中学生でも読めるフーコー『性の歴史Ⅰ』(第二章「抑圧の仮説」第一節「言説の煽動」部分)

フランスの哲学者ミシェル・フーコーの著作である『性の歴史Ⅰ知への意志』を中学生でも読めるように要約したもパート2です。
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zutabukuro @ClothSack

中学生でも読めるフーコー『性の歴史』プロジェクト、第二章「抑圧の仮説」第一節「言説の煽動」の部分を連投しますかね~

2014-01-24 22:40:01
zutabukuro @ClothSack

前の章では、否定的な権力によって性が否定されているという「抑圧の仮説」にたいして三つの疑いを持つことができる、という話をしました。この章では具体的に「抑圧の仮説」を調べてみましょう。(続く)

2014-01-24 22:40:35
zutabukuro @ClothSack

彼らが主張する「抑圧の仮説」が本当だった場合、性に関する話題は否定されるので17世紀以降その数は減少するはずです。しかし、現実には全く逆のことが起こっていました。性について体系だって言われたことは、以前と比べ爆発的に増加していたのです。(続く)

2014-01-24 22:40:53
zutabukuro @ClothSack

もちろん、17世紀以前と比べ性に関する話題があからさまに語られることは減り、個々人の言えることは管理・規制されるようになっていきました。この時代に増加してのは、権力が行使される公の場とでも言うべき場所における性に関して体系だって言われたことなのです。(続く)

2014-01-24 22:41:21
zutabukuro @ClothSack

権力が公の場で性を語るようにあおり始めたと言っても過言ではないでしょう。 教会でおこなわれる懺悔を例に見てみましょう。中世から17世紀ごろまで流通していた懺悔のマニュアルにはまだ性の話題に関する露骨な質問が見られましたが、しだいにそれは減少していきました。(続く)

2014-01-24 22:41:51
zutabukuro @ClothSack

そのかわり、性に関してささいなことまで質問されるようになり、詳しい内容まで説明を求めるようになっていったのです。 このような、性に関してささいなことまで、しかも詳しく言うことを求める動きを「性の言説化」の企てと名づけましょう。(続く)

2014-01-24 22:42:34
zutabukuro @ClothSack

17世紀以降の特徴として「性の言説化」がすべての人に適用される、広まっていったようということがあげられます。 それを示すように、教会からは遠い立場の文学作品にもこのような「性の言説化」が見られるのです。(続く)

2014-01-24 22:42:47
zutabukuro @ClothSack

このような流れを見ると、ここで起こっていたのは性の否定というよりも、性について体系だって言われたことを生み出す仕組みの増加と、それによる性について体系だって言われたことの増加であったといえます。(続く)

2014-01-24 22:43:08
zutabukuro @ClothSack

この仕組が、キリスト教のような宗教的なもの文学作品のように個人的なもの段階で止まっていたとしたら、社会全体に広まらずそこだけで終わっていたかもしれません。ですが、「性の言説化」は公共の利益と権力のメカニズムにむすびついていくのです。(続く)

2014-01-24 22:43:47
zutabukuro @ClothSack

18世紀のころになると、性について語らせようとする、政治的、経済的、技術的なあおりが生まれてきます。この動きは、道徳的なものではなく、分析、記録、分類といった形での科学的、合理的なものでした。(続く)

2014-01-24 22:44:27
zutabukuro @ClothSack

「性の言説化」が、性の運営・管理・有用性に基づく公共の利益のために用いられていくようになりました。つまり、性は道徳に見られるような禁止ではなく、権力による有効性のための介入・調整の対象になっていったのです。(続く)

2014-01-24 22:44:49
zutabukuro @ClothSack

いくつか例をあげてみましょう。まず出てくるのが「人口」です。この時期以前にも人口が重要だという話はありました。しかし、権力が性にもとづいて人口を調整し管理しようという動きが出てくるのはこの時が初めてなのです。(続く)

2014-01-24 22:45:07
zutabukuro @ClothSack

 同様の動きには、子供の性にたいしても見られます。笑い話であった子供の性に関する話題はに消えていきましたが、これまでに見られたように子供の性にたいして体系だって言われたことはむしろ増加し、言われていることや言える人の管理・調整が行なわれるようになりました。(続く)

2014-01-24 22:45:37
zutabukuro @ClothSack

性の問題をあまりにも考えた学寮や、思春期の学童の性をめぐって書かれた大量の道徳的・医学的文章、そして子供たちにたいする性教育という名の言うことの矯正がそれを示しでしょう。(続く)

2014-01-24 22:46:19
zutabukuro @ClothSack

医学、精神医学、そして刑事裁判までもが取るに足らなかった性的事象にたいしても、細やかな裁判権を行使するようになっていきました。社会的統制のいたるところで、性にたいして体系だって言われたことが用いられるようになっていったのです。まるで、性がなにか危険物のような態度です。(続く)

2014-01-24 22:46:28
zutabukuro @ClothSack

このような流れを象徴するのが、1867年のある日フランスのラプクール村で逮捕された農業労働者の男です。 知的障害者であった彼は、それまでは取るに足らぬことと考えられて性的行為で警察に逮捕され、裁判にかけられ有罪となり、医師に検査され、その報告書が出版されました。(続く)

2014-01-24 22:46:46
zutabukuro @ClothSack

彼の取るに足らない性犯罪を中心として、行政、司法、医学、出版と多様な組織が動き、性の問題を合理的に語り、分析し、認識する、このような仕組みのが作り上げられているということがよくわかります。(続く)

2014-01-24 22:47:25
zutabukuro @ClothSack

つまり、この農業労働者の男の事件が示すのは、性に関して体系だって言われたことの増加が、「性の言説化」の場所の増加と用いられ方、用い方の多様化にを原因としているということです。(続く)

2014-01-24 22:47:34
zutabukuro @ClothSack

性に関する話題を聞き出すためにこのような仕組みが作られたこと自体が性が否定されていたことの証拠だ、性に関して簡単に話せたのならばこのようない仕組みはいらない、と「抑圧の仮説」を唱える人々は主張するかもしれません。(続く)

2014-01-24 22:47:52
zutabukuro @ClothSack

しかし、この「抑圧の仮説」自体が性についての話を聞き出すための仕組みの一部なのではないでしょうか。性は秘密である(否定されている)というある種の強調が、逆に、人々から性に関する話を引き出すための作戦なのです。(続く)

2014-01-24 22:48:17
zutabukuro @ClothSack

王様の耳はロバの耳の話のように、秘密にしなければならないとされているものほど、しゃべりたくなってしまうというものです。(終わり)

2014-01-24 22:48:30
zutabukuro @ClothSack

なお、何かと話題に挙がる「塊ミルク」については、必要性及び、中学性の健全育成を考慮し、泣く泣く明記しませんでしたw

2014-01-24 22:50:14