コーパスとソムリエと犬と鹿

タイトルだけだと何がなにやらですね。 深夜の雑多なお話です。
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ラテン語たん @Latina_tan

スペイン語の perro も語源分かんないですね。 一応古くはラテン語そのままの can という形があったようですが。

2014-02-18 02:31:44
甲戌宗維 @koujutusoi

@Latina_tan 日本語も「」や「けもの」は使われなくなって専ら漢語の「動物」のほうが使われてるような気がします。

2014-02-18 02:32:30
ラテン語たん @Latina_tan

@koujutusoi そうですねー。もっぱら「」は「イノシシ」のような複合語や、方言などで見られる形になっていますしね。

2014-02-18 02:33:43
ラテン語たん @Latina_tan

こういう「意味の横滑り」って楽しいですよねー。

2014-02-18 02:34:04
ラテン語たん @Latina_tan

ソムリエの話もしようとしたものの、私の興味の偏りのせいですごいことになりそう。)

2014-02-18 02:35:42

結局やっちゃいました

ラテン語たん @Latina_tan

bête de somme 「荷運びの獣、駄馬」というフランス語の表現があるんですが、この somme という単語はこの表現以外ではもはや用いられなくなっているようです。日本語にもありますよね、「固唾を飲む」の「固唾」とか。

2014-02-18 02:38:10
ラテン語たん @Latina_tan

しかし意味がないわけではありません。somme は「荷鞍」です。にぐら。荷物を馬の背中に直に置くんじゃなく、その前に置く敷物みたいなやつです。

2014-02-18 02:39:50
ラテン語たん @Latina_tan

この somme という単語、ラテン語の sagma から来ています。[g] というのはどこに行っても消えやすい音で、ただ消えるだけじゃなく、母音になって消えます。 ドイツ語の Weg と英語の way のようにイになったり、ああ、そういえばトルコ語なんかは今まさに消えてますね。

2014-02-18 02:41:26
ラテン語たん @Latina_tan

で、この sagma は、フランス語になるにあたって sauma と形を変え、au > o というお決まりの変化を起こし、 soma > some と変化しました。あ、m は古くはひとつだったようです。

2014-02-18 02:42:26
ラテン語たん @Latina_tan

ちなみにちなみに、この sagma-gma という不思議な音の並びから推測できるようにギリシア語です。イッツグリークトゥミー。

2014-02-18 02:42:56
ラテン語たん @Latina_tan

sag- サグ あるいは saχ- サク という語幹を持つ動詞に、名詞を作る -ma をつけたら sagma が出来上がります。ちょうど saχ- というのは「荷物を積む」という意味の動詞です。「荷物を積むためのもの」つまり「鞍」ですね。

2014-02-18 02:45:08
ラテン語たん @Latina_tan

-ma がつくギリシャ語由来の言葉はとても多く、例えば「ドラマ」なんかもそうですが、やはり -gma という独特のスペルがあるものが目立つようで、enigma, stigma, zeugma, dogma, paradigm... 。

2014-02-18 02:47:09
ラテン語たん @Latina_tan

やたらと「-gma ぐまー」がついてるように見えますけども、本当は -ma がついてるだけなんです。ただ、この -ma がつくと、もともと -g でなかったものまで g にしてしまうんです。 saχ- + -ma で sagma だったりするんです。だから多く見えます。

2014-02-18 02:48:44
ラテン語たん @Latina_tan

この話がしたかったんです(やりとげた顔)

2014-02-18 02:49:06
ラテン語たん @Latina_tan

…あ、す、すいません、 somelier ですよね、はい。

2014-02-18 02:49:21
ラテン語たん @Latina_tan

この somme, 古い綴りで some ソンム 「荷鞍」をつけた動物が、 somier ソミエル。文字通りには「荷鞍の者」…つまり「荷運びの獣」ですね。

2014-02-18 02:51:01
ラテン語たん @Latina_tan

で、その somierさらに使役する人が、さらに -ier をつけた somerier ソメリエル 「馬方駄獣使い」。

2014-02-18 02:51:52
ラテン語たん @Latina_tan

なお、ヒトの言語はわりと全世界的に「Rの繰り返し」を嫌います。歌の楽譜にも Lalala... はあっても Rarara はないですし、日本語を生まれたときから話していても「られる」なんて言いにくいですよねー。

2014-02-18 02:53:36
ラテン語たん @Latina_tan

ですので、someriersomelier に。現代の形はこれですねー。

2014-02-18 02:53:57
ラテン語たん @Latina_tan

形は今とおんなしですが、意味はまだ「いきものがかり」です。荷物を積んだ馬やらロバを、シー!シー!とか言いながら進ませる係です。ワインのワの字も出てきません。

2014-02-18 02:54:54
ラテン語たん @Latina_tan

形は今とおんなしですが、意味はまだ「いきものがかり」です。荷物を積んだ馬やらロバを、シー!シー!とか言いながら進ませる係です。ワインのワの字も出てきません。

2014-02-18 02:54:54
ラテン語たん @Latina_tan

これが後には、意味の変化を起こします。まず「兵糧を担当する係の将校」になります。戦争のときに荷運びの獣に載せるのは、まず何よりも食糧だったことでしょうね。

2014-02-18 02:56:21
ラテン語たん @Latina_tan

さらにその言葉は意味を変え、「食事の用意をする召使「食堂担当の召使」に変わってきます。だんだんとソムリエめいてまいりました!

2014-02-18 02:57:02
ラテン語たん @Latina_tan

最終的に「ワインの専門家」という意味で使われたのは19世紀初頭のことだそうです、1812年。 日本での普及はバブルを待たねばなりませんがー。

2014-02-18 02:58:14