると論争になりました。
松平俊介(東龍) @matu2syun
その後、偽書説と真書説に分かれて激論がありましたが2008年(平成20年)、小和田哲男氏が現物の文書を調査して再度史料批判を行いました。その後も研究が続けられました。
松平俊介(東龍) @matu2syun
今はおおざっぱにいうと、前野文書は偽文書ではないが、「もともとの史料(筆者注:前野長康の古文書・古記録)に後世の何者かによってかなりの手が加えられ、結果的に史料的価値が低下した本」(谷口克広)という微妙な扱いになっています。こういうのを「家伝史料」というようです
松平俊介(東龍) @matu2syun
この「家伝史料」の類は実は史料価値をどう取るのか研究者の間でも態度がまちまちです。桑田忠親さんのように「系図とか家伝とかは後から幾らでもでっちあげられっからステマやり放題なんだよ!!あんなもん信用すんなよww」(要約やや脚色)と断言する人も居ます
松平俊介(東龍) @matu2syun
ちなみに大物の「家伝史料」徳川家の『寛政重修諸家譜』細川家の「部分御旧記」、毛利家の「萩藩閥閲録」(はぎはん・ばつえつろく)など色々あります。これらはまとめ人の腕で史料価値が決まります。
松平俊介(東龍) @matu2syun
「萩藩閥閲録」みたいなまっとうなまとめもあれば、2チャンネルまとめサイト並みの精度しか認められていない「武功夜話」、明らかなネタ(偽文書)扱いの「天正日記」までまちまちです
松平俊介(東龍) @matu2syun
さて、最後に残った「軍記物」。これははっきり言いますと、ひどいのになると歴史小説並みの価値なんだよなー。架空戦記じみた軍記物もあるんですよ
松平俊介(東龍) @matu2syun
ものすごくひどい「軍記物」は、架空武将の疑いが濃いw天才軍師・栗林義長が北条家と戦う「東国闘戦見聞私記」でしょうか。主人公が架空臭い、合戦も厨臭いというとてつもない史料ですが、自治体史では「ネタだけど」という注釈付きでよく引かれる史料です。
松平俊介(東龍) @matu2syun
なにしろ栗林義長は「狐の子」wwwですからね。著者の皆川老甫、大道寺友山に至っては、序文の事績が大幅に誤っている始末です。捨て童子こと松平忠輝くんの守役だった皆川老甫がなぜか「家光の守役」になってるし、大道寺友山と大道寺政繁が混同されているというマジキチぶりです。
松平俊介(東龍) @matu2syun
ま、軍記物はことほどかようにぶっ飛んだものが多いのですが、「面白い」のが多いので、小説や漫画、時代劇のネタになっているのが多いのです。
ののまる @nonomaru116
栗林義長といえば、茨城県龍ケ崎市に女化稲荷という神社があるのだが(実は牛久市内にある飛び地w)、そこの創建に彼が関係する話があるのだけど、これが錯綜している。
松平俊介(東龍) @matu2syun
大物の軍記のネタといえば長篠合戦の鉄砲三段撃ち、桶狭間合戦の奇襲、あたりかなあ。あ。全部、小瀬甫庵じゃないかwww小瀬甫庵は「講釈師見てきたような嘘をいい」を地で行く男ですからねー
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コメント

松平俊介@暑い @matu2syun 2014年1月17日
まとめを更新しました。
惣流・アスカ・ツンデレー @Asuka_Tsundeley 2014年1月18日
〝いえひさくん上京日記〟で誰か、漫画書いてほしい。
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