アイヌアニメ第三話『ニタイパカイェ』解説

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。前回は、育ての親ニタイパカイェの軍を襲撃してきたシヌタプカ国の３人の戦士を倒すため、ポイヤウンペが戦場に向かったところまで解説。さて、ここからはその続き。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。最初に登場するのは緑色の鎧を着たサンプトゥンクル「サンプッの者」。本当は別に個人名があるはずだが、まあ、必要ないので出てこない（それが叙事詩ってやつです）。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。彼が「シヌタプカから来た３人の戦士」のリーダー格。ニタイパカイェは「シヌタプカから３人」と言っていたけれど、本当はリーダーはサンプッから来ているのだった。多分婚姻関係にある村（国）同士なのだろう。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。サンプトゥンクルは大量の敵を斬殺しまくる。これは原作通り。「敵を切ると体が消える」が、これは原作と異なる。原作ではもちろんバラバラ死体になる。アニメでそれを再現するとグロ表現がきついので自主規制。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。一応「全年齢対象」なので。教材アニメの限界でもある。とはいってもテレビアニメとも違った感じにはなっているはずなので、その辺りは仕方ない。いつか「エログロ含めた叙事詩の完全忠実映像化」ができれば面白いかも。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。さて、敵を切ると体が消えて魂が空に飛んでいく。「魂を東に逃がすな、復活してしまうぞ」とサンプトゥンクルが言う。叙事詩の世界では戦士が死ぬと魂が空に飛んでいく。東に飛んでいくとしばらくして（本拠地で）復活する

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。「本拠地で復活」というのはゲームみたいだが、カムイだって魂を送ると「本拠地」であるカムイの世界で復活するんだから、仕組みは同じ。なお、話によっては骨に肉や内臓がどんどん復元されて復活というグロパターンも。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。サンプトゥンクルは「しっかり仕留めろ」とも言っている。「西へ消えろ、復活できぬように」とも。実は、急所を狙い完全に殺せば復活できない。そうやって完全に殺された戦士の魂は東ではなく西に飛んでいく。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。だから「西へ消えろ、復活できぬように」というアニメの台詞は実は逆で、「復活できぬように完全に殺してやる！そうすれば魂は西へ飛んでいくであろう」というべきではある。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。もちろん「魂を東へ逃がすな」というアニメの台詞も逆で、事実としては「復活できぬように完全に殺していないから魂は東へ飛んでいくのだ」というべき。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。この辺は原作では地の文（全編がポイヤウンペの一人称視点で語られる）で「生き返るべき魂が東へ飛ぶ」「死ぬべき魂が西へ飛ぶ」などと描写されるだけである。アニメなので説明台詞になっている。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。こういう台詞のつけかた（因果関係が一見逆だったり、簡略化された説明台詞になっていたり）を「改変」と考える研究者もいるだろう。だが、私は許容範囲内だと考えている。これは演劇形式への「ジャンルの変換」である。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。気になる方はぜひ原作を読んでください。このアニメはかなり原作に忠実に脚本化されています。いやほんと、ピコグラフさんすごいです。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。緑色のサンプトゥンクルの次に登場する、赤茶色のチウセレスと紫色のカムイオトプシ。シヌタプカから来た兄弟。カムイオトプシは「神の髪」という名前の美男子で叙事詩の定番の脇役。チウセレスは他の話には出てこない。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。カムイオトプシ「神の髪」という名前は、そこに神話的な力が宿っているという意味の名前ではない。そこに宿るのは「美」。アイヌの伝統的価値観では男の柔らかな巻き毛は「美」。彼はもちろん優秀な戦士だが属性は「美」。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。シヌタプカの美男子兄弟は原作では顔中傷跡だらけである。アニメでもちょっと傷跡があったりする。

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@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。さて、チウセレスが蛇体の敵の上に乗って刀で突き刺していると、上空からポイヤウンペが飛び込んでくる。剣を交えようというときに、カムイオトプシが「あの鎧を見ろ！」と言う。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。アニメではカムイオトプシやチウセレス視点の場面にポイヤウンペが飛び込んでくるのだが、原作ではこの辺りは全てポイヤウンペ視点で語られる。アニメと叙事詩のナラティヴの違い。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。ポイヤウンペの鎧の各所がアップに。ライダーベルトみたいな帯の大型のバックルに巴紋。これは想像。古代ギリシアやササン朝のベルトみたいにしてみた。なお、巴紋自体はアイヌ伝統文化ではポピュラーな紋。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。切りかかるポイヤウンペにカムイオトプシが「俺たちは子供の頃に誘拐された弟を探して戦い続けている。親から授かった同じ鎧を着ている者こそ弟のはず。つまりお前こそ弟だ」と言う。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。つまりニタイパカイェは誘拐犯人だった。子供だったポイヤウンペを枕元にあった鎧ごと盗んで育てていた、ということ。この辺りの展開もカムイオトプシの台詞の大意もほぼ原作どおり。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。原作ではもう少し詳しく、カムイオトプシとチウセレスの兄弟は弟を誘拐したとおぼしきレプンクル（外国人）の村々を次々に襲撃して歩いていたと言っている。レプンクルたちにしてみればとばっちりである。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。また、カムイオトプシとチウセレスの兄弟がニタイパカイェの軍勢と接触したのも、疑わしい村を手当たり次第に襲撃した結果なので、最初から狙ってきたわけではない。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。アニメでは分かりにくいのでレプンクル云々の部分は省略した。ただでさえ登場人物（や勢力）が多いので。

丹菊逸治 @itangiku

@itangiku アイヌアニメ２。第三話『ニタイパカイェ』ネタバレ解説。ただ、この話でもレプンクルと戦っているのは興味深い。知里真志保の「ユカラ＝対レプンクル戦争譚」という枠組みに当てはまる。