BEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数比較

世界の研究機関が広島・長崎の疫学データをもとに放射線による過剰発癌、過剰癌死の「リスク係数」を算出しており、核災害が起きた当事国の日本でもこれらのデータを参考にして放射線防護に役立てるべきと考えてまとめました。
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スカルライド @skull_ride

(24)ポイント②:ゴフマンのリスク係数は、追跡期間などの条件を満たしている種々の疫学調査と広島長崎の疫学データを1:2で重み付けして解析している。

2014-01-28 14:47:11
スカルライド @skull_ride

(25)ポイント③:ゴフマンのリスク係数が他の委員会のものより大きくなっている要因は、放射線感受性が高い小児データの扱い方と、原爆によるフォールアウトを考慮した補正によるところが大きい。

2014-01-28 14:47:24
スカルライド @skull_ride

(26)ゴフマンとBEIRⅢ、UNSCEAR(1977)のリスク係数比較 http://t.co/RvloGKylSv

2014-01-30 08:31:27
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スカルライド @skull_ride

(27)BEIRⅢでは広島長崎の0~9歳の相対リスクが不確実という理由で、その部分を20~29歳のデータで代用している。ゴフマンは「このようなデータ操作が許されるのなら証明したいことは何でも証明できる」とBEIRを批判している。

2014-01-28 14:47:57
スカルライド @skull_ride

(28)UNSCEAR(1977)では年齢効果が考慮されず、吸収線量の補正を行わず、追跡期間が不十分なデータを採用しているため過剰癌死リスクを極端に小さく評価していることをゴフマンは痛烈に批判している。

2014-01-28 14:48:10
スカルライド @skull_ride

(29)その後UNSCEAR(1988)ではリスク係数を10倍ほど引き上げ、BEIRⅤでもBEIRⅢの値が3~4倍小さいことを認めてその分だけリスク係数を引き上げた。→BEIRⅦのところで紹介した比較表と一致。

2014-01-28 14:48:21
スカルライド @skull_ride

(30)しかしBEIRやICRPはその後動物実験データをもとにDDREF1.5~2を採用しリスク係数を再び引き下げた。一方UNSCEARやWHOはDDREF=1つまり低線量率長期被曝と高線量率瞬時被曝では発癌・癌死リスクに差がないという立場である。

2014-01-28 14:48:33

固形癌のデータを「○○Svで1人の癌死」という形で比較

スカルライド @skull_ride

(31)BEIRⅦ:10万人・100mGyで510人の癌死→10000人・Gyで510人の癌死→20Svで1人の癌死(DDREF=1.5)

2014-01-28 14:48:47
スカルライド @skull_ride

(32)ICRP:有名なのでそのまま→20Svで1人の癌死(DDREF=2)

2014-01-28 14:48:59
スカルライド @skull_ride

(33)UNSCEAR:10万人・100mGyで約1000人の癌死→10Svで1人の癌死(DDREF=1)

2014-01-28 14:49:12
スカルライド @skull_ride

(34)ゴフマン:10000人・Gyで3771人の癌死→2.7Svで1人の癌死(DDREF=1)

2014-01-28 14:49:23
スカルライド @skull_ride

(35)【まとめ】BEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数比較 http://t.co/CLRqmBQhJG

2014-01-30 08:31:50
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こちらのまとめへと続きます

まとめ 原発事故による過剰癌死数の見積もり 低線量放射線による過剰癌死数の見積もりは「被曝線量評価」と「リスク係数の選択」の2ステップで行えますが、被曝線量評価が複雑で常に不確実性と隣り合わせです。被曝線量評価については信頼出来そうな論文や、専門家の方の意見を参考にしました。リスク係数の選択は前作まとめに続いてBEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンの4つで比較しました。 被曝線量でより正確なデータをご存じの方がいましたらコメント欄で指摘して頂けるとありがたいです。より良いデータに置き換えていくことで見積もりの精度を高めていけます。日本は核災害が起きた当事国ですから、世界の研究機関が行っているように過剰癌死数を見積もる努力をして、放射線防護に役立てて行くべきだと考えます。 12277 pv 397 1 user 6

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